工事検査官を怒らせないために!
私たち現場監督にとって、工事評点は非常に重要だ。工事評点=会社での評価に直結するといっても過言ではない。
そんな重要な点数を決めるのは、紛れもなく工事検査官である。彼らは、ある一定の基準のもと工事を評価する。
その一方で、彼らも人間である。多少の感情が全く点数に反映されないと言えば嘘になるだろう。そして、言うまでもなく、彼らを怒らせても我々にまったく得はない。
そこで、実際に検査官をしていたOBの方に聞いた、検査官に言ってはいけない”NGワード”を紹介する。
「それが出来るなら苦労しない」
これは、意外にもかなり多くの現場監督が検査官に対して無意識のうちに発する言葉だという。
例えば、工事の中間検査などで検査官から「ここをこういった施工方法で施工することは不可能だったのか」という質問をされた時に、悪気なく笑いながら「それが出来るなら苦労しませんよ」と言ってしまう現場監督が結構いるようだ。
一見、何も悪いことを言っているようには思えないかもしれない。しかし、検査官というのはほとんどの方が年配の方、年上の方だ。ただ別の施工方法を提案しただけなのに、歳がひとまわりも違う世代の人間に「それが出来るなら苦労しませんよ」と一蹴されたら、少し鼻につく。
余計な一言は不要で、素直に「それは難しいです」と答えるのが無難だろう。
「スナップ写真の何が問題ですか?」
工事をしていて、黒板を毎回書き換えながら、なぜ毎回黒板が必要なのかと思ったことは現場監督ならば一度はあるだろう。今でこそ電子黒板が普及しつつあるが、現場監督にとっては非常に手間な作業の一つだ。
私も簡単な工種のときは、黒板を書かずにスナップ写真だけで済ませてしまったこともある。もちろん、検査官は見逃さないのだが。
この時、「写真を見れば何をしているのかは十分に理解できるでしょう」と、反論してしまう現場監督も中にはいるようだ。
私自身も何度も同じことを思った。だが、検査官もそんなことは理解した上で、工事評点の加点基準として指摘している。
出来栄えに関する反論は絶対にNG!
検査官とわれわれ監督員の考え方の違いは、出来栄えに関するポイントに顕著に表れるといっても良い。われわれは出来栄えよりも品質管理に重きを置きがちである。だが、検査官は出来栄えを見て検査するため、もちろん厳しく出来栄えの部分を突いてくる。
そのとき、「出来栄えはどうしようもなかった」という反論は、思っていても口にするべきではない。もしそこでなにかを言いたいのであれば、「出来栄えを良くしようと努力したが、予算や材料の品質上これが限界だった。次回から反省を生かして施工する」のように、前向きな発言をするべきだろう。
また、間違っても「出来栄えを良くしたいのならば、必要経費をもう少し払ってくれ」のような金の話は検査官にしてはいけない。そんなこと当たり前のようだが、意外にも検査時に検査官に対して金の話をする監督は多いらしい。検査官の立場上、金の話は発注者と受注者間の問題なので気分を害する人も多い。
私も過去、検査官をカンカンに怒らせてしまったことがある。点数に影響があったかどうか定かではないが、どこかの項目で減点されていることはほぼ間違いないと思う。
せっかく苦労して完工しても、検査で点数をつけてもらえなければ意味がない。検査官に対する気遣いも忘れてはいけない。