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耐火被覆(たいかひふく)とは?必要性や4つの代表的な工法まで解説

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『施工の神様』編集部
公開日:2023.10.02 / 最終更新日:2024.03.28
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耐火被覆(たいかひふく)とは?必要性や4つの代表的な工法まで解説
目次
  1. 耐火被覆(たいかひふく)とは
  2. 耐火被覆の代表的な工法は4種類
  3. 耐火被覆をした建物の保険料と注意点
  4. 耐火被覆を理解して最適な工法を選ぼう

アパートやマンションといった建築物でよく見かける鉄骨造。実は鉄骨造は熱に弱いという性質があります。そのため、火災時に倒壊してしまう危険があります。鉄骨造の火災発生時に建物を守るために生まれた措置が耐火被覆です。

今回は耐火被覆について解説します。鉄骨造について知ることで、耐火被覆の必要性も知ることができます。耐火被覆の基準や工法の特徴について理解し、最適な工法を選びましょう。

耐火被覆(たいかひふく)とは

熱に弱い鉄骨造では、火災が起きた場合に倒壊する可能性があります。その対策として、鉄骨造をカバーするのが、耐火被覆(たいかひふく)と呼ばれる工法です。

耐火被覆とともに鉄骨についても理解することで、耐火被覆の必要性がわかります。ここでは、鉄骨造の特徴から耐火被覆が必要な理由、そして耐火被覆の性能について探っていきます。

鉄骨造の特徴

鉄骨造の弱点は熱に弱いことです。確かに木造と比べると耐火性は高いです。しかし鉄骨は温度が300度~500度に達すると、その強度は半減します。

火災時の温度は900度近くまで上昇し、構造や室内の条件によっては1,000度にも達します。鉄骨造はその温度には耐えられません。熱の上昇とともに鉄骨は柔らかくなり、当然建物の強度は落ちます。

鉄であるため、火には強い印象もありますが、実は鉄骨は熱に弱い素材です。

関連記事:S造(鉄骨造)とは?RC造・SRC造との違い、耐用年数まで徹底解説

耐火被覆が必要な理由

鉄骨造は火に弱いため、火事になってしまった場合、倒壊の恐れがあります。マンションや高層ビルには重量鉄骨造のものもあります。そんな建物が倒壊した場合、被害は建物だけでは済みません。

そこで対策として生まれた工法が、耐火被覆です。建築基準法によって、特殊建築物や防火地域、準防火地域に指定されている地域の建物は耐火構造または準耐火構造でなければならないと定められています。その規定に適合するために、鉄骨造には耐火被覆が必要とされています。

また、耐火被覆を施すことにより耐火構造となるのは、鉄骨造だけです。耐火被覆を施したとしても、木造の建物は耐火構造にはなりません。木造を耐火建築物にするためには、別の方法が必要となります。

鉄骨造に必要な耐火被覆

耐火被覆とは、鉄骨を断熱性の高い素材で覆う工法です。熱だけではなく、火災による倒壊を防止する役目も果たします。建物の主要構造部分となる鉄骨に耐火被覆を施します。

使用される素材はロックウールという人造鉱物繊維です。近年ではアスベストに代わって使用されています。その特徴は強度。約700度の熱にも耐えることができ、形状を維持します。

耐火性能の3つの基準

建築基準法では、耐火性能に対して以下の3つの技術的基準が定められています。

  • 火損傷性
  • 遮断性
  • 遮炎性

火損傷性では、火熱が加えられた場合、構造耐力上、変形、溶融、破壊、その他損傷を生じないことが基準です。

遮断性では、壁や床に火災による火熱が加えられたとき、屋内の加熱面以外の温度が可燃物燃焼のおそれがある温度以上に燃焼しないことが定められています。

遮炎性では、外壁や屋根に屋内で発生する通常の火災による火熱が加えられたとき、屋外に火災を出す原因になるような亀裂や損傷を生じさせないことが定められています。

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耐火被覆の代表的な工法は4種類

耐火被覆工事の目的は、建物で火災が発生したときに建物の倒壊を防ぐため、建物を熱から守ることです。建物の安全確保だけではなく、人命の保護も重要な目的のひとつです。

耐火被覆工事では、建物を熱から守るために、耐火性と断熱性に優れた材料で骨組みを被覆します。ここでは代表的な4つの工法について解説していきます。

吹付けロックウール工法

耐火被覆では主流となる工法です。人口繊維であるロックウールを使用します。ロックウールは高炉スラグや天然岩石といった鉱物を原料として作られた人口繊維です。

このロックウールにセメントを混ぜ、柱や梁に直接吹き付けていく工法が、吹付けロックウール工法です。コストが安いだけでなく、施工時間も乾燥も早いため、短時間で仕上げることができます。

また、吹付けロックウール工法は、さまざまな材質や形状でも継ぎ目なく、必要な厚さとかさ比重が確保できます。

巻付け工法

巻付け工法は、吹付けロックウールと同じくロックウールを使用する工法です。シート状になったロックウールを、柱や梁に巻きつけていきます。施工方法はロックウールをピンで留めるだけ。

工法自体は非常にシンプルですが、軽量かつ施工時に粉塵が少ないことから、作業現場を汚しません。養生も最低限で済むことから、工期の短縮も可能です。

成形板張り工法

ケイ酸カルシウムを原材料とした耐火被覆板を使用する工法です。柱や梁の周りに耐火被覆板を貼り付けます。

吹付けロックウール工法や巻付け工法に比べて、表面が平らで硬いことが特徴です。そのため、そのまま仕上げ用としても使用できます。

板状のため、形状に合わせた加工も容易です。また、ペイントやクロス張りもできます。

耐火塗料工法

耐火塗料を鉄骨に直接塗る工法です。火災時には、塗膜を数十倍に発泡させ、断熱層を形成し、断熱層によって熱から鉄骨を守ります。

薄いながらも耐火性能は1時間以上。色を塗ることもできることから、エントランスといった人目につきやすい場所の施工に適しています。直接塗り付ける工法であることから、メンテナンスも容易です。

耐火被覆をした建物の保険料と注意点

建物は構造や耐火被覆の有無によって火災保険料が異なります。耐火性能が高い建物ほど、火災保険料は安くなります。

また、以前は耐火被覆の主な原料にアスベストを使用していました。アスベストは発がん性物質であることから現在では使用禁止となっています。

ここでは建物の火災保険料の違いと、耐火被覆の原料における注意点について解説していきます。

火災保険が安くなる

耐火被覆を施した建物は火災保険が安くなります。耐火性が低い建物の保険料は高く、耐火性が高い建物は保険料が安くなる仕組みです。

耐火被覆を施した建物は建築基準法で耐火性が高いと判断されるため、火災保険料も安くなります。火災保険料は以下のように判定されます。

住宅物件(下にいくほど保険料が高い)

  • M構造(マンション構造)…コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、レンガ造建物、石造建物、耐火建築物の共同住宅建物
  • T構造(耐火被覆構造)…コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、レンガ造建物、石造建物、鉄骨造建物、耐火建築物(共同住宅建物以外)、準耐火建築物、省令準耐火建物
  • H構造(非耐火被覆構造)…木造、土蔵造、M構造、T構造に該当しない建物

一般物件(下にいくほど保険料が高い)

  • 1級…コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、レンガ造建物、石造建物、耐火被覆鉄骨造、耐火建築物
  • 2級…鉄骨造建物、準耐火建築物、省令準耐火建物
  • 3級…1級、2級に該当しない建物

住宅物件では、集合住宅は保険料が安くなりますが、単独の住宅では耐火性能によって保険料が変わります。一般物件では、耐火性が高い建物であるほど、保険料が安くなります。

アスベストを使用していた時期も

現在の耐火被覆の主な原料はロックウールですが、高度成長期と呼ばれる1995年〜1960年代には「アスベスト」という材料を使用していました。

アスベストは発がん性のある物質です。アスベストは髪の毛よりも細く、吸い込んでしまうと肺の中に残り、発がんの危険性があります。そのため、人体への影響がないとされているロックウールを使用することになったのです。

現在ではアスベストの使用は禁止されています。

耐火被覆を理解して最適な工法を選ぼう

今回は、耐火被覆の必要性や工法について解説しました。耐火被覆は熱に弱い鉄骨造の建物を火災から守るための工法です。

建物を断熱性の高い素材で覆うことで、建物を熱から守ります。また、耐火被覆は建築基準法によって基準が定められています。その目的は建物の安全性だけでなく、人命も保護することです。

耐火被覆には4種類の工法があり、コストや場所、デザイン性といった条件によって使い分けることが可能です。耐火被覆の工法だけでなく目的も理解したうえで、最適な工法を選びましょう。

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