建設コンサルの女性技術者が語る土木設計
工業高校や高専、大学の先生などに話を聞くと、「土木を学ぶ学生はここ数年、施工管理よりも建設コンサルタント志向が目立つ」と言う。「現場に出るより、楽そう」というイメージがあるらしい。
一方、コンサルに入社したものの、発注者の下請けのような仕事を大量に押し付けられ、幻滅して公務員などに転職する人間もいると言う。コンサル業務の実態はどうなっているのか?
宮崎県内のとある建設コンサルタント会社に勤務する二宮知子さんに、日々の仕事ぶりなどについて話を聞いた。
建設コンサルタントで道路設計、都市計画をかじっている
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
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二宮知子さん
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
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二宮知子さん
もう仕事には慣れましたが、主体的に仕事に取り組む中で、自分だけでは考えても決断できないこと、悩むこともありますから、先輩方にいろいろ教えて頂いています。
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
「紅の豚」フィオちゃんに憧れて、土木設計の世界へ
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
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二宮知子さん
ドラフターで図面書くのがスゴくかっこよくて、漠然と設計者になりたかったのが、そもそものきっかけです。
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
それで、もっと身近なものが良いなと思い、その後は建築系か土木系か迷って、土木の設計の方が地図に残ってスケールが大きいし、不特定多数の人の役に立てるので良いなと考えるようになりました。
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
台風が去った後、堤を上ると、まちだった場所が一面浸水し、海のようになっているのを目の当たりにしたんです。そのとき「ある日突然、日常が壊れることがあるんだ」と痛感しました。当時、土木って政治的なこともあって、イメージが良くなかったんですが、日常生活を支える土木の仕事って良いな、と思いました。
都会勤務を希望するも、面接で「どうせ宮崎帰るんでしょ?」
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
でも、「なんか違うな」という感じがしました。就活を通じて、大学で学んだことを活かせる仕事が良いと考えるようになりました。
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
当時は土木の仕事が落ち込んでいる時でしたし、人を雇うのに慎重だったのだと思います。ただ、やはり建設コンサルタントの仕事がしたいと思い、宮崎で就職しました。結果的には、地元で就職して良かったと思っています。
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
建設コンサルで、カタチを決める過程を見たい
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
コンサルは、図面を作成にあたって、カタチになるまでの選択が見えるのが良いな、と考えました。
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
2年目から主担当をさせてもらえるようになって、設計図をはじめ、打ち合わせ資料なども全部自分で作るようになりました。自分でやるようになって、ドンドン仕事を覚えていった印象がありますね。
自分で設計した現場を見て「まぶしい」「すげー」
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
例えば、発注者にうまく説明できなかったりとか、仕事を任せてもらえなかったりしたことがあって、後々悔しくなってポロリみたいな(笑)。
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
無事故施工であれば特に。自分で設計したモノですが、「まぶしい」「すげー」みたいな感じで(笑)。
例を挙げるなら、砂防堰堤の補修設計ですかね。コンクリートを追加して補強する仕事で、モノが大きかったので、印象に残っています。昔の砂防は、今の基準と全然違うカタチなので、齟齬があるんです。補強するより、新設したほうが安い場合もあります。
あとは、老朽化したJR駅前広場の設計です。皆に安全に快適に使って頂くにはどうしたら良いか、街のシンボルリックな駅にするにはどのような景観が良いか、何気なく使っている駅ですが、配慮することがたくさんあります。人によって、良いと感じるものも違いますから、議論して、皆の様々な意見を集約して、一つの形にする難しさややりがいがありました。
「日常生活を支える」建設コンサルタントのやりがい
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
実際のところ、自分に与えられた仕事を一生懸命やるしかないと思っています。どの仕事もやりがいがあって楽しくなると思っているので、特に分野を限る必要はないのかなという気がしています。もちろん、ある程度の専門性は必要なので、技術士の資格は取りたいですね。
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
日常生活を支えている実感があるところに、建設コンサルの仕事の醍醐味があると考えています。生活道路は当たり前にあるもので、通れなくなって初めてありがたみが分かるところがあります。「当たり前のものを、当たり前に利用できるようにする仕事」にずっと関わっていきたいですね。
「女性だから、男性だから」がなくなるのが一番良い
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
土木の仕事は、生活に密着したものなので、消えてなくなることはないと考えています。自分に技術力さえあれば、日本のどこでも、世界のどこでも建設コンサルの仕事はできると思っています。
大石(施工の神様 ライター)
二宮知子さん
私自身、一技術者として扱ってもらえた時が嬉しいです。技術者を比べるなら、女性というくくりではなく、同じ年齢やキャリアで比べるのが、フェアだと思っています。まあ、ある程度は仕方がないとは思うんですけど…。
大石(施工の神様 ライター)