コンクリート技士・コンクリート主任技士 試験対策4

コンクリートは7割が骨材

人は見かけによらないけれど、石は見かけがあてになる。角を立てると転がりにくく、穴が多いと力も弱い。どちらの世界も、似て非なるものとは言い難い。

人の世の中、成績良くても悪いヤツはたくさんいる反面、石の世界は、成績さえ良ければ見た目よりも重視される。どうやら石も人も、見た目では中身・性格は判断できないようだ。

今回はコンクリートの7割を占める素材、砂利・砂(骨材)の話。

密度・吸水率・含水率

人はそれぞれ体重が異なるように、石もそれぞれ重さが違う。単純に比較ができないので、同じ容積(1ℓなど)あたりの重さで比べることになる。これが「密度」という考え方。骨材の場合、一般にg/㎤で表す。

要は、同じサイズの石だとしても、重さが軽ければ中に隙間があるということ。隙間があれば、水に浸した時にもどんどん水を吸う。これを「吸水率」といい、密度とは相関関係にある。密度が大きいと吸水率は小さく、密度が小さいと吸水率は大きい。

コンクリート強度は水の量に大きく影響されることは、今までもさんざん伝えてきた。だからこそ、この石の中に潜んでいる水の量もそう簡単に無視はできない。それを知るための指標が「含水率」だ。含水状態を表す以下の図は大事なので、絶対に覚えてほしい。

骨材の含水状態 概念図

配合設計を行う時は、誤差の少ない「表乾状態」で行うのが普通だ。しかし、実際の出荷をする際には、必ず濡れているか乾いているかのどちらかだ。生コンプラントはこの骨材の含水率を毎日調整しながらコンクリートを練っている。

上の図を頭に浮かべると、「吸水率・含水率・表面水率」といった計算方法を思い出す時、役に立つ。計算方法はここでは触れないが、各々必ずマスターしてほしい。


単位容積質量・実積率

同じサイズの田んぼでも、収穫される米の量はそれぞれ異なる。これらを比較するために、「単位面積あたりの収穫量」という指標が用いられている。数値が大きいほど、収穫も多いということ。

同様に、1ℓの容器にどのくらいの砂利が入るかを示す指標が、「単位容積質量」だ。

容器の中に砂利をぴったりと敷き詰めることは容易ではない。しかし、角が丸まっていたり、大きな粒が程よく混ざっていると、よく詰めることができる。これが単位容積質量が大きくなるという意味。形の悪い石が多いと、反対に単位容積質量は小さくなる。これらを表すのが「実積率」という数値。どのくらい隙間なく詰まっているかの指標となる。

ここで、砂利と砂の区分を紹介しておこう。5㎜以上の骨材のことを「粗骨材」、いわゆる砂利である。また、5㎜以下の骨材のことを「細骨材」と呼び、これらが砂といわれる。

さて、なぜそんな指標が必要なのか?

はじめに触れたように、コンクリートの7割は骨材である。残り3割を占めるのはモルタル(砂+セメント)であり、粗骨材に比べ単価も高い。粗骨材はなるべく隙間なく詰めて、セメントなど単価の高い材料を減らすことが、経済設計の基本である。単位容積質量が大きいということは、骨材の密度が同じであれば、実積率も高く、粒形もよいという意味となる。

粒形判定実積率

「実積率」の他にもうひとつ、「粒形判定実積率」というものがある。これらは測定方法も異なるので、違いをしっかりと認識していてほしい。では、何が違うのか?

簡単にいうと「実積率」は、大まかに粒形の良否を判定するのが目的。「粒形判定実積率」は、測定に際しての条件が決められていて、実際の粒形を判定するのに活用される。

「実積率」=「粒形判定実積率」ではないことを、頭に入れておいてほしい。

具体的にどう違うのかを説明しよう。「粒形判定実積率」の測定の際には、ふるった骨材試料を使用する。20~10㎜の骨材を24kg、10~5㎟の骨材を16㎏と、質量も固定した試料が用いられる。これにより、5㎜以下の細骨材が取り除かれ、より実際の粒形を判定できるようになる。JIS A 5005では下限値も決められていて、砕石 56%以上、砕砂 54%以上。この数値を下回ると、スランプ確保の水量が必要以上に多くなったりして、性状の確保が難しくなる。


粒度・粗粒率

「粒ぞろい」というと、「優れたものの集まり」「粒がそろっていること」などの意味があるが、骨材に関していえば、「粒ぞろい」は良いことばかりではない。

骨材の「粒度」を表す「粗粒率」という指標がある。「粒度」とは、大小粒の混合状態を指し、すべての骨材で異なることは想像に難くないだろう。それらを把握する指標として「粗粒率」を測定し、骨材粒度の粗さを示す目安としている。読んで字の如く、この数値が大きくなればなる程、大きい粒・石が多いということ。

計算方法を紹介しよう。

所定の10種のふるいを用いて、その各々にとどまる試料の質量の割合を求める。それらすべてを足して、100で割った値が「粗粒率」であり、FMと呼ぶ。

所定の10種のふるいは以下。

80㎜、40㎜、20㎜、10㎜、5㎜、2.5㎜、1.2㎜、0.6㎜、0.3㎜、0.15㎜

FMのだいたいの値を覚えておくと、実務で測定をした際にも目安となる。

細骨材で2.3~3.2 程度、粗骨材で6.0~8.0程度である。この数値の意味は、「ふるいの細かいほうから数えて何番目付近の粒形が多いか」を表している。

FM=3.02であれば、下から数えて3番目のふるい(0.6㎜)付近の粒形が多いということ。

粗粒率・最大寸法の求め方


粗骨材の最大寸法

骨材をふるった結果、FMが求められる。この結果からもうひとつ、重要な指標を得ることができる。それが「骨材の最大寸法」だ。骨材の90%が通るふるいのうち、最小なものが適用される。一般的に、20㎜か25㎜というのが多い。20㎜のふるいに留まった割合が10%以上だと、その「粗骨材の最大寸法」は25㎜となる。

最後に、この粗骨材の最大寸法が、実際にコンクリートの何に影響を及ぼすのかを考えてみよう。先にメリットを挙げておく。

  • 単位水量を減らせる
  • 単位セメント量を減らせる
  • 水和熱を抑えられる
  • 乾燥収縮を抑えられる

これらは全てつながっていることに気付いてほしい。

詳しく説明すると、骨材の最大寸法が大きいと、実積率が高くなる。実積率が高くなると、セメントペースト量が少なくなる。セメントペースト量が少なくなると、単位水量を減らせる。水量が減るため、単位セメント量も減らせる。セメント量が減るので、水和熱も抑えられる。水量が減るから、乾燥収縮も抑えられる。

ここまでを一連の流れで把握すると理解しやすい。

さて、ものごとメリットがあれば、デメリットも存在する。以下にデメリットを挙げる。

  • 材料分離が起りやすい
  • スランプを小さくしなければならない
  • 鉄筋の隙間に入りにくい
  • 空気が入りにくい

さて、その理由をここでは挙げない。メリットの時と同じように、何故そうなるかを、ぜひ推察してほしい。今まで得た知識を総動員すれば、自ずと答えにたどり着くはずだ。

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