施設管理でのトラブル!素手で厚さ12mmのフロートガラスを割り大流血

※写真はイメージです。

施設管理でのトラブル!素手で厚さ12mmのフロートガラスを割り大流血

海上自衛隊で勤務していた頃、主に国有財産である施設(建築物、工作物等)の維持管理の主担当部署にて勤務していました。

海上自衛隊では、施設の使用者も適切な維持管理をするよう内務規定で定められています。今回は、実際にあった施設管理におけるトラブルをご紹介したいと思います。

ボラードが曲がってる?

南の島の部隊で勤務していた時のことです。基地の電気主任技術者の技官さんが、現場から帰ってきて私に報告に来ました。

「桟橋の燃料給油口の保護のためのボラード4本のうち2本が、根元から30度くらい曲がっていました。停泊している船のやつらに心当たりはないかどうか聞いたけど、だいぶ前からあの状態だ、としか言わんのだわ。知っていたんだったら連絡しろって話だよね。燃料配管に当たっていないからボラードの機能は果たしているけど、直さんといかんね。折れてからでは遅いわ。あれは絶対に車がぶつかって曲がっているね」

私はその報告を受け、現場を見に行きました。確かにボラードは曲がっていました。停泊している掃海艇の艇長に話を聞きに行きましたが、技官さんが聞いた答えと同じです。私はこう言いました。

「桟橋の使用者も内務規定上、施設の不具合や損壊をした場合、速やかに関係部署に報告する義務があります。ましてやだいぶ前からあの状態であれば、直さなければ何かの拍子に折れて、燃料配管にあたって漏油の原因になる可能性もあります。ボラードは、一時的に機能を果たしてくれましたが、直さないことにはその機能の保持は不可能です。以後、部下にもこのことは徹底してください。」

そう告げてから現場を離れました。船乗りは、自分の乗っている船は大事にしますが、それ以外のものについては意外と無頓着です。

船乗りに関わらず、施設の維持管理は自分とは関係ないと思っている隊員も多く、陸上勤務者にも同じことが言えます。


厚さ12mmのフロートガラスが・・・

とある航空部隊で勤務していた時のことです。「課業やめ」のラッパがなり、金曜日ということもあり早めに帰ろうと帰り支度をしていたところ、私の机の電話が鳴りました。

「すいません。○○班の△△ですが、うちの若い者が勢い余ってガラスを割ってしまいまして・・・ちょっと現場に来ていただけませんか?」

私は、残業していた部下をつれて現場に向かいました。現場に到着し、驚きました。建屋の入口のガラス戸が割れており、周りに血しぶきが飛んでいたのです。

現場にいた隊員に、この流血した隊員は大丈夫かと聞きました。どうやら本人は医務室で治療を受けており、意識はしっかりしているとのこと。とりあえず一安心です。

すると電話の主が現れて、「ご迷惑をおかけして大変申し訳ない。割った本人は走って扉を開けようとしたみたいです。その際に、取っ手ではなくガラス部分を手のひらで押して割ってしまったようです。」と説明してくれました。

とりあえず、仮復旧として部下にベニヤ板を持ってくるよう指示し、ガラス片については割った隊員の所属の部隊で片づけをすることとなりました。残念ながら、今回のガラス損壊は業務に係るものではなかったため、ガラスを割ってしまった隊員の弁償となりました。

幸いにも、ガラスの在庫があったため、こちらで施工することとしましたが、ガラスを割った隊員には、新たに予備のガラスを購入してもらうことになりました。金額的には約2万円でしたが、若干20歳の隊員には怪我と合わせて痛手となったことは間違いありません。

それにしても厚さ12mmのフロートガラスが割れるとは・・・。前から傷が入っていたのかもしれないなと思いつつ、部下と一緒にベニヤ板で養生をしました。やはり定期的に施設の点検をしないといけないな、と反省しました。

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「Think Unthinkable!」

一部ではありますが、施設管理におけるトラブルをご紹介しました。

自衛隊内で起きた場合の処置は、内輪のみで済むので大騒ぎにはなりませんが、不特定多数の人が出入りする公共施設や商業施設で同じようなことが起こると、施設管理者の責任を問われかねません。

当然、自衛隊でも施設管理者の責任の所在は明確にしますが、民間では損害賠償や場合によっては裁判沙汰になることもあるでしょう。

施設利用者は、施設管理者の想像をはるかに超えた行動や使い方をしてきます。その使用方法が不適切であることを未然に防止することが、安全・安心な施設運営につながると思います。

私の上司がよく言っていた言葉があります。

「Think Unthinkable!(想像できないことを想像しろ!)」

確かに、昨今は、予想をはるかに超えた自然災害やコロナウイルスなどの感染病が日本列島のみならず世界中で蔓延し、明日何が起きるかもわからない時代です。

特に、建設現場や施設等の維持管理は常に人が活動しています。想像もしなかった事故が起きる可能性が高いです。

そんな時こそ、「Think Unthinkable!」の意識を持って、現場に臨むことが必要ではないでしょうか。

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元海上自衛官。約15年間勤務ののち、建設業界に転職。 なんとか苦労して取得した一級建築士免許で細々仕事しております。
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