建設現場の遠隔管理がウェアラブルカメラで当たり前の時代に?
“ウェアラブルカメラ”の工事現場への導入が、徐々に広まりつつある。
ウェアラブルカメラとは、身体に直接装着して撮影することができる小型カメラだ。ヘルメットや胸ポケットに装着することで、ハンズフリーで映像を撮影できる。
2020年には、国土交通省発注工事において、ウェアラブルカメラを活用した遠隔臨場の試行が開始。複数の現場を一人で管理し、日中は現場間の移動、夕方から夜間にかけては、事務所で写真や書類整理に奔走しなければならない働き方が、現場監督の長時間労働を助長する大きな要因となっている。そのため、ウェアラブルカメラを用いた遠隔での現場管理により、現場監督の働き方の改善が期待されている。
その一方で、従来のウェアラブルカメラは、現場の電波状況によって音声や映像の通信が途切れてしまう、記録映像をSDカードから毎日取り出す運用が手間となるなど、現場運用での課題も多かった。
こうした中、スーパーゼネコン5社をはじめ、工事規模や工種を問わず多くの建設現場で導入されているウェアラブルカメラがある。セーフィー株式会社が展開する「Safie Pocket2」(セーフィーポケット2)は、通話機能を有した常時クラウド録画型のウェアラブルカメラで、その操作性の良さや導入ハードルの低さから建設業界での導入が急拡大。
上述した国交省の遠隔臨場の試行現場や、『施工の神様』でも取り上げた大和ハウス工業株式会社の遠隔管理システム「スマートコントロールセンター」にも「Safie Pocket2」が使用されている。さらには、「Safie Pocket2」は先日、国土交通省の新技術情報提供システム(NewTechnology Information System:NETIS)にも登録された。
今後、さらなる展開が見込まれるウェアラブルカメラだが、地方の中小建設会社への普及はまさにこれからというところだ。
そこで今回、セーフィーの担当者にウェアラブルカメラを導入することで現場監督の働き方、ひいては建設現場はどう変わるのかについて話を聞いてきた。
移動時間が月90時間も削減?ウェアラブルカメラで働き方改革
――まず、「Safie Pocket2」というウェアラブルカメラはどのような製品か、教えてください。
鈴木さん 「Safie Pocket2」は、通話機能や写真撮影機能も有した、常時クラウド録画型のウェアラブルカメラです。ヘルメットや胸ポケットに装着したり、持ち歩きながら撮影から録画、通話までできるウェアラブルカメラになっています。また、「HD高画質」「IP67防水・防塵」「歪み補正機能」に加え、撮影現場が地図上で一目でわかる「GPS機能」が備わっています。
これにより、リアルタイムで現場の映像を本部に共有しながら、現場を遠隔で管理することが可能になります。
とくに、ゼネコンは全国で多くの現場が同時に稼働しているため、どうしてもすべてを把握、管理できない部分も出てきます。こうした工程管理、現場の進捗を、クラウドカメラの映像によって”見える化”することが一つの大きな目的です。また、安全管理についても、現場で問題が発生した際に、カメラを通して実際の状況を確実に把握することもできます。
また何より、現場監督の移動時間を削減できることが大きなメリットになります。私がヒアリングした中小の建設会社の中には、同時に40件もの現場を管理している現場監督の方がいらっしゃいました。これだけの現場数を一人で管理することは、現場監督の過剰労働だけでなく、現場の安全管理、品質管理の面においても不安が生じかねません。特に地方だと現場間の距離が遠く、移動だけで1時間以上かかることもあります。
そこで各現場では、LTEルーター一体型固定カメラの「Safie GO(セーフィー ゴー)」とともに活用していただいています。現場全体の進捗状況、資材搬入状況は簡易設置ができる「Safie GO」で、固定型では捕捉できない細かな作業状況把握は、持ち運びできる「Safie Pocket2」を現場の方が身につけて確認いただいています。
その結果、1人の現場監督に掛かる負担も軽減できつつ、管理できる現場数も増えるため、現場の人手不足の解消にも繋がります。ある道路工事の現場では、移動時間と待機時間で月に数十時間も削減ができた事例もあります。物理的な距離がなくなるため、移動費もかからないようになりますよね。それだけでコスト的にはペイできますし、中小建設会社ですとこうした経費はとくに影響が大きいものだと思います。
»ウェアラブルカメラ「Safie Pocket2」の製品ページはこちら
若手現場監督が”現場所長の目”の代わりになる
――現場の運用面では、どのような役割の方がウェアラブルカメラを装着することが多いのでしょうか?
鈴木さん 若手の現場監督に装着してもらい、”現場所長の目の代わり”として使用いただく機会が増えています。
例えば、土木工事ですと現場が広いため、所長がすべてを回っていたら膨大な時間が掛かってしまいます。ただでさえ多忙なのに、1日のうち数時間を現場の巡回等に掛けてしまうと、かなりの負担になります。
そこで、若手の現場監督にウェアラブルカメラを装着して回ってもらい、それを遠隔で随時、現場所長が確認・指示することで、作業時間を捻出することが可能になります。
「Safie Pocket2」には通話機能もあるため、映像を見ながら現場所長から若手現場監督に指示を出したり、また職長との会話を確認することも可能です。
【Safie Pocket2】Pocket2を利用したハウスメーカー遠隔品質検査 / YouTube(Safie Inc.)
――これなら若手も現場で活躍できる幅が広まりますね。
玉崎さん ええ。これにより若手は遠隔でのOJTで仕事を覚えていくことができますし、また、これらの映像はクラウドに保存されるため、学習素材として振り返って学ぶこともできます。
若手の入職が減っている建設業界にあって、OJTのために若手に付き添っていたら、いくら時間があっても足りません。「Safie Pocket2」を使用すれば本社や現場事務所にいながら、細かな指示を出しつつ、教育することができるので、若手の育成にも効果を発揮するかと思います。
クラウドカメラは”監視カメラ”ではない!
――話をうかがう限り、ウェアラブルカメラはメリットが大きいですが、実際に建設現場には普及しているんですか?
玉崎さん 徐々に理解は広まりつつありますが、敬遠される方がいることも事実です。というのも、どうしても職人さんから”監視カメラ”のイメージを強く持たれてしまうことが多いんです。ですが、クラウドカメラは監視ではなく、いち早く現場をサポートする、現場の安全を守ることを目的としています。
使用していただくと好評いただいておりますし、逆に私たちが想定していなかった新しい使い方をされる建設会社の方もいらっしゃいます。
例えば、建設業界では元請企業からの指示が来ずに工期が遅れるという話をよく聞きます。その際に、電話で状況を説明するだけではなかなか伝わりませんが、現場の映像を見ながら状況を説明すれば、本社や現場事務所にいてもリアルタイムで状況を把握できます。
また、事故が起きた際にも映像という事実に基づいて説明をすることで、PDCAを回すことができます。このような使い方をすることで、ただ監視されているツールではなく、職人と現場監督がお互いに働きやすくなる環境をつくることができるツールとして認識されていくんです。
建設DXは現場で使えなければ意味がない
――とはいえ、他のメーカーもウェアラブルカメラは展開しています。他社製品となにか違いはあるのでしょうか?
玉崎さん ハードとソフトの改善を常に心掛けている点です。お客様に使っていただきながらフィードバックをいただき、現場が一番使いやすい形を常に目指しています。
例えば、ファーストロットでは、連続稼働時間が短い、両手をハンズフリーにしたいのにヘルメットに装着できないなど、建設現場に完全にフィットしているとは言えませんでした。
そこで、「Safie Pocket2」では内蔵バッテリーだけで連続稼働時間を8時間に、またアクションカメラのアタッチメントを用いてヘルメットに装着できるように、重量も160gとスマートフォンと同等まで軽量化するなど、現場からの意見を反映してより使いやすい仕様となっています。
また、GPSも搭載されているので、どこで撮影した写真・動画なのかも、管理画面内のマップ上に即時反映され、確認することができますし、三脚にも設置できるため、固定の定点カメラとしても使用できるなど、多様な用途に応じて使い分けていただくことができるのも「Safie Pocket2」の大きな特長です。
製品についても、ウェアラブルカメラ本体に加え、ヘッドセットや三脚アダプタ、ACアダプタなどの必要な機材をすべてをセットにしていますし、本体にSIMカードを標準搭載されているので、ネット環境の整備も必要ありません。カメラの電源を着ければすぐに映像が管理画面上に保存されていきます。こうした感覚的にすぐに使える容易さも、ご利用いただく企業様が増えている要因だと感じています。
――今後、「Safie Pocket2」をどのように進化させていくのでしょうか?
玉崎さん 引き続き、ハード・ソフトの両面から、現場の声を聞きアップデート開発を継続してまいります。その上で、他社の施工管理アプリとの連携も進めていきたいと考えています。
また、当社としてはクラウドカメラを起点とした、より働きやすく、生産性を高める現場DXの開発を目指しているので、建設分野においては今後、遠隔管理以外の面でも技術開発を進めていく予定です。
また、そのほかにも重機に取り付けるセーフティカメラの「ドボレコ」や「クレーンカメラ」なども他社と協力して開発・提供しています。
詰まるところ、現場の課題を解決するためなら手段は問わない、ということですね(笑)。ご要望には柔軟に、即座に対応していければと思います。
鈴木さん 当社として、建設業界の人手不足にどう関わっていけるかをより深く考えていければと考えています。繰り返しにはなりますが、建設DXはいかに現場の方が使いやすいものをつくるかに尽きます。かっこよくてきれいなだけでは意味がないわけです。
今後も現場に根差した、製品の開発・改善を心がけていきたいですね。
»ウェアラブルカメラ「Safie Pocket2」の製品ページはこちら
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監視されてる感はある
カメラあるとあくびするのがためらわれる
イイとは思う。ただ高い。
こんなもんができたおかげで、現場は、ずっと監視されっぱなし。
特に安全面で作業が止まること多発。
この前も、現場は正しいやり方でやってんのに、支店からカメラ見ていた部長が何やってんだーってどなってきたけど、奥行き感がわからなくて現場が間違ったやり方していると勘違い。画面から外れたとこで発注者の課長が見てて、「大丈夫ですよ」とうちの部長に言ってくれたからその場はおさまったけど。恥かかせんじゃねーよ。技術力ない奴が上司だとつかれる。
そして、カメラ見ててなんかおかしなことがあると、作業手順どうなってんだとよく言われるが、そんな事細かいことまで作業手順に書かんし、書けんやろ!?
そのうち、歩き方は右手と左手を交互に~って書けってか~(笑)
現場はな、そんな平面的にしか確認できないカメラじゃ判断できねことが山ほどあんだよ。
特に土木は、自然と対峙しながらやってんだから、水や土、風の音、直接見ないとわからない立体感、、、そんなのを感じながら仕事するもんじゃねーの?
机の上で見て判断できるもんとできないもんがあるんだからよ、そこらへんよくわきまえてその便利なカメラ使えよ、どっかのゼネコンさん
事故が起きた時の責任はどうなるのかな?
労基署や警察は「人材不足だから」なんて加味してくれないでしょ。