安全なインフラ整備を祈念するバンザイ
「ダム式万歳」は、もはや土木関係者の間では、おなじみでしょう。
完成式典や懇親会の締めなどで、ダムになりきって空に向かって皆で万歳三唱するのが、ダム式万歳。およそ2年前には、ダム式万歳をモチーフにした手ぬぐいも民間企業から発売され、話題となりました。
しかし、建設業界の万歳は、ダム式だけではありません。下水道式や海岸式でも独自の万歳が生み出され、徐々に浸透を続けています。
今回は国土交通省への取材に基づいて、それぞれの万歳の歴史や、その作法を解説していきます。これから迎える総会シーズンで、ぜひ活用してはいかがでしょうか。
ダム式万歳の作法と歴史
「ダム式万歳の成り立ちには諸説ある」と語るのは、国土交通省中国地方整備局出雲河川事務所長時代にダム式万歳のパネル展示を行った水管理・国土保全局治水課の舛田直樹企画専門官です。
「JR木次線の開業100周年イベントでパネル展示を行い、それをSNSで発信したことがきっかけで手ぬぐいの作成オファーにつながった」と話してくれました。
手ぬぐいに記されたダム式万歳の作法をまとめると、まず足を肩幅に広げて安定感を確保しながら、自分自身をダムと思いこみます。次に膝を90度に曲げ地盤の力強さ、つま先を135度に開き安定勾配を表現。このつらい姿勢のまま、あいさつが終わるまで耐えます。最後にダムが徐々にできあがっていくのをイメージしながら「バン、ズァーイ!」のかけ声で体全体を持ち上げるように3唱します。
舛田専門官は「先輩から足の角度や手のひらを上に向けるなどさまざまな指摘を受けた。手ぬぐいに記した作法は見栄えのするものが採用されたと聞いている」と振り返ります。いまでは、工事関係者だけでなくダムマニアと呼ばれる一般人にも浸透しています。