施工中のフォーリンラブのハジメさん

施工中のフォーリンラブのハジメさん

「イエス!ホウ酸ラブ」 お笑い芸人・フォーリンラブのハジメさん、防腐・防蟻の施工会社の社長として奮闘中

お笑い芸人のハジメさん(ワタナベエンターテインメント所属、本名・佐原肇さん)は高校を卒業後、ワタナベコメディスクールの1期生として入学し、2007年にバービーさんと男女コンビ・フォーリンラブを結成。以降、お笑いライブやバラエティ番組で活躍してきた。

ハジメさんは芸人活動を続けつつ、日本ボレイト株式会社グループの施工会社「ホウ酸屋株式会社」(浅葉健介代表取締役)で施工の実務経験を蓄え、2022年10月に6年におよぶ男性不妊治療の末に待望の第一子が誕生したことを機に独立。「100年間安心安全な家を住まい手様に」をモットーに、ホウ酸の力で家の木材を腐れとシロアリから半永久的に守る施工を行う「株式会社 ICOLA」(東京都千代田区)を設立し、社長に就任した。子どもにも安心な「ボロンde ガード®」の施工代理店として事業を展開中だ。

現在では、若手芸人が安心してアルバイトできる環境を提供しつつ、住宅の性能に関する動画配信などを通じて、住まい手に届ける啓蒙活動も行っている。

「芸人が引退したときのセカンドキャリアのモデルになりたい」と語るハジメさん(佐原社長)に、シロアリ駆除会社を設立した経緯や今後の展望について話を聞いた。

「生まれてくる第一子に不自由させたくなかった」

――現在も芸能界でご活躍されているハジメさんが、シロアリ駆除会社を起業されたことには驚きました。

佐原社長 お笑い以外では様々なアルバイトを経験してきましたが、シロアリ駆除の世界、広い意味では建設業界という職種は僕にとっても未知の世界でした。そんな僕にとって、6年にわたる男性不妊治療を続け、2022年に妻の妊娠が明らかになり、子どもをようやく授かれたことが大きな転機になったんです。

当時はまだコロナ禍で、お笑い業界は大打撃を受けていました。主な収入源であるイベントが中止を余儀なくされたんです。そこで生まれてくる子どものためにもお笑い以外の収入源も視野に入れなければならないと考えはじめるようになりました。

それから仕事を探すために色々な方に相談しましたが、企業のマーケティング支援やお笑い芸人のセカンドキャリア創出支援などを手掛けている株式会社OMATSURIで代表取締役社長をつとめている元ザブングルの松尾陽介さんから、日本ボレイト株式会社の浅葉健介社長と犀川泰弘さんのお2人を紹介いただいたんです。これがシロアリ駆除や建設業界との出会いでした。

日本ボレイトの浅葉社長との出会いが起業への道に導かれた

――”未知の世界”で起業することへの不安はありませんでしたか?

佐原社長 松尾社長には10数年お世話になっているので、松尾社長からのお話には安心感と信頼感がありました。それに何より、生まれてくる第一子になるべく不自由をさせたくないという想いが強かったので、起業を決断しました。

それからは、2022年5月に日本ボレイトグループの施工会社・ホウ酸屋株式会社で働きながら施工を学んで、同年7月からは(一社)日本ホウ酸処理協会での訓練を受けて、ホウ酸処理のプロフェッショナルである1級「ホウ酸施工士®」を取得しました。

そして、娘が誕生した2022年10月21日に株式会社ICOLA を設立しました。娘の誕生日と創業日を一緒にしたのは、引き返せないという覚悟を込めています。

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――社名の「ICOLA(イコラ)」には、どのような思いが込めれられているのでしょうか?

佐原社長 ICOLAは、僕の地元の和歌山弁で「一緒に行きましょう」を意味する「つれもていこら」に由来しています。ロゴマークの船は趣味の釣りから採っていて、船での出発をイメージしています。この船のロゴもカタカナのイコラからかたどられていて、ハートマークはフォーリンラブを表しています。このロゴマークのデザインも松尾社長に作成いただきました。

ホウ酸の効果に惚れ込んだ

――現在はどのような仕事を手掛けてらっしゃるんでしょうか?

佐原社長 「100年間安心安全な家を住まい手様に」をスローガンに掲げて、防腐防蟻効果の高いホウ酸処理を提案しています。木の腐食とシロアリを防ぐことで木造建築は長持ちします。日本の住宅の寿命は一般的に30年と言われていますが、欧米先進国での寿命はさらに長い。住宅のお施主様には海外基準を知っていただきつつ、ホウ酸処理の普及促進の一端を担いたいと考えています。

YouTubeチャンネルで情報を発信中「【フォーリンラブ ハジメ】 シロアリ駆除ハジメました!」 / YouTube(イエス!ホウ酸ラブーシロアリ駆除ハジメましたー)

――ホウ酸の効果を教えてください。

佐原社長 ホウ酸は、いつまでも防腐防蟻効果を発揮し、ご自宅の劣化を防ぐ効果があります。揮発しないため空気を汚さず、分解もしないため水に流されない限り効果が低下しません。ホウ酸は肥料や目薬、微量ですが野菜にも含まれているので、人間を含む哺乳類には安全な物質です。

そして、シロアリの被害が万が一発生した場合にも、最善を尽くすことができるのが1級ホウ酸施工士®です。最上級のホウ酸コーティングを提供する1級ホウ酸施工士®は、業界最長の新築15年のシロアリ保証を付保しています。

――施工のポイントは?

佐原社長 処理する面積に応じて吹き付けるホウ酸の量に規定はありますが、現場個々で事情は異なり、吹き付ける量が足りない場合は十分な効果を得られなくなるため、しっかりとホウ酸を多く吹き付けることが重要です。

――佐原社長が施工された住宅もあるのでしょうか?

佐原社長 覚えきれないほどありますね。地域的には、埼玉県草加市に日本ボレイトの工場があって、1級ホウ酸施工士®も埼玉県方面に多いので、僕は神奈川地区を担当することが多いです。


芸人と社長の二足のわらじも苦ではない

――芸人としての肩書きがあって良かった点はありますか?

佐原社長 ありがたいことに知っていただいている機会も多くて、世に一回出たことへの信用度というものがあるのは感じますね。

――これからの芸能活動はどう展開されていく予定ですか?

佐原社長 今は相方のバービーが産休に入っているので、いったんはコンビでの活動を休止していますが、産休が明ければライブなどのコンビでの活動は再開が決まっています。私個人としての活動では、釣りが好きなので、釣りのイベントの司会なども不定期で請け負っています。

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――芸人と社長の二足のわらじは大変では?

佐原社長 僕が20代前半の頃、まだお笑い芸人として世に出ていない時代は、さまざまなアルバイトをこなしていたので、シロアリ駆除会社とお笑い芸人の二足のわらじでとくに意識していることはありません。芸人の仕事が忙しくなればホウ酸の話題が出ますしね。ホウ酸の仕事が忙しくなることはありがたいことですから、両方の仕事のいいとこ取りができていると考えています。

芸人はいいバイト先の確保も仕事のうち

――芸人さんのセカンドキャリアについては、どうお考えですか?

佐原社長 僕自身は芸人を続けていますが、一般論で言えば、芸人の引退後は大変ですよ。辞めたあとはお笑い業界のつながりで次の仕事をもらうことが多いのですが、それまで人生のすべてを芸事に賭けてきたわけで、葛藤もあるでしょうし。芸人は続けるよりも辞めるほうがつらいものだと思います。手に職もないですしね。

なので、これからの芸人は芸能活動を続けながら副業にもチャレンジしていいと思います。メディアもテレビ、新聞、YouTube、X、TikTokと細分化しています。どこで売れて芽が出るか分からないので、さまざまなメディアに挑みつつ、芸能活動に副業をプラスしながらチャレンジしていけば、それが将来のセカンドキャリアに成長するかもしれません。

――ICOLAでは、多くの若い芸能人が施工のアルバイトをされていると伺いました。

佐原社長 まだ芸事では食べていける段階ではないお笑い芸人や舞台俳優が多いですね。僕が若手だった頃もですが、いきなり明日オーディションがあるという連絡が入ることはしょっちゅうあるんですよ。なので、コンビニなどのアルバイトはとても無理なんです。僕もシフトとオーディションで悩み、何度もバイトを辞めた経験があります。

同じような悩みを抱いている芸人たちが当社で働いてもらうことで、もし誰かが穴をあけても別の芸人がカバーできます。一番の優先順位である芸事の邪魔にならず、かつバイトがメインにならないように働いてもらっています。

芸人はいいバイト先の確保も仕事のうちなんです。うちも芸人に理解があり、融通のきくバイト先になりたいですね。

――後輩たちをマネジメントするうえで意識されていることはありますか?

佐原社長 僕ら芸人は面白く、そして楽しくありたい人間の集合体です。芸人以外の仕事でも、その特性を活かしていくことが大事だと考えています。もちろん工事は安全に、そして真剣に施工することが大切です。ただ、施工員同士の会話はもっと楽しくあってもいいと思います。ただふざけているだけではダメですが、ゴリゴリ真面目なだけでもしんどいですから。そこは僕がコントロールしながら、楽しく明るく、安全な現場にしたいですね。

――今後の会社やご自身の方針については?

佐原社長 まずは一人でも多くの方にホウ酸を知ってもらいたい。普及活動のため、現場の仕事とともにセミナーをこなしていくつもりです。

基本に忠実に工務店への営業活動も続けながら、今年の8月7日にはリフォーム産業フェア2024内の住宅性能向上セミナーで、「フォーリンラブハジメのイエス!耐久性向上ホウ酸処理」をテーマに講演もしました。この経験を踏まえ、別のアプローチも考えながら次のセミナーについても検討しています。これを機にさまざまなところからオファーをいただければ、参加していきたいですね。

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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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