以前、羽田空港のアクセス鉄道基盤整備について記事にしたところだが、そこから1年半が経過したころ、主要な工事が急ピッチで動き始めたという情報を得た。じゃあということで、東京空港整備事務所をはじめ、1月下旬時点で動いていた3つの現場を回って、取材してきた。
羽田空港アクセス線基盤整備事業の現場に迫るシリーズとして、全5編にわたって公開してきた。
最終編となる今回は、番外編として、鹿島・東亜・あおみJVの若手社員である鬼頭沙知さんと中村駿太くんにいろいろお話を伺ってきた。
鬼頭 沙知さん 鹿島・東亜・あおみJV 羽田アクセス線シールド工事事務所
中村 駿太くん 鹿島・東亜・あおみJV 羽田アクセス線シールド工事事務所
入社2年目の機械職と入社1年目の土木職
――こちらの現場ではなにを担当していますか?
鬼頭さん 私は機械職で、入社2年目です。機械と電気を担当しています。機電担当は私を含め3名いて、チームで動いています。シールド工事はまだ始まっていないので、今は現場環境の整備として電気、生活用水や工事用水の準備のほか、シールド工事の計画づくりといった仕事をしています。私は2024年4月にこの現場に配属されました。私が担当する初めての現場です。
中村くん 私は入社1年目の土木職です。シールドマシン掘進時における周辺地盤や空港施設物への影響を計測管理するための計測工を担当しています。私も初めての現場でわからないことばかりなので、毎日が勉強です。
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私のこれからのキャリアの原点になる
――こちらの現場の印象はどうですか?
鬼頭さん この工事はいわゆる都市土木です。第2ターミナルや空港警察署が近接していることや、シールド工事をするには決して広くないヤードなので、限られた場所をうまく活用しなければなりません。空港島特有の制約や障害があり難しく、とてもやりがいのある工事と感じています。
中村くん 入社して初めて担当する現場ですから、私のこれからのキャリアの原点になると思います。日々、現場の中の動き、工事の進捗を見ているところです。他の現場を知らないので、比較はできませんが、シールド工事以外にもいろいろな工種を見られるので、良い現場に配属されたと思っています。
整然とした現場が安全確保と印象アップにつながる
分電盤を点検する鬼頭さん(鹿島JV写真提供)
――担当する仕事で気をつけていることなどはありますか?
鬼頭さん 羽田空港のそばに現場があるので、飛散物を出さない、空港設備を損傷させないの2点に留意した作業手順の作成と現場管理を心がけています。
羽田空港は日本の玄関口ということもあり、多くの人の目に触れる施工環境です。私自身も2024年に羽田空港を利用したことがあるのですが、自分の現場が空港利用者からどんなふうに見えているのか、他の現場はどうなのか、注目して見たことがあります。やはり整然とした現場であることが、安全確保と印象アップにつながると改めて実感しました。これからも整然とした現場づくりに向けた現場維持管理に努めていきます。
あとは、構内のケーブルや配管については、ゲートや地面などをキレイにはわせるように心がけています。ケーブル類の取り回しが乱雑だと、現場が整理整頓されていない印象を与えるので、ちゃんとプロテクターをつけて、邪魔にならないように、目立たないように、キレイにはわせて取り回すようにしています。
関係者と綿密なコミュニケーションをとることに留意しながら施工を進めていきたい
水準測量する中村くん(鹿島JV写真提供)
中村くん 当然のことですが、空港運営に支障をきたさない施工計画とすることに努めています。シールド掘進経路上には、滑走路のみならず、警察や貨物ヤードといった空港運営において重要な役割を持つ施設が集中しています。
このような環境下であることを踏まえて、今後もさまざまな関係者と綿密なコミュニケーションをとることに留意しながら、施工を進めていきたいと考えています。
自分が悩んだこと、行き詰まった経験をマニュアル化して継承したい
――こちらの現場の働き方はどうですか?
鬼頭さん 約1年間の現場業務を通して、「若手社員はもっと効率的に仕事を進められるのではないか」と感じました。若手が抱える悩みや、仕事のやり方で行き詰まる経験は、先輩方も通った道だと思うので、自分が悩んだこと、その解決方法をマニュアル化して継承していくことで、より効率的に仕事を進められ、残業時間の削減につながると思っています。
また、当現場は本事務所が新築のオフィスビルにあるので、職場環境としてはとても快適だと感じています。都内の現場なので、会社の寮から通勤しています。
一般的にはまだ「工事現場=劣悪な環境(水回りが汚いなど)」というイメージを持たれているかもしれません。とくに女性はそこに抵抗感を感じているのではないかと思っています。ただ、最近では、会社も現場事務所の内装などにかなりチカラを入れています。私自身、一般的なオフィス勤務と同等の感覚で働けています。これは大きな変化だと感じています。
一般的な社会人として働けているという印象
中村くん 当現場は土日閉所現場ということで、プライベートの時間は確保できていると感じています。GW、夏季、年末年始のタイミングでは、長期休暇もしっかり取ることができています。
働き方に関して言えば、個人的には「週末が休日の一般的な社会人として働けている」、「メリハリをつけて働けている」という印象です。
実務経験を積むことで、機電担当として大きく成長することを期待
――仕事のやりがい、魅力についてどうお感じになっていますか?
鬼頭さん 本現場は昨年春に着工したばかりであり、仮設電気や給排水設備も、私が現場に機電担当として配属されてから、すべてイチから計画されたモノです。私は配属されて以降、これら計画づくりに携わってきました。苦労することもありましたが、自分が計画した設備のもと、工事が進んでいくのを実感できることに、とてもやりがいを感じています。
私はもともと、シールド工事にとても興味があったので、本現場への配属を希望していました。これからシールドマシンの設備計画を担当する予定なので、現場管理業務だけでなく、設備計画においても実務を経験することを通じて、機電担当として大きく成長できることを期待しています。
将来的には防災に資する技術開発を担いたい
中村くん やはり、好きなことを通して多くの人々の役に立つことができる点、社会貢献できる点にやりがいを感じます。高校時代に、扱うもののスケールに惹かれて土木の道を選び、大学・大学院で土木工学の奥深さを学びました。
現在、土木の実務に取り組むことを通じて、ますます土木に魅了されています。将来的には、自然災害に対する防災に資するような技術開発を担いたいと考えています。