すれ違う職長たち。クレーン車を手配するのは誰?

すれ違う職長たち。クレーン車を手配するのは誰?

報連相を怠って無用なトラブル…

報連相(ほうれんそう)を怠るとどういう事態になるか、建設現場では耳にタコができるほど聞かされます。

建設現場は工事の規模が大きくなればなるほど、作業員の人数も多くなり、関連作業や重複作業も増えます。そのため、無用なトラブルや無駄なコスト面を削減するためにも報連相が必須です。

しかしそれでも報連相を怠ってしまうのが人間です…。

板金屋がクレーン車を元請けに頼む

大規模工場建設に携わった時のこと。私は複数の職種の職長さん達と休憩所でたわいもない話をしていました。

すると、板金屋さんが建屋の屋根の破風の仕舞いをするので、「クレーン車を元請けに頼んで資材を屋上に上げる」ということを言い出しました。それを聞いた他の職長さんや私は、ついでにわれわれの資材も2階や3階に吊り上げてもらえないかという話になりました。

しかし、その時はすでに退場時間だったので、話を明確にはせず、「また明日にでも詳細を聞けばいいか」という感じで、そのまま皆は退場しました。

翌日、私は板金屋さんと打ち合わせをしようと思ったのですが、その日は板金屋さんが現場に入っておらず、打ち合わせが出来ませんでした。

事務所の工程表を見ると、板金屋さんが入るのは3日後…。

現場では「板金屋さんはこの日に荷揚げするのではないか?」という事になり、一応、板金屋さんに連絡を入れると、確かに3日後に入るという電話確認が取れました。そのため、私も他の方々も資材屋さんに連絡を入れ、3日後に資材を現場に入れてもらう手配をしました。


クレーン車の手配した板金屋さんは…

当日、われわれは目を疑いました。

現場のどこにもクレーン車はありません。板金屋さん以外は全員、「板金屋さんが元請けにクレーン車の手配はしてくれる」と信じていました。

一方、板金屋さんは「どこかの業者が元請けに頼んでくれるのだろうと思っていた」と言います。

しかたなく、われわれはその日、それぞれ手配していた資材を、仮置き場や土場に置いてその場を凌ぎました…。

もし雨が降ったり、梅雨の時期だったりしたら、余計に大変なことになっていたと思います。

本当にちゃんと確認しておくべきだったと、深く後悔した出来事でした。

無用なトラブルや無駄なコストを避けるため、確実な報連相を怠らないようにしましょう!

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さまざまな仕事を経て、10年間ほど内装中心に建設業に従事。その間に2級建築施工管理技士の資格を取り、「さあこれから!」というところで勤務先の会社が経営悪化。断腸の思いで退職。これを機に「本当にやりたかった事」を考えるようになり、建設の道を選ばずに物書きの道を選ぶことに。「物書きに俺はなる!」の夢を今追いかけています。
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