グリコンシリーズ第1弾【荒井明夫 代表取締役】
グリーン・コンサルタント株式会社(以下、グリコン)という会社を知っているだろうか?
社名からは、造園とか緑化関係のコンサルを連想させるが、実は、舗装を専門とする建設コンサルタント(舗装コンサルタント)だ。創業は1988年。大手道路会社である日本鋪道株式会社(現:NIPPO)の子会社として産声を上げた。
グリコンは、舗装コンサル界のトップ企業として、道路やテストコースなどの設計、調査、試験、施工管理、などを担ってきた。また土木設計業務も手掛けており、最近は太陽光発電の設計や許認可申請なども手掛け業容を拡大している。経営状態はここ数年間、売上げ13億円〜15億円、経常利益2億円程度と安定的に推移している。舗装に特化したオンリーワン企業として、官民からの仕事の依頼は引きも切らない。
順風満帆に見えるグリコンだが、悩みもある。「若い社員が入らない」ことだ。あるとき、そんなグリコンから「リクルーティングのテコ入れしたいのですが、取材してもらえないでしょうか」という連絡が入った。「お役に立てるかどうかはわかりませんが、ぜひ取材させてください」と応えた。
ということで、グリコンとはどういう会社なのか、働きやすいのか、仕事のやりがいはあるのか、会社の悪いところはなにか――などについて、シリーズとして記事連載することにした。第1弾は、グリコンの荒井明夫・代表取締役だ。
舗装のことなら、なんでもお任せ
――グリコンはどのような会社ですか?
荒井さん グリコンは、舗装コンサルタントと土木設計コンサルタントの顔を併せ持つ会社であり、特に自転車競技場、競輪場といったバンク設計技術と舗装に強みを持つ技術者集団です。
舗装コンサルタント協会という組織があり、舗装に特化したコンサル会社が加盟しているのですが、会員は現在6社です。ウチが代表理事を務めさせて頂いております。
バンク設計は、顧客のニーズに応えるため、高い技術力と豊富な経験が求められる象徴的なものです。また舗装技術を語る上では、何と言っても、舗装材料を熟知し、配合設計を行うことが欠かせません。それに加えて、製造時の品質管理、施工時の施工管理、供用後の破損原因調査まで一貫して行うことが求められます。
グリコンは、日本国内において、それらができるオンリーワンの会社だと自負しています。
――「舗装のことなら、なんでもお任せ」ということですか?
荒井さん そうですね。それは自信を持って言えます。
独立コンサル?、子会社コンサル?
――独立系コンサルではないようですが。
荒井さん 創業時は大手道路会社の子会社ということでスタートしましたが、今は出資比率も少なく、いわゆる子会社ではありません。建設コンサルタントは全国に4,000社ほどあるそうですが、独立系のしがらみのない受注ができることと、大手道路会社の関係会社で経営が安定しているという良い面を併せ持つ会社と言えると思います。
――歴代の社長さんはNIPPO出身ですか?
荒井さん そうです。
――NIPPOとの結びつきはあるものの、事業的には独立してやっているということですか?
荒井さん そういうことです。グリコンには、私を含め、NIPPO出身の社員が数名おりますが、グリコン創業時からの生え抜きの社員が多数おり、その社員の頑張りにより、独自に開拓したお客様も増えて業容拡大につながっています。
舗装の設計、調査、試験業務を全国展開
――社員数は?
荒井さん 125名です。このうち、NIPPOから転籍した社員は5名ほどで、グリコン生え抜きの取締役も2名おり、幹部となる営業所長も大半は生え抜きの社員です。
――そのうち、20才代〜30才代の若手社員は何名いるのですか?
荒井さん 24名です。非常に頑張ってもらっていますが、まだまだ足りないという状況です。仕事をバトンタッチできる将来の幹部候補社員を今、ノドから手が出るほど欲しいです(笑)。
――どのようなセクションがあるのですか?
荒井さん 大きく分けると、「設計」、「調査」、「試験」の3つの部門があります。設計は、テストコースなどのバンク設計や太陽光発電の造成設計などを行います。調査は、非破壊で空港などの路面性状調査、構造診断などを行う部門です。試験は、空港や高速道路などの開削調査、試験などを行っています。
このほかには、道路会社の試験所や公的機関などへの派遣、舗装工事の測量、施工管理といった業務も行っています。
ウチが設計を手掛けたものとしては、日本自動車研究所(JARI)の城里テストセンターがあります。全周約5500mの高速周回路をはじめ、凹凸路など様々な試験コースがあります。こういう特殊な路面の設計は、ウチの得意とするところになっています。
空港の舗装は、道路と比べると走行頻度が少ないので、舗装間に空気や水分が入りやすいんです。とくに水分が入ると、膨張、剥離してしまうことがあるんです。舗装技術の部門では、そういう舗装の損傷状況をしらべるために開削、調査を行っているわけです。
――全国に営業所もあるんですよね。
荒井さん 北海道(恵庭市・札幌市)、東北(仙台市)、関東(さいたま市)、北信越(新潟市)、中部(名古屋市・春日井市)、関西(奈良市)、四国(徳島市・坂出市)、中国(広島市)、九州(福岡市・宇美町)に地域に根差した営業所があり、そのほかに全国を網羅する設計センター(品川)と調査センター(さいたま市)といった感じで、11の営業所があります。
――転勤もあるのですか?
荒井さん 転勤という仕組みはありますが、基本的に会社側が一方的に転勤を命令することはありません。会社側の人材活用と本人希望が合致した時のみです。地元での仕事を希望する人やUターン希望者が、希望する営業所で継続して定年まで勤務することを選択することは可能です。
現時点でそういう事例はありませんが、女性技術者など、配偶者の転勤に合わせて、営業所を移動することも条件が折り合えば大丈夫です。とくにこのコロナ禍でテレワークでの業務スタイルもできつつあり、力量さえあれば、勤務場所や勤務形態を変更することもできます。ようは、働きたいところで働いていただくということに、会社は最大限配慮するということです。
若手社員の採用教育が最大の使命
――トップとして、どういう会社にしたいですか?
荒井さん 「個人の考え方を尊重」し、「適度な距離間」をもって、「良い空気感の流れる会社」にしたいと思っています。月1回、社員全員へGC通信というメール媒体で情報を発信しておりますが、業績状況よりは組織にかかわる自分の思いを伝えるようにしています。
「どういう働き方をしたいか」は、社員一人ひとり異なりますが、会社として、すべての社員に対して、良かれと思うことはすべてやりたいと思っています。「誰かにとってはメリットがあるけど、誰かにとってはメリットはないからやらない」という「悪しき平等主義」に陥ることなく、変えるべきことはドンドン変えていくつもりです。
「給料を上げる」のも大事なことなので、もちろん上げていくつもりです。福利厚生上、必要な費用などは今年度から上げたところです。働きやすい職場と感じてもらうために従業員満足度をあげていくつもりです。
経験豊富で優秀な技術者が多く在籍しているのが当社の強みですが、一方で、そのノウハウを将来受け継ぐべき20才代、30才代の若手社員が少ないという弱みを抱えています。次世代の会社を担う若手社員の採用、教育をどうするかは、社長である私の最大の使命だと考えています。
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