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【羽田空港アクセス線基盤整備事業の現場に迫るシリーズ第1弾】東京空港整備事務所編

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四国の犬
公開日:2025.03.28
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関東地方整備局東京空港整備事務所 提供

関東地方整備局東京空港整備事務所 提供

目次
  1. 工期が短く、施工環境がキビしく、地盤が悪い
  2. JR工事乗り込みに間に合うよう、工事完了を目指す
  3. 多岐にわたる関係機関との協議を遅滞なく、密に行う必要がある
  4. 軟弱地盤な上、支障物が多く、なかなか順当に施工が進まない
  5. ECI方式を採用し、設計段階から施工者の技術提案を募る
  6. 道路交通や近接構造物などへの影響を抑え、狭隘なエリアで支障物に対応しながら施工する
  7. 空港内施設への影響を最小化しながら、安全かつ確実に地中接合する
  8. 学識者が的確、中立な技術提案かどうか審査
  9. 施工者ごとに「工事をちゃんと工程通り進めたい」という思いが随所で出てくる
  10. 「ちゃんと休め。でも、工期はちゃんと守れ」という矛盾
  11. どんなに工期がタイトでも、やはり安全が第一

以前、羽田空港のアクセス鉄道基盤整備について記事にしたところだが、そこから1年半が経過したころ、主要な工事が急ピッチで動き始めたという情報を得た。じゃあということで、東京空港整備事務所をはじめ、1月下旬時点で動いていた3つの現場を回って、取材してきた。

羽田空港アクセス線基盤整備事業の現場に迫るシリーズとして、全5編にわたって公開していく予定だ。

第1弾では、東京空港整備事務所編として、同事務所職員への聞き取りなどをもとに、同事業の概要や進捗・見通しのほか、クリティカルだと思われるポイントについて、ザックリ整理しておく。

※役職は2025年1月下旬の取材時点

今 隆之さん 国土交通省 関東地方整備局 東京空港整備事務所 事業調整課長

今 隆之さん 国土交通省 関東地方整備局 東京空港整備事務所 事業調整課長

山本 篤志さん 国土交通省 関東地方整備局 東京空港整備事務所 第七建設管理官室長

山本 篤志さん 国土交通省 関東地方整備局 東京空港整備事務所 第七建設管理官室長

横山 英智さん 国土交通省 関東地方整備局 東京空港整備事務所 第七建設管理官空港整備係長

横山 英智さん 国土交通省 関東地方整備局 東京空港整備事務所 第七建設管理官空港整備係長

工期が短く、施工環境がキビしく、地盤が悪い

羽田空港アクセス線基盤整備事業は、JR東日本の羽田空港への乗り入れと京急電鉄の羽田空港内駅の引上線延伸に伴う、空港島内でのJR線のシールドトンネル工事(約1.9km)、JR線の開削トンネル工事(約500m)、京急駅舎の歩行者通路の切り回し工事、京急引上線のシールドトンネル工事(約300m)などの工事で構成される。

同事業のクリティカルポイントとしては、工期が短いこと、施工環境がキビしいこと、地盤が悪いことが挙げられる。

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JR工事乗り込みに間に合うよう、工事完了を目指す

工期に関しては、JRの2031年開業が決定事項となっている。レール敷設などの鉄道関連工事の期間を加味すると、開業の数年前までには基盤整備事業を完了させる必要がある。

同事務所の今隆之・事業調整課長は「空港島の躯体ができたら、JRが工事に乗り込んでくる。それに間に合うように施工する必要がある。そのためには、しっかり全体の工程調整をしなければならない。とくに、JRとの乗り込み調整はかなり密になっていかなければならない。これが今かなり大きな課題になっている」と話す。

ただでさえタイトな工期だが、ここにさらに、働き方改革への対応という足かせがつく。関係者にかなり大きなプレッシャーがかかっていることは想像に難くない。

多岐にわたる関係機関との協議を遅滞なく、密に行う必要がある

施工環境については、いくつかの道路を何度も切り回さないと作業ヤードすら確保できなかったり、直近に既設構造物があったり、滑走路直下をシールドで抜く必要があったり、現場が輻輳していたり、望ましからぬ条件がズラリと並ぶ。

各現場の施工環境のキビしさについて、今課長はこう話す。

「P3駐車場前開削工事に際しては、ヤードを確保するために空港内周回道路および国道357号線を振替する必要があることから、警視庁や空港事務所・国道事務所との協議を遅滞なく行うことに加え、P3駐車場利用に影響が生じないように駐車場管理者との協議を密に行うこと、道路振替時には事前にHPなどにてアナウンスを確実に実施するよう心がけている」

「また、JRシールドトンネル工事については、シールド掘進時に影響がないかどうか確実に把握するためにも、掘進エリアに近接する建屋、滑走路、誘導路などの全てに計測機器設置を行うための事前協議を行うなど、影響回避を目的とした関係機関との協議が多岐に渡っている」

軟弱地盤な上、支障物が多く、なかなか順当に施工が進まない

施工環境に加えて地盤も悪い。海に面した埋立地なので、地下水位が高く、軟弱地盤だ。そこにはガレキやゴミといった支障物がこれでもかと埋まっている。

地盤の問題について、同事務所の山本篤志・第七建設管理官室長はこう話す。

「羽田空港はもともと、埋め立ててつくっている。島自体が軟弱地盤なので、どこで施工しても地盤改良が必要になる。その際にも、コンクリートのガレキやタイヤ、鉄筋など、とにかくいろいろなモノが出てくる。そういうことを繰り返しながら、施工を進めている状況なので、なかなか順当に施工が進まないというのが、実情だ」

ECI方式を採用し、設計段階から施工者の技術提案を募る

これらのクリティカルポイントを乗り越えるための方策として、工事発注に際し、ECI方式(技術提案・交渉タイプ)が採用されている。ECIとは、Early contractor involvementの略で、平たく言えば、どうすればうまく施工できるか、工事の早い段階(設計段階)から施工者に参加してもらって、施工者にしっかり考えてもらう方式だ。同事業におけるECI案件は、1月下旬時点で2件が工事着手済み(同事業のECI案件は全4件)だ。

工事着手済みのECI案件としては、

  • 清水建設が受注した東京国際空港空港アクセス鉄道開削部(P3駐車場前)躯体築造工事(JR新駅のホーム部分の工事)
  • 鹿島・東亜・あおみJVが受注した東京国際空港空港アクセス鉄道シールドトンネル他築造等工事(空港島内の鉄道トンネル工事)

の2つの工事が挙げられる。

道路交通や近接構造物などへの影響を抑え、狭隘なエリアで支障物に対応しながら施工する

清水建設の工事は、P3駐車場前の通り抜け道路、周回道路、国道357号の近傍、地下に延長約0.25kmの開削トンネルを掘り、ホーム(2層構造のコンクリート躯体)を構築するというものだ。

東京空港整備事務所では、P3駐車場前の開削トンネル工事の発注に際し、

  1. 道路交通や駐車場利用者への影響を最小限にする必要
  2. 狭隘なエリアの中で、近接構造物に影響を与えないように施工する必要
  3. 地中障害物の存在や地盤改良の造成不良といった施工リスクへの対応が必要

の3つを課題として整理し、清水建設から提案のあった内容に関してECI設計協力業務の中で協議・精査されたものが設計に組み込まれている。

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コメント(1)

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  • - 2025/03/29 22:33

    東京は開発が大分進んでいるのでコストがかかりすぎないでしょうか?

    少しはなれるだけでもコスト削減になる気がするw

    東京、大阪以外の拠点を作るのもありでは?

    関東地方整備局は外部に発信している資料などが充実していて

    素晴らしいのですが地方との格差がなんだかなぁと思っちゃいますねw

    何年前の資料や情報だよと思うことが地方では発生していますねw

    関東から優秀な人材を地方に出向させて欲しいものですね!

    返信する 通報する

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