「五洋建設×三井住友建設」ライバルゼネコンがコラボ取材OK
福岡市内で福岡都市高速の建設工事が進んでいる。
この現場で橋梁上部工事を担当しているのは、大手ゼネコンの五洋建設と三井住友建設。
工区が隣接する2社の現場には、くしくも、それぞれに40歳過ぎの現場責任者と、入社1年目の女性技術者が一人ずついた。
五洋建設の岩本悟志さん(右)と山本季里子さん
五洋建設
- 岩本悟志さん(五洋建設、入社22年目)
- 山本季里子さん(五洋建設、入社1年目)
三井住友建設の田中誠一郎さん(右)と井上佳純さん
三井住友建設
- 田中誠一郎さん(三井住友建設、入社4年目)
- 井上佳純さん(三井住友建設、入社1年目)
五洋建設と三井住友建設の2社はビジネスの上ではライバル関係。
しかし、年齢も役職も近い彼らは、現場レベルではフレンドリーに見えた。
そこで、ダメもとで同時取材を申し込んだところ、まさかのOK。ライバルゼネコン同士の現場責任者、女性技術者に集まっていただき、禁断のゼネコンコラボ取材を敢行した。
五洋建設、三井住友建設への入社経緯
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・岩本さん
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・岩本さん
最初は大阪配属で、3年目で九州支店に転勤しました。その後は西日本を中心に、いろいろな現場を転々としています。
入社から10年ほど経ち、監理技術者になった後は、広島の支店などにいました。九州に戻って来たのは5年前です。ほとんどが西日本の現場でしたね。
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・田中さん
私は鹿児島の出身で、九州の大学で土木を専攻していました。大学を卒業した後、最初に入社したのはPCの橋梁メーカー。その後、橋梁のコンサル会社に転職しました。それぞれ8年ぐらい在籍していました。
土木を志したのは、ものづくりがしたかったからです。どうせなら「目に見えるものが良い」ので、何となく橋梁に関わったという感じですね(笑)。
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・田中さん
現地ではレジデントエンジニア(駐在技師)という立場で、橋脚を作り直す工事に携わりました。施工管理と発注者支援が主な仕事でした。
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・田中さん
所属するゼネコンは違っても、土木への愛は同じ
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・山本さん
五洋建設を選んだのは、大学3年生のときのインターンシップで五洋建設の現場に行って、印象が良かったからです。
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・山本さん
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・井上さん
もともと建築に興味があったのですが、地震をきっかけに、まちづくりに関心が移りました。高校に進学する頃、大震災が起こりました。直接地震を経験したわけではありませんが、小さい頃、福島で暮らしていたことがあったので。
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・井上さん
インフラでは橋梁が好きだったので、ゼネコンの中でもPC橋梁の実績がある三井住友建設を選びました。
自分で施工した橋梁を10年後にコンサルとして点検
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・岩本さん
橋梁や道路の仕事は、開通した後、自ら通行するのが醍醐味です。でも、実際には、なかなか通行する機会がないんです。工事が終わると、別の現場に転勤になる場合が多いですから(笑)。自分がつくったものがどう使われているかわからないのは残念です。
ただ、新若戸道路は開通後に近くにいたので、一番に通行しに行きました。嬉しかったですね。その他の自分が関わったインフラを見に行くのは、定年後ですかね(笑)。
五洋建設が担当する橋梁上部工事の現場。橋桁の軽量化のため、全国的にはレアな「多角形発泡スチロール(EPS)埋設型枠」が使用されている
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・田中さん
重大な損傷などはなかったんですが、箱桁の中に、施工当時に私が「装置据付完了」と書いた黒板が残っていましたので持ち帰りました(笑)。
パプアニューギニアでの仕事も印象深いですね。現地の人間とのやりとりもあって、お互いカタコトの英語で何とかコミュニケーションをとりながらやりました。
最初は1年間の予定だったのですが、矢板が入らなくて、締め切りだけで1年以上かかってしまい、結局2年間いました。
監理技術者としての苦労と達成感
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・岩本さん
張出し仮設工法での施工だったのですが、経験がなかったので、管理がなかなか難しかったです。でも繋がったときは嬉しかったですね。所長の指示を受けながら、何とか現場を取り仕切ることができました。
五洋建設の新人は安全管理、写真管理、測量が仕事
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・山本さん
今は写真管理、安全管理、測量をやっています。毎日が勉強ですが、「へえ~こうやってつくるんだ」という感じで、刺激ももらっています。
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・山本さん
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・岩本さん
五洋建設の場合、新人の仕事はだいたい安全管理、写真管理、測量の三つで、山本さんには測量をメインにやってもらっています。
今はまだ橋脚の仕事のワンサイクルが終わっていないので、いろいろと大変だと思いますが、数サイクル経験すれば、バッチリ仕事を覚えてくれるでしょう。
今後、職人さんをうまい具合に回していけるようになるかが、彼女の成長を判断する一つの目安になってきますね。
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・山本さん
ただ、今後大変になるだろうとは思っています(笑)。工事が始まったのが2018年の11月からなので、まだ夏場を経験していませんし。
寒いのは、着込むとか工夫ができるのですが、暑いのはどうすれば良いのか。夏がコワイですね(笑)。
五洋建設・岩本さん
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・山本さん
ライバル同士のゼネコンだけど、ちょくちょく密会
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・井上さん
今のところ、現場を見ながら、何が足りなくて何が必要かということを理解していくのが精一杯という感じです。一生懸命覚えることが今の私の仕事なのかなと考えています。
現場に入る前の半年間も、ずっと会社の研修でした。三つの現場を見て回ったり、会社の工場で、図面作成やコンクリート打設などを自ら行う新入社員全員の合宿をやっていました。夏場の作業だったので、ずいぶん日焼けしました(笑)。
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・井上さん
合宿前と合宿後の写真を見比べると、明らかに顔の色が違うので、ちょっとショックでしたね(笑)。
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・井上さん
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・田中さん
もちろん、常に「失敗しろ」と思っているわけではありませんが、失敗は「何で間違ったんだろう」と自分で考えるチャンスなんです。リカバリーの方法とか、いろいろと学ぶことがあります。
三井住友建設・井上さん
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・山本さん
お互いの連絡先を交換したので、これからは「ちょくちょく会おうね」という話しています。
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ゼネコン技術者に必要なのは「工期の遵守」と「配慮」
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・岩本さん
やはり会社を代表して現場を管理しているし、何十年も使ってもらうものなので、「恥ずかしくないものを納めたい」という気持ちは常にあります。
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・岩本さん
大石(施工の神様ライター)
三井住友建設・田中さん
配慮ができていれば、見て見ぬ振りもなくなります。仕事の段取りや整理整頓なども、周りへの配慮です。
大石(施工の神様ライター)
五洋建設・山本さん
次にいつ橋梁の現場に入れるかどうかわからないので、いろいろな仕事に手を出すよりは、今は目の前にある橋梁の仕事を極めていきたいです。
三井住友建設・井上さん
次も橋梁の現場に行きたいです。とくに、張出し架設工法の橋梁工事を経験してみたいですね。
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