設計変更で役所担当者を説得する方法
どう考えても、おかしい設計って、ありますよね?
例えば、私が経験した法面工事の場合、こんなヒドイ設計がありました。
- もの凄い不陸法面で受圧板。しかも背面処理の無い設計で、「こんな所にどうやって受圧板つくの?」
- ロックボルトで明らかに破砕帯でシングル削孔(現場条件Ⅰ)で、「2重管でないと無理じゃね?」
- 法枠の形がおかしすぎる。縦梁は垂直まっすぐなのに、横梁は道路勾配と同じで斜めになってる。最初から全部菱形に。
・・・こんな場面はたくさんあるのですが、現場監督は現場を止めずに、設計変更に対応する必要があります。
そして、設計変更の手続きで最も大変なのは、やはり「役所担当者」を説得させることではないでしょうか?
※この記事は『新エンタの法面管理塾』の記事を再編集したものです。
施工者の天敵、無気力型公務員
設計変更の手続きでは、次のような「役所担当者」たちが、われわれ施工者の前に立ちはだかります。
1.無気力型公務員
一番厄介なのが、無気力型公務員です。
対応が遅い、協議書を放置、上司への連絡ナシ、そのくせ意外に自己顕示欲は強い。
そして、なぜ変更する必要があるかを理解しないし、理解できない。
結局、お金を抑えることを最も重要視しているため、ゼッタイに施工に必要な部分が見えてこないので苦労します。
2.頑固型公務員
頑固型公務員の攻略もかなり苦戦します。
理由もクソもなくダメ。とにかくダメ出しをしてきます。発展的な話ができないので、話が遅々として進みません。
全て図面通りでなければ納得しない役所担当者は少なくありません。
3.防御型公務員
防御型公務員は、まだマシです。話も通じますし、理解もしてくれます。
しかし、それまでの打合せ簿から、協議書の細部にわたるまで、とてつもない量の資料作りを要求されます。
書類の量はかなり多くなるので大変ですが、根拠になる書類さえ作成してしまえば、こちらの信用度も上がるので、無気力型公務員や頑固型公務員よりも攻略はラクです。
この防御型公務員は、自分自身の防御(理論武装)は完璧なので、出世して偉くなる傾向にあります。
役所担当者という動かぬ「山」の攻略方法
このようなクセのある役所担当者たちを説得させるためには、最低限の資料と根拠が必要になります。
しかし、それだけでは、「山」は動きません。
その地域の過去の施工事例なども、ひっぱり出してきて援用しましょう。図面でコレがこうなるとか、変更した場合の設計計算書での根拠付けとか。
変更時の積算資料、数量計算、変更図、工程計画なども必要になる場合があります。全ての資料を作成し、筋道を通してストーリーを描きます。それを役所担当者に伝えて、課長などの決裁権のある方にまで通していただくわけです。
設計変更までのストーリーは非常に大事です。ストーリーなくして設計変更はあり得ません。全てにおいて整合性がとれて、つじつまが合うことが大事なのです。
それが役所の仕事でもあるので、そこは理解しつつ、こちら側も歩み寄りを見せましょう。
打合せ簿や協議書の提出
それでも駄目な場合がたまにあります。
どうしても設計通りやれと言う、どうしても動かない「山」が!
コレはもう回避できない、となれば、それまでの経緯の打合せ簿や協議書をゼッタイに提出しましょう。
可能であれば、受け取ったという押印も貰えれば、なお良いのですが、役所によってはマズい書類は受け取りません。破棄されたり、日付変更されたりすることもあります。
また、その図面で施工するという指示書を貰うことも大事です。役所が指示したのであれば、検査時に話ができます。
しかし、災害や国補とかの工事名の場合は変更が難しいです。最初から役所と細かく打合せをする必要があるので気をつけて下さい。
また、変更時の金額が3割を超えないようにしなければならない場合が多いため、その辺の調整も必要になってきます。
試験施工とOB作戦
どうしても施工ができない場合は、試験施工を実施するしかありません。
削孔工事の場合は特にです。2重管でしかできない場合は、シングル削孔で試験施工を行います。
それを役所の立会のもとで行います。
その後に設計変更となるので、若干時間が掛かる場合があります。
さらに最終的な大技としては、俗に言うOB作戦がありますが、コレは使える会社とそうでない会社があります。