現場監督と職人は、お互いにリスペクトすべきである

現場監督と職人は本当に対等なのか?

私は、施工管理もやり、職人として施工もやっています。積算もやれば、設計もやっています。イロイロな施工管理者とも話しますし、職人とも話をするわけです。

このように様々な立場で働いてると、疑問に思うことがあります。

「現場監督と職人はどっちが偉いのか?」「現場監督と職人は対等なのか?」という問題です。

予算を握る現場監督とケツを割る職人

ある方から、異常に威張る現場監督がいるという話を聞きました。

その現場監督はとにかく命令口調で、自分自身は何もしないタイプ。施工管理も一部職人にやらせているそうです。そのくせ、職人のミスをガンガン突いてくるらしく、現場の雰囲気は最悪。

しかし、現場監督は当然お金(予算)も握っていますから、職人側は何も言いようがありません(決裁権があると思っているのでしょう)。そういった意味では、現場監督のほうが偉いように思いがちです。

ですが、逆に職人がいなければ現場の施工は進みません。

今の人手不足の時代は特にそうなのですが、仕事に入ってからケツを割る職人が増えているそうです。そして、「俺がいなければ仕事ができないだろう?」と人手不足を盾に脅して、単価アップの要求などをしてくるわけです。

現場監督は、職人からそう言われてしまうと何ともできなくなるので、脅されても我慢するしかないんです(私も言われたことがありました)。

そうすると、今の時代は職人が偉いようにもみえます。


現場監督と職人は対等、どっちも偉くない

両方ともお互いに信頼と言うモノは一切ありません。つながりはお金だけ。だから、尚更どっちが偉い?って話しになるんでしょう。

しかし、実際はイコールです。順位はあれど、皆全て対等なんです。役所の仕様書にも「受発注者間の契約が合理的で対等なもの」と書いてあります。つまり、”形式的”には対等なんです。

現場監督のほうが偉いかというと、あくまでも現場代理人は請負会社取締役の代理です。会社が下請業者に支払うお金の権限は、基本的に現場監督には無いんです(権限ある人だとちょっと面倒ですが)。

もし、そんな現場監督がいた場合は、その会社の上司にでも解決してもらいましょう。こういう現場監督は、会社にとっても不利益なんです。大事な職人を私的に粗末に使うわけですから。

それでは、施工会社の職人が偉いかっていうと、そうでもありません。確かに職人は減っていますが、いないわけではありません。探せば助けてくれる業者は必ずいるんです。そうすると、職人も偉くもなんともないですよね。脅してくるような業者はすぐにでも切った方がイイです。

私は、現場監督も職人も、どちらの立場も経験しているので、よく分かります(私は少々、現場監督側に立ち気味ですが)。

ただ、例えば私が職人として仕事をしていておかしいと思ったことは、現場監督に伝えます。それを理解できない現場監督なら、その上司も含めて話をします。現場監督からしたら、私のことを「物言う職人」と感じるでしょう。

しかし、仲が悪くなったり、偉い偉くないとなったことはありません。それは、お互いの立場をわきまえているからだと思っています。


現場監督と職人は共同体

現場を進めていくためには、お互いをリスペクトすることが大事です。

リスペクトとは、相手に敬意を払うことです。現場監督も職人も、双方が敬意を払っているとお互いに仕事がしやすくなります。

現場では、現場監督は若く、職人のほうが年上ということは多いのですが、若い監督にも敬意を払いましょう。今後の建設業界を担う若い芽ですから。うんと勉強してもらって建設業界を背負ってもらいましょう。

そして、若い現場監督は今まで建設業界を背負ったきた職人に敬意を払いましょう。そうすれば、年配の職人も気持ち良く仕事をしてくれます。たったそれだけのことです。

現場内は偉いも偉くないも存在しない空間です。工事現場では、現場監督と職人は完全なる共同体です。建設業は、どちらが欠けても生存し得ない業種ですから。

※この記事は「新エンタの法面管理塾」の記事を一部編集して掲載したものです。

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