「ご安全に!」事故一歩手前だった3つの事例
建設現場は、常に危険と隣り合わせです。そのため、「ご安全に!」と、しつこいほど細心の注意を払っています。しかし、それでも少しの気の緩みによって、危険な場面に出くわしてしまうのが建設現場です。
私が経験した事故一歩手前だった3つの事例を紹介させていただきますので、気を引き締め直していただければ幸いです。
暴れるサンダー!使用時はルール確認を
これは私が現場で目撃した危険な事例です。
ある若い職人がサンダーを使おうとしていました。サンダーとは、木材や金属の研磨に使用される、または、鉄を切るために用いられる工具。ほとんどの金属切断に対応していることからも、その切れ味は想像以上となっています。
常識ですが、充電式でないサンダーを使用する場合、電源が入っていないのかを確認する必要があります。しかし、若者はその作業を怠ってしまいました。当然、コンセントを入れた瞬間からサンダーは動き始めます。
経験がある人もいるかもしれませんが、コンセントを入れた瞬間のサンダーの思いもよらない振動には驚きます。若者も同じでした。そして、驚いた彼はサンダーを手放してしまったのです。
その瞬間、サンダーは制御不能な凶器に早変わり。若者は大慌てで、私も戸惑いあたふたしました。
そして次の瞬間、彼は驚くべき行動に出たのです。慌て過ぎて冷静な判断を失ってしまったのでしょう。何と片足を上げて、暴れて動きまわるサンダーを踏みつけようとしたのです。狙いを定める彼。暴れるサンダー。言葉を失い動けない私。そこへ走ってくる先輩らしき職人。
その先輩の慎重かつ大胆な行動によって、コンセントは引き抜かれ、暴れサンダーは停止しました。
「バカヤロウ!」駆け付けた職人に頭を叩かれる若者。胸をなでおろす私。危険性を大声で訴える先輩。
一歩間違えれば大怪我につながる事例でした。道具の使い方には気をつけましょう。
ご安全に!
いきなり「全力」は危険
次の事例は、配管撤去時に起こった出来事です。
改修工事などの場合、古い配管などを撤去しなければいけません。配管が壁を貫通している部分は、抜けにくい場合があるため職人の中には、最初から全力で配管を引き抜こうとする人がいます。ある程度の負荷が必要だと思い、それなりの力を入れてアクションを起こすわけですが、そんなに力が必要なかった場合、思いもよらない事態につながります。
その職人さんは不安定な脚立の上で、配管を力いっぱい引き抜きました。が、配管は思ったよりも簡単に抜けてしまい、すっぽ抜ける形でバランスを崩した職人は脚立から落下。彼が落ちた辺りには、それまでに引き抜いた配管や、切断した配管が転がっていました。
運がいいことに、怪我はしませんでしたが、もし落ちた場所が悪くて、それが刺さっていたらと考えると、内臓の奥辺りがギュッとなります。一歩間違えれば大怪我につながるような事態でした。
いつでも「全力!」はとても素晴らしいのですが、力を入れてアクションを起こす前に、どれほどの力が必要なのか必ず確認しましょう。
ご安全に!!
ステージからバンジー!?
3つ目の事例は、ステージでの出来事です。ステージとは、大きな建物を建てる際に、資材の搬入をしやすいように設けられる仮設の部分のこと。ベテランの職人さんの中には「構台」と呼ぶ人もいらっしゃいます。
この現場では、ステージに何人かの職人が集まり、材料を受け取ろうと待機していました。下では、引き上げるべき材料の準備をしている真っ最中。まだ、時間がかかると判断した職人たちは、ステージに座って待機していていました。
横一列に並んで座っていた職人たち。ほとんどの職人は、柵を背もたれにして座っていました。しかし、一人だけ後ろに柵がなかったのです。同じように柵があると思って、もたれかかった彼は、あやうく紐なしバンジー状態になるところでした。
今、思い出しただけでも本当にゾッとしますが、実はこの事例は、私自身が経験した出来事でした。背もたれがなかった私は、慌てて隣の職人の腕を掴みました。幸いにも、隣にいた屈強な職人の力によって事なきを得たのですが、一歩間違えれば大変な事態になっていました。
作業の疲れがたまっていたのかもしれません。一瞬の気の緩みが大惨事を招いてしまいそうになった事例です。
私の他にも、多かれ少なかれ、自分の身をもって危険を体験した方は多いと思いますが、どんな時も周囲の確認を怠らない。建築現場では、それが一番大切です。
ご安全に!!!
建設現場の事故は防げる
今回、紹介させていただいた3つの事例は、どれも気を付けていれば防げたはずです。
怪我をすると、多くの人に迷惑と心配をかけてしまいますし、何より自分が痛い思いをしてしまいます。
もう一度自分の心構えを見直してみてはいかがでしょうか?
それでは、皆さまご唱和ください。
「今日も一日、ご安全に!」