お気に入りの重機にニックネームをつける中国人たち
中国・武漢で発生し、大混乱を巻き起こしている新型コロナウイルス。病院不足が深刻な武漢では、800~1,300人程度を収容できる火神山医院・雷神山医院が約10日間という急ピッチで建てられ、2月3日と5日にそれぞれ完成しました。
建設期間はちょうど中国の旧正月である春節の時期。CCTV(中国中央電視台)は病院建設の模様をライブ配信し、感染を恐れて外出できない多くの中国人が、配信を視聴しました。その人数はなんと3000万人にも上ったそう。一時期は5000万人を超えていたという話もあります。
見ているうちに、働く重機に愛着がわいた視聴者たちは、「オンライン現場監督」(監工)として重機の働きぶりを実況。お気に入りの重機にニックネームをつけて応援し始めます。今は消えていますが、中国中央電視台のライブ配信ページには「加油(頑張れ)ボタン」が押せる人気投票ページが作られていました。
そこで、遅ればせながら人気投票の結果をまとめてみました(こちらは1月30日の結果です)。
中国3000万人が選ぶ、好きな重機トップ3
1位 フォークリフト
人気投票1位は「叉酱」。フォークリフトのことです。酱は日本語由来の「ちゃん」の意味。赤・黄・白と色が多彩なことや、小さな体で懸命に走り回っているところが健気で人気を獲得したようです。
中国版Twitter・Weiboにも「フォークリフトは本当にかわいい」「世界で最も可愛くて、最も一生懸命に働いてるフォークリフトちゃんを守りたい」などのコメントが並んでいました。
また、フォークリフトが荷物を落としてしまって悲しんでいるイラストや、無事に運べて喜んでいるイラストを描く人も。
2位 油圧ショベル(青)
2位は「蓝忘机(小蓝)」。青色の油圧ショベルのことです。最初は「青ちゃん」(「小」は「ちゃん」の意味)と呼ばれていたようですが、中国の人気BL小説『魔道祖师』の男性キャラクター「蓝忘机」の名前に「蓝」が入っていることからか、「蓝忘机」と呼ばれるようになったようです。
一日中姿を見かけることから「寝食を忘れて、昼も夜もなく頑張っている」「働き者な蓝忘机♡ 世界で一番好き♡」などのコメントが寄せられていました。
3位 コンクリートミキサー車
3位は「呕泥酱(送灰宗)」。コンクリートミキサー車のことです。「呕泥酱」は「オニイチャン」と発音します。どうやら日本語の「お兄ちゃん」に中国語の漢字をあてた造語のよう。「呕」は「吐く」の意味です。ミキサー車がコンクリートを吐いているように見えるところから、Weiboでは「呕泥酱」について書くとき嘔吐中の絵文字が多様されています。
また、コンクリートミキサー車二台が頭を寄せ合っているように見える画像に「ささやきあうおにいちゃん」とコメントをつけ、楽しむ様子も見られました。このコンクリートミキサー車2台をイケメンに擬人化して、BLイラストを描く人も出現しています。
ライトは「光武帝」、プレハブは「白居易」
4位は「小小黄」で、一人乗りのミニ油圧ショベルのこと。5位は「小绿」で、緑のダンプカーです。6位は「小红」で、クレーンを搭載した赤い積載トラック。7位は黄色い油圧ショベルの「小黄」、という結果でした。
投票結果 / CCTV
他にも高層クレーン車の「送高宗」、セメントポンプトラックの「大黄」なども人気を博しています。重機以外にも、夜間に建設現場を照らす大きなライトを「光武帝」「光緒帝」と呼んだり、道路を磨く機械は「道光帝」、建設現場に生える3本の木は「呉三桂」、背後の高層マンションは「五指山」、白いプレハブの建物は「白居易」など、センスを感じさせる様々なニックネームが。
この現象に「不謹慎だ」と顔をしかめる中国人もいて、賛否はあるそうです。ただ、未知のウイルスでみんなが不安な時だからこそ、ユーモアで吹き飛ばそうという知恵でもあるのでしょう。
皆さんは、どの重機が好きですか?