簡易事務所や作業部屋の増築に利用されているプレハブ。軽量鉄骨の建物と思っている人も多いのではないでしょうか。実は、プレハブとは建物の種類ではなく、工法のことを指しています。つまり、軽量鉄骨の建物ではありません。
この記事では、知られているようで意外に知られていないプレハブの概要を紹介します。メリットやデメリット、設置方法についてを紹介しますので、簡易事務所の設置や増築を検討されている方はぜひ参考にしてください。
プレハブとは
プレハブとは建築工法のひとつで、プレハブ工法と呼ばれています。工場で建物の材料を制作し、建築現場で組み立てる工法です。
プレハブとは「pre(事前に)fabrication(作る)」の略称で、プレファブ工法(プレハブ工法)、プレファブリケーションと呼ばれることもあります。
「プレハブ小屋」とも呼ばれることがあるため、建物の種類と勘違いしてしまった人が多くなったと言われています。また、日本では軽量鉄骨造の住宅にプレハブ工法を利用することが多いことから、プレハブ=軽量鉄骨の認識が根付いています。
プレハブ工法は4種類
プレハブ工法は、主要構造部材や構造方法によって以下の4種類に分かれています。
- 鉄骨系:軽量鉄骨の柱・梁、ブレースを主要構造部材としたもの
- 木質系:木材パネルを主要構造部材としたもの
- ユニット系:鉄骨のフレーム、木材のパネルで構成されたユニットを現場で連結するもの
- コンクリート系:工場生産コンクリート部材を主要構造部材としたもの
住宅以外にも離れの部屋や事務所として利用
プレハブ建築は、住宅以外にも様々な場所で利用されています。最近では、コンセントや照明が標準装備されたプレハブも販売されており、お手軽にプレハブの設置が出来るようになりました。
よく見かけるのは、災害時の仮設住宅や建築現場の簡易事務所でしょうか。自宅の庭に趣味用の小部屋や仕事用の事務所を設置する人もいます。ほかにも、事務所や作業スペースを確保するために、工場・倉庫の中に新たにプレハブを設置する企業もあるようです。
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プレハブのメリット・デメリット
様々な場所で利用されているプレハブ建築。部材が工場で生産されているため、高品質や短納期、低コストといったQCD(品質:Quality、コスト:Cost、納期:Deliveryの頭文字をとった言葉)のすべての面においてメリットがある優れた工法ですが、その反面、自由度が少ないといったデメリットも存在します。
ここからは、プレハブ住宅を建てる場合のメリットとデメリットについて、詳しく紹介していきます。
プレハブのメリット
プレハブ住宅は、工場で徹底した品質管理の下に一括生産されています。そのため、職人の技術によって品質が左右されることがありません。徹底した品質管理により、安定して高品質を保ちます。
また、現場作業は組み立てるだけです。そのため、住宅完成までの期間短縮が可能です。高品質と期間短縮はコスト削減にもつながります。職人の工数が少ないため、人件費を削減できます。
それだけではなく、部材が工場にあるため、建築後のメンテナンス費用を抑えることも可能です。
プレハブのデメリット
工場生産は品質の安定と引き換えに、デザインや間取りに対する自由度が低くなるというデメリットがあります。決められたパターンから選択するため、理想通りの間取りになるとは限りません。
建築後の間取りの変更や増改築に関しても、建てた業者以外では対応できないケースもあるので注意が必要です。
また、火に弱いといったデメリットもあります。鉄は熱に弱いため、鉄骨を使うプレハブ住宅では耐火性は低くなります。
プレハブとユニットハウス・コンテナハウスの違い
プレハブ住宅と似た建築物として、ユニットハウスやコンテナハウスなどを耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。どちらも簡易事務所の設置や増築に向いている建築物ですが、混同して使用されていることもあります。
ユニットハウスやコンテナハウスとは?
実はそれぞれ異なる意味合いをもった建築物で、ユニットハウスは工場内で生産する建築物で、プレハブ建築の一種です。
コンテナハウスは、ユニットハウスの構造にコンテナを利用したものを指しています。つまり、コンテナハウスはユニットハウスの一種ということです。
ここからは、ユニットハウスとコンテナハウスの特徴を紹介していきます。
ユニットハウスの特徴
ユニットハウスは、プレハブ建築の中でも鉄骨や木材をフレームとしたユニットを工場で生産してから現場で設置します。
四角い骨組みと壁、屋根、床までを工場で作っているため、現場での作業は設置と窓のパネルをはめ込むといった作業だけになります。
全体の80%が完成している状態になっているため、プレハブ建築の中でも工期が最も短いのが特徴です。
コンテナハウスの特徴
ユニットハウスとの違いは鉄骨です。ユニットハウスは軽量鉄骨ですが、コンテナハウスは重量鉄骨です。そのため、ユニットハウスよりも骨組みが少ないといった特徴があります。
骨組みが少ないことから、建築可能な間取りのパターンが増えます。窓やドアの設置場所にも自由度が出てきます。
コンテナハウスは物流で使われていた技術を建築に活用したものです。動くものと動かないものという、正反対の業界の技術が合わさったという意味では面白い建築物です。
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プレハブを設置するには
プレハブは、住宅以外にも離れの部屋や簡易事務所として設置する人がいることを説明しました。ここからは、離れの部屋や簡易事務所としてプレハブを設置する場合の方法について紹介していきます。
設置場所や設置費用だけでなく、必要な工事や申請、注意点といった、実際に設置するときに問題になるであろうことも紹介していきます。
プレハブの設置場所
プレハブ建築は、工場生産された部材を現地で組み立てるため、2tトラックで搬入できる場所であれば設置可能です。道路が狭い場合でも、トラックが入れるスペースまで搬入し、そこから手作業で搬入する方法もあります。
ただし、ユニットハウスタイプは、組み立てられた状態のため、4t以上のトラックで搬入します。4tトラックが入らないような狭い道路へは搬入できないので注意してください。
また、搬入時にクレーンを使用することがあります。電線のような障害物がある場合も搬入できないため、必ず現地調査をお願いしましょう。
プレハブの設置費用
プレハブ建築の設置費用は、付帯工事費用や設置費用が必要です。ただし、ユニットハウスの場合は、付帯工事と設置工事費用がセットになっている場合があります。
また、簡易事務所や離れの部屋に使用したい場合は、家電や電子機器を利用することになります。ユニットハウスであれば標準装備されていますが、プレハブタイプは電気工事が必要です。電気工事費用の目安は10~15万円です。
その他、トイレやキッチンなどの水道設備を設置したい場合は、給排水設備の工事も必要になります。各水道事業者で定められた許可が必要になります。工事業者が手続きを代行してくれることが多いので事前に確認しましょう。給排水設備の工事費用目安は2~10万円です。
建築確認申請と固定資産税
簡易事務所や離れの部屋を設置する場合、建築確認申請が必要かどうかを確認する必要があります。都市計画区域かどうか、新築かどうか、防災地域など、各地域の行政によって異なります。しっかり確認しましょう。
また、固定資産税についても確認が必要です。土地への定着性で課税対象かを判断されます。
基礎がある住宅には固定資産税がかかりますが、ブロックの上に建物が置かれた場合は構築物となります。構築物と判断された場合、固定資産税の課税対象にはなりません。
暑さ対策や防音対策も必要
プレハブ小屋は暑さ対策や防音対策も必要です。密室かつ壁が薄いため、暑いうえに音が漏れるという過酷な環境になります。快適さや近所迷惑の可能性を考えると、対策するに越したことはありません。
暑さ対策には断熱材、防音対策には吸音材を貼ることで対策が可能です。利用目的や費用を確認した上で、必要な対策をうちましょう。
増築にむけてプレハブのことを理解しよう
この記事では、プレハブの概要やプレハブ住宅のメリットやデメリット、プレハブの設置方法について紹介してきました。
プレハブ建築はQCDが高い建築工法で、その工法で作られた建築物はメリットがありますが、自由度が低いといったデメリットもあります。
簡易事務所の設置や増築を検討されている方は、自身が求めている建物とプレハブ建築とを比較した上で、設置を検討してください。