1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 第11回目 基礎工「直接基礎・土留め支保工」の勉強ポイント
1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第11回目は、基礎工「直接基礎・土留め支保工」についての勉強ポイントをまとめます!
直接基礎の施工上の留意点について
直接基礎の施工に関する問題では、地盤の状態・床付け面の仕上げ状態がポイント!
- 基礎地盤をコンクリートで置き換える場合
→ 底面を水平に掘削し、浮き石は完全に除去する。 - 基礎地盤が岩盤の場合
→ 割栗石を用いず均しコンクリートを打設する。基礎地盤底面は、均しコンクリートがかみ合うように不陸を残す。
※「不陸を整正し、平滑な面に仕上げる」と記載があれば×。 - 床付け面にゆるんだ岩盤がある場合
→ゆるんだ岩石を除去し貧配合のコンクリートを打設する。
※「掘削したずりで埋め戻す」と記載があれば×。
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
基礎地盤が岩盤の場合、構造物の安定性を確保するため基礎底面地盤は不陸を整正し、平滑な面に仕上げる。 |
→解答×…岩盤の場合、かみ合わせがよくなるように不陸を残し、平滑としない。
土留め支保工の施工上の留意点について
土留め支保工の施工に関する問題では、部材継手の位置がポイント!
- 腹起し材に継手を用いる場合は、弱点になりやすいので、ジョイントプレートなどで補強を行う。また、継手位置は応力的に余裕のある切ばり材や火打ち材の支点に近い位置に設ける。
- 切ばりは継手を設けない方が望ましい。継手を設ける場合は、補強を行い、中間杭付近に設ける。
- ジャッキを取り付ける場合は、千鳥配置とする。
掘削底面の安定について
土留めに伴う掘削底面に起こる破壊の種類と特徴、防止対策が、学科・実地ともに非常によく出題されます。
発生しやすい地盤の状態 | 特徴・現象 | |
ヒービング | 軟らかい粘性土 | 特徴・現象 土留め背面の土の重量や、地表面荷重により、地盤が沈下し、土留め壁がはらみ、掘削底面が隆起、最終的には土留めの崩壊に至る |
防止対策 ・ 土留め壁の根入れ長さと剛性を増す ・ 掘削底面下を地盤改良 ・ 背面の土をすき取るなど、背面の重量を軽減させる。 |
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ボイリング | 掘削底面が透水性の高い砂質土で地下水位の高い場合 | 特徴・現象 掘削によって、生じた地下水位面の水位差によって、上向きの浸透流が発生し、お湯が沸き立つように砂が掘削面に流出してくる現象。 |
防止対策 ・ 土留め壁の根入れを長くする ・ 地下水位を低下させる ・ 掘削底面下を地盤改良 |
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盤ぶくれ | 掘削底面が難透水層で、その下に透水性の高い砂質土で地下水位の高い場合 | 特徴・現象 発生する条件は「ボイリング」と同様だが、難透水層があるため、上向きの水圧が作用し、掘削底面が浮き上がる現象。最終的には、ボイリング状の破壊に至る。 |
防止対策 ・ 土留め壁の根入れを長くする ・ 地下水位を低下させる ・ 掘削底面下を地盤改良 ・ 押え盛土などで押さえる |
◎暗記ポイント
「ボイリング」と「盤ぶくれ」の原因は、水と砂質土!掘削底面が難透水層があるので盤がもちあげられる方が「盤ぶくれ」。なので、防止するには水を減らすか、水を通さないように矢板の根入れを長くする。
「ヒービング」は、極端に言うと「やわらかいプリン」のような地盤で発生します。プリンをスプーンですくうと、その空洞にプリンが崩れてくるようなイメージです。軟らかい地盤(粘性土地盤)に土留め板を差し込みその内側を掘削すると、背面の土圧で内側に土留めが押し倒され破壊します。「ヒービング」を防止するにはしっかり土留め板を差し込むか、押し倒されないように背面の重量を取り除く必要がある。
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
ヒービングに対する安定性が不足すると予測されたので、背面地盤に盛土をした。 |
→解答×…ヒービングの原因は背面の土圧。なので、盛土をするとヒービングを助長することになる。
防止するためには、背面を取り除くなど土圧を減らさなければならない。
ボイリングに対する安定性が不足すると予測されたので、背面側の地下水位を低下させた。 |
→解答〇…ボイリングと盤ぶくれ対策は水位を下げるのが定番!
盤ぶくれに対する安定性が不足すると予測されたので、切ばり、腹起し部材の剛性を高めた。 |
→解答×…盤ぶくれ対策は「土留め壁の根入れを難透水層まで伸ばす」「地下水位を低下させる「地盤改良して、難透水層を押える」のいずれか。切ばり、腹起し部材の剛性を高めても盤ぶくれ対策とはならない。