一番最後に行う外構工事。「外構図」チェックも最後で良いのか?
建築現場では必ず一番最後に行われるのが外構工事ですよね。
近隣さんとの境の塀や、建物に近接していない構造物では、早い段階で施工する場合がありますが、基本的な舗装やエントランスへのアプローチなどは、建物の足場を解体した後でないと出来ません。
そのため、外構図は最後に回されがちですが、私はいつも最初に検討して、チェックしてしまいます。
今回は私が一番最後に施工する外構図を、一番最初にチェックする理由をお伝えします。
後から絶対に変更不可なものを決定
私が一番最初に外構図をチェックする最大の理由が「建物のレベル」を決定するためです。
「建物のレベルなんて設計図を見れば分かるのでは?」
確かに、設計図を見れば現状地盤からのGL設定と1FLの設定が記入されていて、一見その通りに施工すれば良いと思うかもしれません。
しかし私の経験上、設計図の外構図を見ていると、全ての箇所が一定だったり、単純な片勾配で書かれていたりすることが多かったのです。
設計した人には悪いのですが、
「これじゃ、水溜まりだらけだし、下手すれば大雨の時はエントランスから水が入ってくるかも?」
という設計図も実際にありました。
そこで、水勾配を考えながら周辺の道路との関係性を踏まえつつ、建物レベルを計画しました。
もちろん、法的な制限で私の提案通りにならなかった事もあるのですが、そういった議論を一番最初にしっかり行うことが非常に大切であると私は考えています。
最後の最後に、「建物のレベルを100上げようか?」なんて、出来ないですからね。
建物のレベル決定に必要なもう1つの考え
建物のレベルを決定するのにもう1つ重量な要素があると私は考えています。
それは、「排水の勾配」です。実際に設計図でも検討されていますが、本当にそのルート通りに配管できるか?と言われれば「絶対」とは言い切れないのが現場です。
もしも、最終枡などで調整しろがあれば、何とかなるのですが、ギリギリで設計されている場合は、一度しっかりと協議を行った方が良いです。
「汚水管の勾配が無くて汚物が流れません」なんて事態になったら悲惨ですからね。
敷地の周囲は問題山積み
そして、私が工事を始める最初の方で、しっかり方針を立てておきたい物の1つに、敷地周辺の近隣さんと取り合う部分の塀などの工事があります。
これこそ、設計図通りでは無いか?という意見があるかも知れませんが、案外すんなりと行かない事が多いのです。
具体的には、
- 設計図では想定されていない隣地との段差がある。
- 基礎を掘削すると隣地の建物などに影響が出るような状況。
- いざ工事を行おうと近隣さんに説明に行くと仕様変更を求められる。
- そもそも、近隣さんが塀に対する説明を受けていない。
という経験を今までしてきたので、私は出来るだけ早く施工図に落として、お客さんと設計者の承認を得て、近隣さんに説明に行くようにしています。
さらに、工事の時期も埋め戻しが終わった頃に出来るだけスタートするようにしておけば、最後の最後にトラブルを抱えたままになる事が少なくなります。
細かい仕上げは最後でも構わない
私は外構図をチェックする時、全てをチェックしない場合も多くあります。つまり、建物のレベルに関する所や、周囲の塀の部分だけ部分承認を取ると言うやり方もします。
その他の見栄えに関する部分については、工事を進めて行くうちに誰かの気が変わって仕様変更になる事もありますから、工事の体制に影響を与えない部分は放っておく事が多いのです。
だって、工事の序盤戦はただでさえ他にやる事が多くて忙しいですからね。
このように外構図を最初の段階でチェックする事で、「建物レベル」や「敷地周辺の塀」などのトラブルを回避につながるはずです。
もしも、みなさんの中で「これは使える」と感じた方がいらっしゃったら、ぜひご参考ください。