1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策31

1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 工程管理その2「各種工程表の特徴」

第31回目は、工程管理その2「各種工程表の特徴」についてポイントを解説します。

現場では必ず使用されている「工程表」。工程表にはいくつか種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

作成が容易な工程表なのか、作成が困難な工程表なのか、作業の開始終了が見やすい工程表なのか、工事の進捗が見やすい工程表なのか、作業の遅れに対応できる工程表なのか・・・というように、工程表の種類によってできる事、できない事が出題されます。

バーチャート工程表(横線式工程表)

バーチャート工程表は、最も一般的に使用される工程表で、現場では週間工程表などでよく目にする工程表です。

バーチャート工程表(横線式工程表)

  • 表の特徴…横軸に日数(全体工期、月毎、週毎など)、縦軸に作業名を記入。
  • メリット…作成が容易。各作業の開始日・終了日・所要日数が分かりやすい。ある程度、作業間の関連が把握できる。
  • デメリット…作業間の関連を明確につかめず、工期に影響する作業がどれであるかはつかみにくい。

ガントチャート工程表(横線式工程表)

ガントチャート(横線式工程表)は、視覚的に分かりやすいため、現場事務所の工事看板や、工事現場の仮囲いなどに張り付けてある所も多い!

ガントチャート

  • 表の特徴…縦軸に作業名、横軸に進捗率(出来高:何パーセント作業が終了しているか)を記入。
  • メリット…作成が容易。各作業の進捗率が明確に分かる。
  • デメリット…各作業の進捗率(出来高)しか把握できない。

グラフ式工程表(曲線式工程表)

グラフ式工程表(曲線式工程表)は、バーチャート工程表とガントチャート工程表を組み合わせた工程表です。

グラフ式工程表(曲線式工程表)

  • 表の特徴…横軸に日数(全体工期、月毎、週毎など)、縦軸に進捗率、工種ごとの工程を斜線で記入。
  • メリット…作成が容易。各作業の開始日・終了日・所要日数が分かりやすい、ある程度、作業間の関連が把握できる。各作業の進捗率が明確に分かる。(バーチャート+ガントチャート)
  • デメリット…作業間の関連は明確につかめず、工期に影響する作業がどれであるかはつかみにくい。(バーチャートと同じ)


工程管理曲線(曲線式工程表)

工程管理曲線(曲線式工程表)は、現場事務所内によく貼ってある工程表。別名が多くバナナ曲線・出来高(累計)曲線・Sカーブなどと呼ばれることもある。

工程管理曲線(曲線式工程表)

  • 表の特徴…横軸に日数(工期)、縦軸に進捗率を記入。
  • メリット…全体作業の進捗率(出来高)が明確に分かる。工事の遅れ、無駄を視覚的に把握しやすい。
  • デメリット…全体作業の進捗率しか把握できない。

※工程管理曲線(曲線式工程表)は単体で試験問題に出題されることもあります!

表の中心にあるS字カーブ(太線)が予定工程曲線…工事がスタートし、最初は準備等で出来高はすぐにはあがらないが、徐々に上がりだし、工期中期に一気に上がる。そして工期にむけて片付けや検査準備などで出来形の上りはなだらかになり、100%に達する。

予定工程曲線の上にあるのが上方許容限界曲線、下にあるのが下方許容限界曲線。

定期的に実際の現場の進捗状況を工程表に書き込んでいき、下方許容限界曲線よりも下回る場合は、作業が遅れている状況を示し、突貫工事としなければ工期内に作業を終えることができなくなる限界の線である。上方許容限界曲線を上回る場合は、人員や機械の選定に無駄が多い状況となる目安の線である。施工管理技士は、無駄なくスムーズに工事を進めるために、下方限界と上方限界内で、極力予定曲線に近づくように工程を管理する。

ネットワーク工程表

ネットワーク工程表は、元請けの監理技術者など、複数の工種の工程を調整する場合には必須の工程表!

1級土木施工管理技士の試験では、ネットワーク工程表の特徴と計算問題が出題されます。

ネットワーク工程表

  • 丸印(〇)と矢線(→)で表された工程表で、矢印の上に作業名、下に作業日数を記入
  • メリット…各作業の開始日・終了日・所要日数が分かりやすい。明確に作業間の関連・工期に影響する作業が把握できる。
  • デメリット…作成が複雑で専門的な知識が必要。作業の進捗状況は把握しづらい。

ネットワーク工程表の詳しい説明はひとまず置いておいて、ここまでで各工程表の違いについてまとめていきましょう!(ネットワーク工程表は計算問題として出題されるため、次回詳しく解説します。)


各種工程表の比較とポイント

各種工程表の比較表

※( )カッコ内は過去に他の施工管理技士試験で出題されたことあり。判断が微妙な場合は無理に判断せず明らかな×を探すようにしてください!

解答のポイント!(※網掛けの箇所)

バーチャート工程表からの出題が一番多く、作業手順は「ある程度わかる」が正解。「明確にわかる」と記載があると誤りである。ガントチャート工程表出来高累計曲線は「作業の進行度合い(進捗度)」しかわからない。

斜線式工程表は、バーチャートに施工延長がプラスされた工程表のため、作業の進行度合いも把握できるようになった工程表。

グラフ式工程表は、各作業の出来高累計をまとめた工程表で、作業の開始日・終了日が記入された工程表。

ネットワーク工程表は、すべての項目が明確になる工程表である。※過去に、建築施工の試験では「進捗状況は把握しづらい」という記載で出題されたことがあるので、そこだけ注意が必要です!

工程表の練習問題

【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?

◇横線式工程表(バーチャート)は、作業の流れが左から右に移行しているので作業間の関連がわかり、工期に影響する他作業への影響や全体工期に対する影響がよくわかる。

→解答×…工期に影響する他作業への影響や全体工期に対する影響がよくわかるのはネットワーク工程表だけなので誤りとなります。

◇座標式工程表(斜線式工程表)は、トンネル工事のように工事区間が線上に長く、しかも工事の進行方向が一定の方向に進捗するような工事によく用いられる。

→解答〇…記事では解説はありませんでしたが、斜線式工程表とは、バーチャート工程表に工事の施工延長の記載された工程表である。よって、出題にあるようにトンネル工事や道路・鉄道工事などのように施工延長が長く、1方向に施工が進んでいく場合に用いる工程表である。よって、この問題は〇となります。

◇グラフ式工程表は、予定と実績との差を直視的に比較するのに便利であるが、どの作業が未着工か、施工中か、完了したかがわかりにくい。

→解答×…グラフ式工程表は各作業の出来高累計曲線と作業の開始・終了の記された工程表である。よって「施工中か、完了したかがわかりにくい。」は誤りとなります。

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大阪工業大学を卒業後、某ゼネコンに就職。現在、一般社団法人全国教育協会(関西建設学院)にて土木・建築施工管理技士の資格取得セミナーの講師を担当している。体育会系で勉強が好きではなかったため、「勉強が苦手な人にわかりやすい解説」をモットーに、業界No.1講師を目指して修行中!
ひげごろーTwitterアカウントはこちら → https://twitter.com/LICEN0202
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