1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 土工「盛土材料・盛土施工」
1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第4回目は、「土工」(盛土材料・盛土施工)の問題について、覚えておくべきポイントを簡単にまとめておきます。チェックしてみてください!
盛土材料として要求される性質とは?
- 締固めれれた土のせん断強さが大きく、圧縮性(沈下量)が小さいこと。
- 透水性が小さいこと。※裏込め材の場合は透水性が大きいものを使用!←要注意
- 有機物(草木・その他)を含まないこと。
- 吸水による膨潤性の低いこと。
トラフィカビリティーが十分でない土を盛土材として使用する場合の対策とは?
- 湿地ブルドーザーなど接地圧の小さい重機を使用して締め固める。
- ばっ気乾燥や天日乾燥などを行い、自然含水比を低下させる。
- 石灰またはセメントなどによる安定処理を行う。
- 緑地や法面表層部に張付け客土とする。→表土や高含水比の粘性土は植物の生育に必要な養分を含んでおり、法面の衣土には適しており、植生工の客土として有効活用ができる。
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
道路用盛土に自然含水比の高い第3種および第4種建設発生土を使用する場合は、水切りや天日乾燥(ばっき乾燥)が転圧を可能にすれば、盛土材料として使用してもよい。 |
→解答〇。問題文に「第3種および第4種建設発生土」のような難しい用語を出してきて悩ませますが、要は高含水比の発生土ということです。含水比の高い発生土は、ばっき乾燥するなど含水比を適切な状態にまで調整することで、盛土には使用することができる。「これが使用できない」と、記述されていると×になるのでしっかり注意して問題文を読むようにしてください。
盛土施工:盛土基礎地盤面の処理とは?
- 山間のくぼ地などで、落ち葉あるいは枯れ枝などが堆積している場合は、除去する。
- 道路の計画路床面下1m以内にある、草木、切株、竹根などの有機物は除去する。
- 凸凹や段差がある場合は、締固めに支障を与えるだけでなく、均一な盛土ができなくなるため、盛土の高低に関わらず、段差などは盛土に先立ちできるだけ平坦にかき均す。
- 含水比が高く、トラフィカビリティーが得られない場合は、サンドマット(0.5~1.2m)や排水溝を設け排水溝に切り込み砂利を充填するなどして、排水機能を持たせることが有効である。
敷均し・締固め
- 含水比ができるだけ最適含水比に近づけるように施工する。
- 盛土材料の土質に応じて適切な機種、重量の締固め機械を選定する。
- 高巻きを避け、水平の層に薄く敷均し、均等に締め付ける。
路体では1層の仕上がり厚が30cm、敷均し厚さを35~40cm以下にする。
路床では1層の仕上がり厚が20cm、敷均し厚さを25~30cm以下にする。
※降雨があったとき、雨水が締固め土内に侵入しにくいように、表面に勾配をつけて締め固める。 - 施工中の排水処理を十分に行う。→水平排水層は、透水性のよい材料を用い層厚30cm以上で施工する。
※地山からの湧水や、周辺の雨水が集まりやすい箇所には穴あき管などの排水管を設置し排水を行う。 - 土の間隙を少なくして透水性を低下させ、水の侵入による軟化、膨張を小さく安定した状態にする。
- 含水比の高い粘性土を用いて高い盛土を行うときは、間隙水圧を上昇させないよう緩速施工を行う。
※圧縮性、間隙、透水性、間隙水圧は小さく! - 現地盤の傾斜が1:4より急な場合は段切りを行い盛土がすべらないようにする。
※腹付け盛土を行う場合も同様に段切りを行う。
道路用盛土に自然含水比が高い砂質土系の第3種建設発生土を使用する場合は、水切りや天日乾燥(ばっき乾燥)が転圧を可能にする有効な手段である。
構造物との接続部の盛土(裏込め)
ボックスカルバートなどの構造物との接続部では、盛土部の基礎地盤の沈下および盛土自体の沈下等により段差が生じやすい。構造物に悪影響を及ぼすこともあるので十分注意して施工を行う必要がある。
- 良質な材料を使用して薄層で入念に締め固める。構造部の隣接部や狭い箇所では小型の締固め機を使用して、入念に締め固める。
- 編土圧をかけると、構造物が移動したり、変形したりすることがあるので、片盛りにならないよう両側から均等に締め固める。
- 構造物周辺には雨水や溜まり水が集まりやすいので、必要に応じて地下排水等を設置する。
裏込めにおける良質な材料とは、圧縮性が小さく、透水性が大きく、雨水等の浸透に対して強度低下が生じない材料が望ましい(通常の盛土との違いがポイント!)。
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
盛土と構造物との取付け部の段差を抑制する対策として、裏込め材料に締固めが容易で圧縮性,透水性があり、かつ、水の浸入によっても強度の低下が少ない材料を使用した。 |
→解答×「裏込め盛土では透水性が良いものを使用する」…これは〇ですよね。
この問題の注意点は「圧縮性」と「透水性」が列記してあること!
圧縮性がある→圧縮しやすい…つまり、「沈下しやすい材料である」という説明になるので、盛土材料として「沈下しやすい材料である」はもちろん×ですよね。
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