人力では運べないような荷物の運搬が発生する建設現場では、玉掛け作業が不可欠です。
玉掛け作業では、吊り上げの荷重制限によって取得すべき資格が異なります。玉掛け技能者の資格保有者は、就職に有利になる場合もあるでしょう。
この記事では、玉掛けとは何か、取得すべき資格や講習内容を解説します。資格取得を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
玉掛けとは?
玉掛けとは、建築資材などを運ぶクレーンのフックに、固定した吊り荷を掛けたり外したりする作業を指します。玉掛け作業をおこなうには、玉掛け用具と呼ばれるシャックルやワイヤーロープなど法令基準を満たす用具が必要です。
さらに、法令で定めている玉掛け技能講習の修了者でなければ玉掛け作業はできません。では、玉掛け作業をおこなう必要性や資格を解説します。
重量物を吊り下げる作業に必要
人力では持ち上げられない重量物を目的地に運ぶためには、玉掛け作業が必要です。玉掛け作業者は、荷の特性や現場の環境、クレーンなどの構造を理解し、クレーン運転手と連携をとり安全に配慮する必要があります。
荷役運搬作業でクレーンを使用する場合、玉掛け作業者は吊り荷をクレーンのフックに吊るためのワイヤーロープなどの吊り具を準備しなくてはなりません。荷役運搬作業では、荷を吊り上げて吊り荷を目的地まで移動し、玉掛けに使用した用具の片づけまでおこないます。
玉掛け作業とは、荷を吊るして運ぶクレーンへの合図動作を含む作業です。
作業するには資格が必要
重い荷物を扱うことが多い玉掛け作業では、十分な知識や技術を身に付けないと大惨事を引き起こす可能性があります。
吊り上げの荷重制限が1トン未満のクレーンや移動式クレーン、デリックを使用する業務をおこなうには、「玉掛けの業務に係る特別教育」を修了しなくてはなりません。
さらに、吊り上げの荷重制限が1トン以上のクレーンや移動式クレーン、デリックを使用する業務をおこなうには、「玉掛け技能講習」を修了する必要があります。玉掛け技能講習の修了者は、1トン未満のクレーンなどの玉掛け作業も可能です。
玉掛け資格とは?各講習内容と受講費用
玉掛けの資格は、クレーンなどの吊り上げ荷重または制限荷重に応じて法令で定められています。
クレーンなどの吊り上げ荷重が1トン未満の場合は「玉掛け特別教育の修了者」または「玉掛け技能講習の修了者」、吊り上げ荷重が1トン以上の場合は「玉掛け技能講習の修了者」である必要があります。
ここでは、玉掛け特別教育と玉掛け技能講習の詳しい講習科目や時間、受講資格、受講費用について紹介します。
講習科目に関してはどちらも同じく6つですが、玉掛け特別教育の講習時間は玉掛け技能講習に比べて短時間です。では、玉掛け特別教育と玉掛け技能講習の講習内容と受講資格、受講費用を見ていきましょう。
玉掛け特別教育
玉掛け特別教育は、各事業所(企業など)または登録教習機関でおこないます。講習科目と時間に関しては以下です。
- クレーンなどに関する知識(1時間)
- クレーンなどの玉掛けに必要な力学に関する知識(1時間)
- クレーンなどの玉掛けの方法(2時間)
- 関係法令(1時間)
- クレーンなどの玉掛け(3時間)
- クレーンなどの運転のための合図(1時間)
基本的に講習期間は2日間でおこなわれます。受講資格に関しては、18歳以上なら誰でも受講できます。
玉掛け技能講習
玉掛け技能講習は、都道府県労働局登録教習機関でおこないます。自宅に一番近い講習所を探す際には、各地の労働局に問合せしましょう。
講習科目と時間に関しては以下です。
- クレーンなどに関する知識(1時間)
- クレーンなどの玉掛けに必要な力学に関する知識(3時間)
- クレーンなどの玉掛けの方法(7時間)
- 関係法令(1時間)
- クレーンなどの玉掛け(6時間)
- クレーンなどの運転のための合図(1時間)
基本的に講習期間は学科2日間、実技1日の計3日間です。実務経験の有無やクレーン関連の資格保有者は免除となる科目があり、所要時間が異なります。
また、学科・実技ともに修了試験を受ける必要があります。受講は、玉掛け特別教育と同じく18歳以上なら誰でも可能です。
受講費用
受講費用は、保有資格によって異なりますが、玉掛け特別教育が2万円程度、玉掛け技能講習が2~4万円程度です。人材開発支援助成金(建設助成金)を利用できる場合があり、利用する場合は事前に手続きが必要です。
技能講習の学科または実技のどちらかで不合格となった人は、再受講料を支払うことで再受講できます。一般的に再受講料は受講料の3分の1程度で、再受講の期限は試験に落ちてから数か月以内とされています。
「玉掛け技能講習」の学科試験と実技試験
玉掛け技能講習の資格を取得するためには、前述した講習を受けたうえで、学科と実技の両方で修了試験に合格する必要があります。試験内容について見ていきましょう。
学科試験
学科試験は、学科講習内容に基づいた試験をおこないます。学科試験の形式は、マークシート形式で、設問にあった回答を選択します。
学科試験に受かるには、講習内容をしっかりと覚え、知識についてある程度の理解をしておく必要があります。学科試験は夕方に実施し、問題を解き終えた人は試験中でも帰宅することが可能です。しかし、早く問題を解き終えてもケアレスミスがある可能性があるため、十分に確認しましょう。
実技試験
実技試験には、「合図」「玉掛け」「質量目測」「用具選定」の4種類あり、それぞれの項目に関する実技講習を修了した時点で試験を実施します。
実技試験は複数人のグループで取り組み、適切なタイミングでの合図と指示出しが必要です。試験内容は、用意してある荷を吊り、指定場所まで運び、適切なタイミングで荷を下ろします。
試験全体の流れはさほど難しくないですが、合図と指示のタイミングの間違いは大きな減点です。重い荷を扱う玉掛け作業の実技試験では、危険な行動につながる合図や指示を出した場合、一発で不合格になる可能性もあります。
玉掛け資格の内容を把握し、合格に向けて準備しよう
この記事では、玉掛けとは何か、取得すべき資格や講習内容を解説しました。玉掛けとは、建築資材などを運ぶクレーンのフックに、固定した吊り荷を掛けたり外したりする作業です。
玉掛け作業は、現場の従業員に危険が及ぶ可能性もあるため、正しい知識や技術を身に付け、安全に配慮する必要があります。
玉掛け作業をおこなう人は、クレーンなどの吊り上げ荷重が1トン未満の場合は玉掛け特別教育、吊り上げ荷重が1トン以上の場合は玉掛け技能講習の修了者である必要があります。玉掛け技能者を検討している方は、事前に受講内容を調べ、合格に向けて準備しましょう。
小型移動式クレーンとかガス溶接とか、資格がないと作業出来ないはずなのに教習所行くと9割方経験者ばかりで
教官も経験ある事を前提に進めるから馬鹿正直に未経験で行くと自分だけ下手で恥をかく謎現象がある
私が投稿した記事だ!