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背番号は「なんでも屋」?国交省キャリアに職場遍歴を聞いてきた

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四国の犬
公開日:2023.12.21
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森山 崇さん 国土交通省四国地方整備局 土佐国道事務所長

森山 崇さん 国土交通省四国地方整備局 土佐国道事務所長

目次
  1. 様々な仕事を経験したからこそ感じる、仕事のやりがいとは
  2. 地域の建設会社さんは地域の担い手、守り手
  3. 環境に興味があって入ったら、そこは土木だった
  4. 「防災をやりたい」と言ってしまった
  5. 最初の6年間は自分の専門性がよくわからなかった
  6. 旧省庁ごとに大事にするものの観点が違う
  7. 人事担当から「次はインドだから」
  8. 人事担当から「会ってもらいたい人がいる」
  9. 大きなスケール感を持って仕事ができるのが魅力

様々な仕事を経験したからこそ感じる、仕事のやりがいとは

2023年4月に四国地方整備局土佐国道事務所長に着任した森山崇さんに取材する機会を得た。

聞いたところでは、国土交通省の職員には、入省時に「道路屋」や「河川屋」といった「背番号」が暗黙のうちに付くらしいのだが、森山さんのこれまでの職場遍歴に照らすと、それらしい経歴が見当たらない。強いて付ければ、「なんでも屋」になるのだろうか。それぐらい、バラエティに富んでいる。

そんな森山さんにとって、国土交通省の仕事のやりがい、魅力はどう映っているのか。これまでのキャリアを中心に、お話を聞いてきた。

地域の建設会社さんは地域の担い手、守り手

インタビューに答える森山さん

――まずは、所長としての抱負をお願いします。

森山さん 国土交通省の仕事は、事務所があってナンボの仕事だと思っています。土佐国道事務所の場合は、国道の管理延長が約340kmほどありますし、四国8の字ネットワークのミッシングリンク解消に向けた事業も担当しています。維持管理もあれば、改築もあって、やるべきことがたくさんあります。責任ある立場として、しっかり進めていきたいと思っています。

前職が四万十市の副市長だったので、県内34ある市町村の首長さんの多くと面識があり、一緒に仕事をしてきました。なので、所長就任のご挨拶に行っても、「副市長だった森山さんだよね」という感じで、親近感を持って受け入れてもらっています。こういう人事は珍しいですが、ありがたいことだと思っています。高知はインフラ整備が遅れていると言われることが多いですが、首長のみなさんとコミュニケーションを図りながら、ご期待に応えていきたいと思っています。

建設産業のみなさんとの関係も大事だと思っています。私はJICAの専門家として、インド政府に派遣されたことがあるのですが、そのとき痛感したのが、日本の建設産業の方々と一緒に仕事をしないと、海外では一人では何もできないということでした。高知の建設産業でも、担い手不足が問題になっていると認識していますが、地域の建設会社さんは地域の担い手、守り手という役割を果たされています。中長期的に見て、地域の建設会社さんが持続的に発展していくため、われわれとしても取り組んでいく必要があると思っています。

環境に興味があって入ったら、そこは土木だった

――そもそもの話になりますが、なぜ国土交通省に入省したのですか。

森山さん 大学入試は、これからはITの時代だし、パソコンを勉強したいと思っていたので、電気情報工学科を受験しました。ところが落ちてしまったんです(笑)。それで、環境に興味があったので、地球環境工学科に入ったのですが、そこが実は土木工学科だとはまったく知りませんでした(笑)。始まりはそんな感じでしたが、多くの人と関わり、時に人命にも関わる「市民のための工学」という理念に共感したので、土木(建設都市工学コース)を学ぶことにしました。研究室は防災地盤工学で、降雨及び地震に伴う斜面崩壊のリスクマネジメントについて研究しました。

この研究室の先生は国土交通省のOBの方でした。就職先はゼネコンか国土交通省が良いかなと思っていたのですが、先生のススメもあって、国土交通省に入省しました。今思えば、行政に近い分野を研究していたと思います。

「防災をやりたい」と言ってしまった

――国土交通省でなにをしたいというのはあったのですか?

森山さん 面接では「防災をやりたい」と言いました。なので、面接官には「道路でも河川でも港湾でも、どこでも大丈夫そうだな」と思われたのかもしれません(笑)。まったく国土交通省のことをわかっておらず、今思えば失敗ですね(笑)。

最初の6年間は自分の専門性がよくわからなかった

七飯大沼道路の事業地の景観検討のため立ち寄った大沼国定公園。ラムサール条約登録湿地(本人提供)

七飯大沼道路の事業地の景観検討のため立ち寄った大沼国定公園。ラムサール条約登録湿地(本人提供)

――最初の配属先はどちらでしたか?

森山さん 関東地方整備局の相武国道事務所でした。首都圏中央連絡自動車道を担当しましたが、建設予定地に不法投棄問題があって、橋梁からトンネルに計画を変更する必要がありました。大変忙しい1年目でした。

2年目は、同じ関東地整の港湾空港部配属になり、スーパー中枢港湾などの施策を担当しました。仕事自体はなかなか楽しくて、「道路だけじゃなく港湾もおもしろいな」と思っていたのですが、その後は本省に戻って、土地・水資源局で土地利用を2年間やってから、総合政策局で環境・リサイクルを同じく2年間やりました。どちらも分野横断的な仕事でした。なので、最初の6年間というものは、自分の専門性というものがよくわからないまま、仕事をしていた感じです。

その後は、北海道開発局に4年ほどいました。最初の2年は函館道路事務所勤務で、函館新外環状道路、七飯大沼道路、函館茂辺地道路などの道路事業のほか、道路事業に関わる地元説明や、長大トンネルの構造検討、環境懇談会などの委員会対応などを担当しました。その後、本局では道路維持課で、大雪対応などの道路防災(通行止め対応)、交通安全事業、電線共同溝事業、ETC2.0の活用施策などを担当しました。

あと、北海道にいるときに、建設部門(建設環境)、建設部門(道路)、総合技術監理部門の3つで技術士を取りました。公務員の持つべき技術力ってなんだろうと悩んでいた時期だったので、自分の技術力を向上させたいという思いから、取りました。

――北海道勤務はどうでしたか?

森山さん 最初に函館勤務と聞いたときは、かなり驚きました(笑)。北海道についてはなにも知らず、引越はクルマで行ったのですが、津軽海峡が橋でつながっていないことを実感した初めての経験でした(笑)。津軽海峡・冬景色という曲がありますが、まさにそんな光景のところを渡った記憶があります。

――素朴な疑問なんですが、地方整備局と開発局はなにが違うんですか?

森山さん 基本的には同じです。省庁再編の前は省庁が別でした。もともとは北海道開発庁がありましたが、建設省、運輸省、国土庁とともに2001年に再編統合され、国土交通省になった経緯があります。北海道開発局は、他の地方整備局と同じく、国土交通省の地方支分部局ですが、たとえば、道路、河川、港湾の土木職員のほかにも、農業土木、漁港を担当する職員も一緒になって仕事をするなどの違いはあります。また、北海道一括計上の予算の仕事や北海道総合開発計画など北海道でないと経験できない仕事もあります。

「北海道勤務は二度泣く」という言葉がありますが、まさにそういった心境でした。

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基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
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