「TDYリモデルスマイル作品コンテスト2021 全国最優秀賞事例」より

「TDYリモデルスマイル作品コンテスト2021 全国最優秀賞事例」より

TOTOと全国5,000店のリフォーム店の強い信頼関係はなぜ生まれたか?

TOTOの「あんしんリモデル」は5年目を迎えた

TOTO株式会社は、お客様に安心してリフォームに踏み出していただくことを推進する「あんしんリモデル」を2018年4月からスタート、今年で5年目を迎えた。TOTOリモデルサポートデスクによると、リフォームへの関心の高まりを受けてリフォーム店の選び方やアプローチの仕方に関する相談も増加しており、計画の具体化に向けたサポートが増えているという。

この5年間を振り返ってみると、情報の公開による顧客の不安の払しょく、加えて顧客満足度の向上やリフォーム店の工事品質の強化に大きな成果があった。TOTOが推奨するリフォーム店(リモデルクラブ店)に対しては、コロナ禍を受け、2020年度から研修をオンライン化し、受講者を増やし、顧客提案力やさまざまな空間提案スキルを磨いている。

全国に約5,000店あるすべてのリモデルクラブ店が一定の基準以上を満たしたことが、TOTOのリモデル事業拡充を支える。

今回、TOTOの販売統括本部・リモデル営業推進部部長の千葉 公一氏、同本部・住宅リモデル相談室第一グループグループリーダーの北 鉄也氏がリモデル事業の戦略について余すことなく語った。

リフォームの一歩先を目指す「リモデル」の理想

TOTOは2018年に、「リモデルあんしん宣⾔」を発表し、2022年には5年目の節目を迎えたが、DXの推進でさらに深化した。とくに工事店の進化は著しく、この5年で大きく変容した。

「あんしんリモデル」とは、顧客に安心してリモデル(リフォーム)に取り組んでもらおうと宣言したもので、顧客目線に立って知りたかった情報の見える化を目指したものだ。ともすれば、金額も含め不透明感のあるリフォーム工事だが、TOTOでは「リフォームの流れ」「参考価格」や「リフォームの実例」の情報を取りそろえ、工事後のイメージや進め方がわかるようになっている。こうした情報提供に加え、リフォームで分からないことを全般的に相談できる「リモデルサポートデスク」を開設。さらには全国各地にショールームを設置しており、ショールームアドバイザーから顧客の要望にあわせた提案も受けられる。

一方で、施工を行うリフォーム店(TOTOリモデルクラブ店)に対するフォローも徹底。TOTOがリフォーム店に対して重視していることは、「健全な事業の継続」「提案力と技術力」「わかりやすい見積り」「アフターメンテナンス」「工事にかかわる保険の加入」「法令遵守の取組み」の6点。これらの課題に対して、実務経験のあるTOTOの専門講師によるリモデルの技術・技能の向上や失敗事例から学ぶオンライン研修は好評で、参加者からは「実務経験に基づいた話のため理解しやすい」や「失敗例がすごく⾝近に感じ勉強になった」との声も多く、講師やテキストの満足度は高く、工事店のスキルも年々向上している。このほか「品質向上支援ツールを多くの店が使いやすく」を理念に、利便性の向上とメニューや研修回数増強を図り、2021年度では48メニュー・86回を開催、オンライン研修は3日に1回という驚異的な稼働率だ。

リフォーム店にとって効果の高いオンライン研修

TOTOとリフォーム店が一体で強化策を実現

「TOTOリモデルクラブ」の強みとは、こうした両者の深い連携にある。TOTOはかねてより、業務品質向上の仕組みを構築しているがこれは大きな注目点だ。

「あんしん確認シート」や、リフォーム店が実際の業務プロセスにあわせて強みや弱みを把握する「業務確認シート」をもとに自社をチェックし、課題をしっかりと見つけ、その課題をもとにTOTOから強化メニューを示す。5,000店を擁する加盟リフォーム店らはほぼ同規模であるため、お店同士で現状を比較することもできる。TOTOではリフォーム店の現状を把握し、5,000店の集計分析をした上で強化策を立案。それをもとにリフォーム店が強化策を具現化するというサイクルを回すことで、顧客から選ばれ続ける業務品質向上活動を展開している。

リフォーム店単独では見つけられなかった課題も、5,000店もの膨大なデータをもとにした強化策には説得力があり、それを着実にリフォーム店が実施していくことにより、業務品質は確実に向上する。毎年、ブラッシュアップするリフォーム店の存在こそが拡大するTOTOのリモデル事業を支えるカギと言える。

業務品質向上策で次々とブラッシュアップするリフォーム店

「顧客からの生の声」は工事品質向上の面でも宝の山

さらに、「リモデルサポートデスク」の取り組みは工事品質向上の面でも工事品質面でも効果があった。「リモデルサポートデスク」に寄せられるお客様の声から、リフォーム店ではこれまで常識化した取り組み、または良かれと思って実施したことが、顧客目線では不安材料になるなど双方の間でギャップが生じ、不満につながるケースがあることも分かった。

そこで事例集として、「リモデルサポートデスク」で対応したリフォーム後のトラブル相談を事例集「あんしんリモデル読本」としてまとめ、リフォーム店に配布。これを題材としたディスカッションセミナーをオンラインで実施している。また、リフォーム店が実際に対応した事例についてもリモデルクラブの専用サイトで、閲覧できるような仕組みも整えている。こうした顧客対応事例をもとに、リフォーム店の業務品質向上活動に活かしている。

マンガも交えているためわかりやすいと好評の「あんしんリモデル読本」。今年10月に5冊目のVol.5を発行

顧客はリフォーム店の選定や工事内容に強い関心

今後の展開について、千葉部長と北リーダーに聞いた。

TOTOの販売統括本部・リモデル営業推進部部長の千葉 公一氏

――これからのリフォーム市場についてどう見ていますか。

千葉部長 これからもリフォーム市場は伸長していくと思います。住宅そのものの注目度は向上しており、ショールームの来館数やオンライン相談件数を見ても明らかです。将来的には人口減少社会が到来するものの、リフォームにより長く居住することを考えると、堅調に推移していくと考えています。

住宅リフォーム分野は成長過程にあり、「あんしんリモデル」戦略がその中核にあり、さらにブラッシュアップさせていきます。TOTOとしては長期的にリフォーム店とタッグを組みながら、「あんしんリモデル」を拡大していきます。

――「リモデルサポートデスク」への相談内容はどのようなものが多いのでしょうか。

北 鉄也氏(以下、北リーダー) 2018年から開設した「リモデルサポートデスク」は当初、商品の相談が多かったのですが、2022年度になると、2018年度比ではリフォーム店の選び方や接触の仕方の相談が4倍に伸びており、リフォーム店に関するの相談の方が多い月もあります。

TOTOではリフォームの相談についてなんでも受け付けますと打ち出していますが、結果的に顧客が不安に抱いているのがリフォーム店の選定など施工面と推察しています。

販売統括本部住宅リモデル相談室第一グループグループリーダーの北 鉄也氏

――顧客としては、どのようにリフォーム店を選んだらいいかわからないことも多いでしょうね。

北リーダー お客様にヒアリングすると、そもそも建設業者とお付き合いのない方が多いですね。過去に新築で建てた際の業者との付き合いが途切れているので、リフォームを実施する際に新たに良質なリフォーム店を見つけたいという相談が一番多い印象です。また、悪徳業者に騙されたくないというお声もありますし、中には過去リフォームを行ったけれど嫌な経験をされた方もいらっしゃるので、皆さん何としても良いリフォーム店を探したいという思いが強いように感じます。

私どもに相談を寄せられるお客様は90%が工事前で、そのうちの80%がリフォーム店に接触する前段階になります。ここから分かることはリフォーム前の情報収集を大切にしている点です。商品だけではなく、リフォーム前に工事の内容を知っておきたいというお客様の考えが最近の傾向で見えてきました。

――先ほど、千葉部長からリフォーム店と顧客のギャップがあるとの話がありましたが、具体的には。

北リーダー 工事中や工事完了後、お客様がイメージしていた仕上がりと異なることがリフォーム工事にはあります。ですが、お客様としてはリフォーム店にその不満を率直に伝えにくいこともあるので、私どもが話をお伝えすることで、結果解決に至ることもあります。

――TOTOが間に入ることでトラブルを防止することができますね。

北リーダー まず未然防止という観点が重要です。施工するうえで、お客様に知っておいてもらいたい情報は数多くあります。お客様が事前に情報を知っておくことでリフォーム店とのやり取りもスムーズに進みます。また、もしトラブルが発生した際にも、両者間で話し合うと感情も入りますので、TOTOが両者のお話をお伝えするお手伝いをすることで解決に向けてスムーズに進んでいきます。

リモデルクラブ店への加盟には条件もありますが、地域に密着し、みなで「良質なリモデルを提供する」という思いを持ったリフォーム店と、これからも取り組みを進めていきます。

【施工管理技士の面接対策】聞かれることが多い質問5選 [PR]

この記事のコメントを見る

この記事をSNSでシェア

こちらも合わせてどうぞ!
「喫煙者は採用しないし、出世もできない」 130人が禁煙に成功したリフォーム会社のブランディング戦略とは?
「夕方は不陸が怖い」建築現場監督2人のキモい職業病。いくつ共感できる?
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
モバイルバージョンを終了