1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 第14回目 労働安全衛生法「安全管理体制・工事計画」の出題ポイント
1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第14回目は、労働安全衛生法「安全管理体制・工事計画」についての勉強ポイントをまとめます!
1級土木施工管理技士試験 労働安全衛生法「安全管理体制」の出題ポイント
ここでは、事業所と現場における安全管理体制、そして安全に関する管理者の名称がキーポイントとなってきます。安全に関する管理者の配置は、社員数及び現場の労働人数によって変わります。
事業場(会社)の安全管理体制
- ・常時働いている労働者数(社員数)が 10人以上50人未満の場合 → 安全衛生推進者
- ・常時働いている労働者数が 50人以上100人未満の場合 → 安全管理者・衛生管理者・産業医
- ・常時働いている労働者数が 100人以上の場合 → 安全管理者・衛生管理者・産業医+総括安全衛生管理者
上記の管理者を、労働者数が規定の数になった日から、14日以内に選任し、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
※安全衛生推進者は、労働基準監督署長への報告の必要なし。
混在現場の安全管理体制
- 現場で常時働いている労働者(元請+下請)総数が50人以上の場合
◎元請 →統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者……選任後は、遅延なく所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
◎下請 → 安全衛生責任者……下請業者(×元請業者)が選任。労働基準監督署長への報告の必要はなし。
( )内は×の場合によく出題される誤った数値、用語です。
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
元請負者及び下請負者の労働者が,定められた人数以上で常時作業する建設現場では,元請負者及び下請負者の各々が統括安全衛生責任者と安全衛生責任者を選任しなければならない。 |
→解答×…元請負者は統括安全衛生責任者を、下請負者は安全衛生責任者を選任する。
特定元方事業者(元請)の責務
- 作業場所の巡視
※原則1日1回以上、元方事業者(選任された社員)が行う。
→「週に1回、2週間に1回」や、「関係請負人、作業主任者に行わせた」という記載があると×。
- 作業間の連絡調整を行う。
- 協議組織の設置及び運営を行う
- 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助
※「(元請事業者が)すべて直接行わなければならない」という記述があると×。
指導援助しなければならないが、すべて直接行わなければならないわけではない。
- 現場でクレーン・重機等を用いる場合は作業計画書を作成し、合図は統一したものを定め、周知徹底させる。
- 作業区域の立入り禁止措置。
- 悪天候時の作業の中止の決定。
※事業者の責務
→安全帯の点検・管理は原則として作業員を雇用する事業者(×元請事業者)が行う。
これは元請け業者の責務ではなく、事業者の責務であるため要注意!
1級土木施工管理技士試験 労働安全衛生法「工事計画の届け出」の出題ポイント
工事に関する計画の届け出には、14日前に提出するものと、30日前に提出するものがある。
危険の恐れのある作業計画 | 特に規模の大きくなる作業の計画 | |
労働基準監督署長への届出期限 | 14日前 | 30日前 |
建築物・塔 (高さ) |
高さ31m以上 | 高さ300m以上 堤高150m以上のダム |
橋梁 (支間) |
最大支間長50m以上 ※最大支間長50m未満(人口が集中している地域内及び鉄道・道路上) |
最大支間長500m以上 (吊り橋にあっては1000m以上) |
ずい道 (長さ) |
ずい道内の建設等※ずい道内に作業員が立入らない場合を除く(右記の作業未満の長さの場合) | 3000m以上、1000m~3000m未満の場合で、深さが50m以上のたて坑 |
圧気工事 (圧力) |
圧気工法による作業 (右記の作業未満の圧力の場合) |
ゲージ圧力が0.3Mpa以上 |
掘削工事 (掘削高さ/深さ) |
高さまたは深さ10m以上 | ― |
土石採取 | 坑内掘りまたは、掘削の高さが10m以上の土石採取のための掘削作業 | ― |
【練習問題】工事の開始の日の30日前までに、厚生労働大臣に計画を届け出なければならない工事が定められているものはどれか、適当なものには○・適当でないものには×を入れよ。
堤高が130mのダムの建設工事。 |
→解答×…堤高150m以上のダムが30日前までの届け出が必要
最大支間1,200mのつり橋の建設工事。 |
→解答〇…橋梁は最大支間長500m以上の場合に30日前までの届け出が必要だが、吊り橋にあっては1000m以上。
長さが800mのずい道の建設工事。 |
→解答×…ずい道の建設工事は3000m以上の場合は、30日前までの届け出が必要
ゲージ圧力が0.2MPaの圧気工法による作業。 |
→解答×…圧気工事は、ゲージ圧力が0.3Mpa以上の場合は、30日前までの届け出が必要
元請負者及び下請負者の労働者が,定められた人数以上で常時作業する建設現場では,元請負者及び下請負者の各々が統括安全衛生責任者と安全衛生責任者を選任しなければならない。
の問題で、解答例は→解答×…安全衛生責任者は元請負者ではなく、下請け業者が選任する。となっていますが。
各々と問題文には記載されているので、問題文の通り行うと元請けと下請けが統括安全衛生責任者と安全衛生責任者を選任し各2名ずつの合計4名選任することになります。
解答例は下請けが選任するので×ですが選任していることになっています。
そうではなくて、元請けは統括安全衛生責任者のみ1名、下請けは安全衛生責任者のみ1名でよいので各々がという文言なので不正解という理解の方が正しいのではないでしょうか?
「施工の神様」編集部です。いつもご愛読いただきありがとうございます。
ご指摘の通りです。訂正しましたのでご確認ください。
元請負者及び下請負者の労働者が、定められた人数以上で常時作業する建設現場では、元請負者及び下請負者の各々が統括安全衛生責任者と安全衛生責任者を選任しなければならない。
→解答×…元請負者は統括安全衛生責任者を、下請負者は安全衛生責任者を選任する。