大事故で現場が血の海に
安全担当をしているプラント工事現場で、大きな事故が起きた。
私は現場に入っている複数のサブコンの中の1つの会社で安全担当をしているが、今回事故を起こしたのは別のサブコンで、その会社は以前から何度も大小さまざまな事故を起こしている会社だ。
事故があった日、私は休みだったため、次の出勤日の朝にその話を聞いた。
事故の経緯はこうだ。
外部基礎コンクリートの天端のアンカーボルトに鉄骨柱脚を落とし込んだ際、アンカーボルトとの位置が合わず、やむなくアンカーボルトを切断し、ケミカルアンカーで代用しようとしたところ、アンカーボルト切断中に作業員が片手でサンダーを操作したために、刃が弾かれ、左手の肘関節付近に刃が食い込み、骨まで見えるような状況で、周りは血の海になっていたそうだ。
肘の筋肉が断裂し、元のようには動かないだろう。警察や救急が来て大騒ぎだった、と作業員から聞いた。
しかし、朝礼で元請けの人間が説明したのは、刃が皮膚にあたり怪我をした程度の話だった。不思議なことに、元請けはサブコンに大した注意もせず、現場は何事もなかったかのように進んでいる。
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事故が頻発する現場
この現場に来て、最初の2週間で2回の単管落下事故が起こり、それ以外にも、表には出てこない小さな事故はこれまで毎日のように起こっている。
今回は、警察まで現場に来るような大事故だったにも関わらず、現場は一切止まる気配はなく、普通に稼働している。
前の単管落下事故といい、今回のサンダー事故といい、一歩間違えば死亡事故につながっていたかもしれない事故で、重大ヒヤリハットを通り越している!と認識すべき事案だ。
ヒヤリハットの連続が大きな事故につながる。少なくとも、1つのことから何かを学び、もし失敗したなら二度と同じ失敗を繰り返さない心構えが何より必要だ。
事故が減らない理由
ほとんどの作業員は、現場で守らなきゃいけないことはなにかを理解している。なぜフルハーネス安全帯を身に付けるのか?なぜ安全帯フックの先掛けをしろと言われるのか、みんな分かっているはずだ。
にも関わらず、事故が減らないのはなぜだろうか?
それは、人間には感情があるからだと思う。事故は、人間が感情の制御がきかなくなった時に起きる。感情が乱され、平常心が保てなくなった時に事故が起こる。
普段だったらあんなことはしないのに!いつもはしっかり確認するのに!あの時に限って!といった感情の乱れが、事故の原因になっていることが多い。
感情をコントロールするのはその人自身の責任だが、作業員は毎日ノルマが与えられ、安全が大切だと分かっていても、作業の種類や場所によっては危ない体勢で作業をしなければならない時もある。
そんな時に怒鳴るように注意されたり、罵倒されたりしたら、分かってるよ!うるせ~なぁ!とイライラの原因になりかねない。
注意や指示の仕方1つで作業員の感情が乱れ、それが事故の要因になるかもしれないと考えれば、まずは真剣に伝えることが第一で、嫌味タップリ皮肉交じりの伝え方なんて言語道断だ。
安全担当者の心得
作業員の言い分も忘れてはいけない。もっと作業しやすい足場をつくってくれ!作業する側だって無理矢理危険な作業はしたくないし、ちゃんとしてくれないからやむを得ず与えられた環境の中でやっている!そもそも作業員は弱い立場なんだから、あれこれ要求なんかできないよ!という彼らの本音を汲み取ってあげなければいけない。
本当に作業員の安全を考え、かつ安全担当の職務を全うするには、安全担当者も施工管理者と同じく、その場の状況や人に応じて臨機応変に指示指導をしなければいけない。
安全担当の人間は、言われる側の気持ちを考えない、心のこもっていない画一的な指導では、効果はあげられないことを肝に銘じるべきだろう。安全担当者こそ、機械人間では務まらない!ということだ。
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