土木偉人14名、何人知ってる?土木学会「土木偉人かるた」
土木学会が日本初となる「土木偉人かるた」を制作した。絵札の制作を主導した全国建設研修センターの緒方英樹さんは、「土木偉人たちを入り口にして、土木が人と自然に関わってきた歴史的役割や価値を学びながら楽しむツールにしたい」と語る。
かるたの絵札になった土木偉人は、全部で48人。空海や徳川家康、伊能忠敬など有名人も含まれるが、土木業界でもあまり知られていない、マニアックな人物も多い。
そこで緒方さんに、なかでも近代化のパイオニア・土木偉人14名をピックアップしてもらった。
あなたは土木偉人を何人知っていますか?
(ちなみに、「土木偉人かるた」のイラストを担当したデザイナーの広野りおさんによると、一番描きやすかった土木偉人は、青山士だったそうです。理由は写真資料が豊富で、美男子だから。)
土木偉人その1.古市公威
古市公威
初代土木学会長。土木技術者は、総合的な視野と能力を持つ「将たる者」であることを主張した。
土木偉人その2.廣井勇
廣井勇
近代橋梁の権威、小樽築港工事に貢献。土木工学は、人類の幸せづくりに貢献する福祉であることを体現、札幌農学校と東京帝国大学で多くの学生に薫陶を与えた。
土木偉人その3.青山士
青山士
パナマ運河工事に貢献。廣井勇の薫陶を受け、「人類のため、国のため」に荒川放水路の建設、信濃大河津分水路の改修工事を指揮した。
土木偉人その4.宮本武之輔
宮本武之輔
廣井勇の薫陶を受け、青山士ともに信濃川大河津分水可動堰の再構築建設工事で陣頭指揮を取り、信濃川補修に尽力。日本工人倶楽部の発足 など、技術者の地位向上運動を展開。
土木偉人その5.田辺朔郎
田辺朔郎
廣井勇の薫陶を受け、土木の金字塔とも言われる琵琶湖疏水事業を完成させ、日本土木の近代化を促進した。
土木偉人その6.田中豊
田中豊
日本近代橋梁史上最も著名な技術者。廣井勇の薫陶を受け、関東大震災によって被害を受けた橋梁の総数は、東京で675橋、横浜で108橋。計画・設施工美観などの面において優れた特色を有する橋梁に与えられえる土木学会「田中賞」の名称にもなっている。
土木偉人その7.吉田徳次郎
吉田徳次郎
わが国のコンクリート工学の扉を開けた技術者で、最高強度コンクリートの開発や材料分離の発見という、世界的業績を生み出すのみならず、近代化を目指した多くの社会基盤施設建設の指導に携さわった。コンクリートや鉄筋コンクリートに関する優秀な業績・工事等に授与される土木学会「吉田賞」の名称にもなっている。
土木偉人その8.ヨハネス・デ・レーケ
ヨハネス・デ・レーケ
明治の近代化政策において、オランダから招聘されたデ・レーケは、大阪築港や淀川、常願寺川、木曾川など日本各地の河川改修や、砂防、築港など多大な貢献をおこなった。
土木偉人その9.八田與一
八田與一
廣井勇の薫陶を受け、日本統治時代の台湾総督府に奉職。台湾南部の烏山頭ダム建設による灌漑整備により、不毛の広大な荒れ地を台湾最大の穀倉地帯に変貌させ、そのハード事業とソフト対策によって農民や地域住民の生活を豊かにした。
土木偉人その10.ファン・ドールン
ファン・ドールン
明治政府の命を受け、内務省土木局の長工師(技師長)として他のオランダ人技師を率いて河川事業に活躍した。国家事業としての安積疏水事業に貢献、日本の技術者のために「治水総論」「治水要目」などを著し、日本の治水土木を導いた。
土木偉人その11.赤木正雄
赤木正雄
日本砂防の父と呼ばれる。安政の飛越地震で崩壊・堆積した立山カルデラの土砂災害を防ぐため、立山砂防システムの基盤をつくり、日本の砂防を世界的なモデルにまで牽引した。
土木偉人その12.エドモンド・モレル
エドモンド・モレル
明治日本が開国後、新政府は国の骨格となる鉄道建設のため、産業革命を最初に達成したイギリスからエドモンド・モレルらイギリス人技術者を招聘した。モレルは、日本初となる新橋~横浜間での鉄道開業に技術と情熱を捧げた。そして、日本の土木が自立していくための提案書を政府に提出、土木教育の嚆矢ともなった。
土木偉人その13.井上勝
井上勝
長州藩から脱藩してロンドンに密航した井上は、鉱山技術や鉄道技術を学び、帰国後は、モレルの後を継いで全国の鉄道建設に生涯を捧げ、モレルの意思を鉄道技術者養成のための「工技生養成所」創設に尽力、鉄道の父と呼ばれる。
土木偉人その14.久保田豊
久保田豊
廣井勇の薫陶を受けた久保田は、朝鮮半島や東南アジアなどで水力発電所やダムといった大規模インフラ整備に尽力し、国民生活の豊かさの向上に貢献、国際コンサルティングの先駆的な道を拓いた。
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※「土木偉人かるた」の販売価格は、税込み1,836円。購入希望の方は、公益社団法人土木学会出版事業課までお問い合わせください。
平成30年度土木学会全国大会におきまして「ベスト・イノベーター・オブ・土木偉人」と題した広報関連行事を開催いたします。一般の方もご参加いただける行事でありますので、ご興味のある方は、是非ご参加下さい。