土木学会の写真コンテスト『土木の現場で働く人たち』
土木学会(田代民治会長)は、写真コンテスト『土木の現場で働く人たち』の入選作品を発表しました。
この写真コンテストは、土木学会の会長特別タスクフォース「現場イノベーションプロジェクト~次世代につなぐ生産現場のあり方~」の一環として実施したもの。土木現場をテーマとするコンテストが多数ある中で、土木現場で「働く人」にフォーカスする珍しい試みとなりました。
審査委員長を務めた土木写真家の西山芳一氏は「土木構造物は人が、人のためにつくっているので、そこで働く人は欠かせない」と意義を説明。全国にとどまらず海外の現場からの作品も含め、381人・627点の応募の中から、最優秀賞作品1点と優秀賞作品5点が選定されました。
最優秀賞「巨大ピンを挿入」 撮影:田島聖一氏(ロード・エンジニアリング)
最優秀賞に選ばれたのは、ロード・エンジニアリングの田島聖一氏の「巨大ピンを挿入」。
高く評価されたのは、写真の色彩感でした。どうしても、土色や灰色の多くなる土木現場の中で、緑、黄、赤など多数の色のカラーリングが表現されています。
被写体となっている作業員の真剣なまなざしや、息がぴったりとあっていないとできない作業など、満点の評価を得ました。
優秀賞「チョイ悪おやじたちの溶岩削孔」 撮影:佐山裕之氏(西松建設)
優秀賞「チョイ悪おやじたちの溶岩削孔」(西松建設・佐山裕之氏)は、作業員同士が協力しているほのぼのとした場景が評価されました。
表情は見えないものの、巻き上がる粉じんから現場感が伝わってくる一枚です。
優秀賞「この道50年、25番目の橋がまもなく完成する」 撮影:村上育子氏(鹿島建設)
同じく優秀賞「この道50年、25番目の橋がまもなく完成する」(鹿島・村上育子氏)は、被写体の表情のすばらしさがポイントとなりました。
一般の写真コンテストだと、少しクサイ写真とされてしまうそうですが、土木現場がテーマであれば捨てがたい作品。しわの一つ一つの中にこれまでの思い入れが刻まれているような、いかにもかっこいい写真に仕上がっています。
優秀賞「一致協力。」 撮影:滝澤俊康氏(ライト工業)
「一致協力。」(ライト工業・滝澤俊康氏)は、作業を行っている現場感が入賞の決め手となりました。
足元の悪い中でも、タイトル通り一致協力して工事が進む様子を的確に表現しています。
優秀賞 「熱中症予防に水分補給を!」 撮影:齋藤啓一氏(西松建設)
「熱中症予防に水分補給を!」(西松建設・齋藤啓一氏)は、写真から伝わる現場の良い雰囲気が評価されました。
「被写体の3人の表情が素晴らしい」と審査委員からは好評でした。
優秀賞「ぴったり」 撮影:星野壮一氏(清水建設)
「ぴったり」(清水建設・星野壮一氏)は、まさにタイトル通り。
西山審査委員長は「土木写真ではない、一般のコンテストでも入賞できる」と絶賛するとおり、非常にきれいな構図となっています。
それぞれの表情は見えないものの、顔の向きや動きから真剣な姿勢が伝わってくる作品です。
シャイな人が多い建設現場?
写真コンテスト『土木の現場で働く人たち』の審査は、西山審査委員長を筆頭に、大西成明氏(東京造形大学)、須田久美子氏(鹿島)、瀬尾弘美氏(建設技術研究所)、中村光氏(名古屋大学)、大内斉氏(鹿島)らにより厳正に行われました。
西山芳一審査委員長は「シャイな人が多い建設現場でこれだけ作品がよく集まったと思う。審査は、安全性が確保されていることを前提に、現場感、表情、写真としての表現の3点に焦点を当てた」と、総括しました。
作品は6月9日の土木学会定時総会会場で展示を予定しています。
みなさんも是非、次回コンテストに参加されてみてはいかがでしょうか。