1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 土の室内試験(土質調査)の出題傾向
土工(土の室内試験・締固めの管理基準)の問題も、「試験の名称」「求められるもの」「試験結果の利用」「適用土質」の組み合わせ、もしくは文章での説明が出題されます。
簡単ですので、ポイントを押さえておきましょう!
◎含水比試験・圧密試験・せん断試験・締固め試験
試験の名称 | 求められるもの | 試験結果の利用 |
圧密試験 | 圧縮係数・圧縮指数等 | 粘土層の圧密量(沈下量)の推定 |
せん断試験 | ||
一面せん断試験 | せん断抵抗角・粘着力 | 基礎・斜面・擁壁などの安定計算(支持力の推定) |
一軸圧縮試験 | 一軸圧縮強さ・粘着力・鋭敏比 | 細粒土地盤の安定計算 |
三軸圧縮試験 | せん断抵抗角・粘着力 | 細粒土の構造の判定 |
含水比試験 | 含水比 | 土の締固めの管理
施工条件の判断 |
締固め試験 | 最大乾燥密度・最適含水比 | 施工方法の決定・締固めの管理 |
※暗記ポイント
- 圧密試験
粘土層の圧密量(沈下量)の推定 → 強度や透水性、塑性指数など関係のないワードがでてくると× - せん断試験(一面せん断試験/一軸圧縮試験/三軸圧縮試験)
それぞれ別の試験方法だが詳細を覚える必要なし。
どれもせん断力を求める試験で、細粒土(粘性土)の安定計算などに用いられる。 - 粘着力
土粒子が互いに引き合う力に起因する抵抗力であり、一般に粒子が小さいほど大きくなる。 - 含水比試験・締固め試験については、次項の「締固めの管理基準」を参照してください。
圧密試験に関する練習問題
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
◇圧縮指数は、土の圧縮性を代表する指数で、粘土層の沈下量を圧縮指数と塑性指数から判定することができる。
→解答×。
「塑性指数」は、粘性土のコンシステンシーで出てきた用語ですね。圧縮指数は圧密試験によって求められる数値である。「塑性指数」という用語がコンシステンシー以外の箇所で出てくると×であることが多いので要注意!
盛土の締固めの管理基準
盛土の締固めの管理には、品質規定方式と工法規定方式の2つがある。
この2つの方式を設問で入れ替える問題がよく出題されるため、しっかり意味を理解しておきましょう!
【1】品質規定方式
品質規定方式の中でも、土質に合わせて管理方法が分かれています。
○ 乾燥密度(締固め度)で規定する方法
※乾燥密度(締固め度)で規定する方法に適用する土質 → 最も一般的な管理方式で、特に自然含水比の比較的低い砂質土に適している。
粘性土などは、こね返しにより強度低下(オーバーコンパクション)をきたし基準となる最大乾燥密度が定められない場合があります。
締固め度= 現場における乾燥密度 ÷ その材料における最大乾燥密度 × 100 (%)
最大乾燥密度とは、その材料が最も締め固まった状態の密度で、その時の含水比を最適含水比といいます。土の締固め試験によって求められ、材料ごとにこの値は異なります。それを表す下記の図を締固め曲線と言います。
◎締固め曲線
盛土の管理においては、含まれる水分の量の管理が重要になってきます。これは今後、盛土の施工や専門土木などでも出題される基本になるのでしっかり覚えておきましょう!
締固め曲線は一般的な傾向として、粒度の良い砂質土ほど最大乾燥密度が高く、締固め曲線は鋭くなります。そして、細粒土ほど最大乾燥密度が低く、締固め曲線がなだらかです。
◎空気間隙率または飽和度を施工含水比で規定する方法
※空気間隙率または飽和度を施工含水比で規定する方法に適用する土質 → 乾燥密度により規定するのが困難な、自然含水比が高いシルトまたは粘性土に適している。
※通常の盛土の場合は、飽和度85%以上、空気間隙率10%以下となるように管理する!
◎強度特性、変形特性で規定する方法
締め固めた盛土の強度あるいは変形特性を現場CBR、地盤反力係数、貫入抵抗、プルーフローリングによるたわみ等により規定する方法。
【2】工法規定方式
締固め機械の機種・敷均し厚さ・締固め回数などを定め、これにより一定の品質を確保しようとする方法である。あらかじめ現場締固め試験(試験施工)を行い、工法規定の妥当性を確認しておく必要がある。
※適用土質…盛土材料の土質、含水比があまり変化しない現場ではこの方法は便利である。
岩塊、玉石など粒径が大きい盛土材料を用いた品質規定方式の適用が困難な場合に採用されている。
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