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五洋建設ひと筋40年、大ベテラン技術者が語る「マリコン」の魅力と厳しさ

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四国の犬
公開日:2019.02.04 / 最終更新日:2022.08.16
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鮎川幹男 五洋建設株式会社九州支店土木部工事部長

鮎川幹男 五洋建設株式会社九州支店土木部工事部長

目次
  1. 五洋建設と言えばマリコン
  2. 五洋建設に40年前に入社、7割が海洋土木
  3. 五洋建設に入社後、最初の現場は防波堤工事
  4. 「自分の上に誰もいない」工事責任者の刺激
  5. 海洋土木は「風」に注意、作業船を本土に避難させる
  6. 海洋土木は雨だと作業中止
  7. 五洋建設の若手技術者の人員配置と年齢バランス
  8. 若手技術者にわかってほしい「モノづくりの楽しさ」

五洋建設と言えばマリコン

五洋建設株式会社(本社:東京都文京区)は、1896年の創業以来、「海洋土木(マリコン)」を強みとして、国内外の港湾工事などを手がけてきた。

五洋建設は近年、陸の土木、建築なども手がけているが、「五洋建設と言えばマリコン」という会社のイメージはいまだに根強い。

太平洋側と日本海側での工事の違いや、五洋建設における若手技術者の人員配置、海洋土木の魅力など、マリコン歴40年のベテランである五洋建設の鮎川幹男さんに話を聞いてきた。

五洋建設に40年前に入社、7割が海洋土木

――今はどのようなお仕事を?

鮎川幹男 九州北部地域にある10ほどの現場をまわって、チェックやアドバイスなどを行なっています。

担当する現場は7割ほどが港湾などで、やはり海の現場が多いですね。今は、現場でモノをつくる仕事に直接携わることはありません。

統括する現場に立つ鮎川さん。五洋建設では現在、国土交通省発注の福岡都市高速6号線の橋脚工事を進めている。

統括する現場に立つ鮎川さん。五洋建設では現在、国土交通省発注の福岡都市高速6号線の橋脚工事を進めている。

――五洋建設に入社した理由は?

鮎川 鹿児島県の工業高校で土木を学んでいまして、「なんとなく海洋土木に興味があった」のが入社理由でした。

「海洋土木は、陸の土木と何が違うんだろう」という好奇心のようなものでしたね。今から40年ほど前のことです。

五洋建設に入社後、最初の現場は防波堤工事

――最初の配属は?

鮎川 当時あった南九州支店です。当時は、勤務地の限定も希望もなかったのですが、たまたま出身地で働くことになりました。

まず、国発注の志布志港の防波堤工事の現場に入りました。トータルで4年ほどいましたね。仕事は、人から教わることもあったのですが、実際には、自分でやって覚えていく感じでした。

――初めての現場はどうでしたか?

鮎川 仕事を覚えることで、無我夢中でしたね。2年目ぐらいに仕事がわかるようになってきて、わかってくると、面白くなってきました。

なにもわからないまま、ただ言われたことだけをやっていると、仕事の面白さはわからないものです。

――その後も海洋土木の現場が多かったのですか?

鮎川 多かったですね。志布志港の現場に入っている間にも、仕事が切れたときなどには、九州のほかの現場や大阪の現場などに応援に行きました。

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「自分の上に誰もいない」工事責任者の刺激

――最初に工事責任者になった現場は?

鮎川 鹿児島の海洋土木で、民間の現場でした。30歳台後半ぐらいのときでした。それほど大きな現場ではありませんでしたが、「自分に工事責任者ができるのか」を試されたと感じた現場でしたね。

「なんとしてもやり遂げよう」という気構えで臨んだことを覚えています。

――工事責任者になると、ものの考え方、見方そのものが違ってくる?

鮎川 全然違います。「自分の上に誰かいる」場合は、現場仕事を主体に考えていれば良いのですが、「自分の上には誰もいない」となると、そうはいきません。全部自分の責任になるので、あらゆることに目を配る必要があります。

――工事責任者は相当なプレッシャーがかかる立場だというわけですね。

鮎川 そうですね。ただ、今振り返ると、プレッシャーがあった方が刺激になって、「自分にとって良かったな」という感覚があります。

「よし、やってやろう」という感じで。

海洋土木は「風」に注意、作業船を本土に避難させる

――これまでの現場で印象に残っている現場は?

鮎川 海の現場では、作業はすべて海中で、できあがっても構造物が見えないまま終わる現場もあります。そういう現場は印象が薄いですね。

やはり、海上からできあがった構造物が見えて、「自分がやりあげた」と感じられる現場が実感として残っていますね。

どこの現場と言うより、自分で構造物をつくる、それが見えるのが、大きな喜びとして、記憶に強く残っていますね。

――海洋土木ならでは魅力は?

鮎川 海洋土木の場合、気象海象に大きく左右されます。大きな作業船などを使うので、一つ判断を間違えれば、大きな損害につながります。大きな損害が常に見え隠れする中で、作業をしなければなりません。

通常の場合、作業船をすぐに呼んだり、帰したりできませんので、気象海象状況を読みながら、段取り良く工程を組んで作業を進めるかは、陸の土木に比べてシビアな面があると思っています。

そういう難しい判断をひとつひとつ積み重ねて、予定通りものができあがったときには、非常に大きな満足感を得られます。私にとっての海洋土木の魅力は、そういうところですね。

――台風も来ますしね。

鮎川 そうですね。過去に離島の現場をやりましたが、台風が来るというときに、作業船を避難させる場所がない場合がありました。そうなると、遠くの本土まで船を帰さなければなりませんでした。台風が去って、船を呼び戻して、作業再開するのに1ヶ月かかりました。

海と言っても、太平洋側と日本海側ではまるで事情が違ってきます。私はどちらの現場も経験しましたが、太平洋側は台風が良く通りますが、日本海側は季節風の影響が出ます。季節風に伴う冬季波浪は台風並みで、怖いです。沖縄あたりは、日本海に近い季節風が吹きます。

海の事情に合わせて、工程を組んだり、いろいろな対策をする必要があるわけです。

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海洋土木は雨だと作業中止

――陸の現場で戸惑ったことは?

鮎川 海の現場で一番気をつけることは「風」です。地域、季節によって吹く風の方角が異なるので、地元の人に風の吹き方、シケ具合を聞いて、現場に影響が出ないよう対策を打ちます。

一方、陸の現場では「風」ではなく、「雨」に気をつけなければならない。これが海と陸の違いだと思っています。

海の現場では、雨に対して、とくに注意することはありません。たまたま陸の現場が造成工事だったこともありますが、とにかく雨には苦労しました。

例えば、盛土するにも、ただ盛るだけではなく、ある程度シメておかなければなりません。雨で流されるからです。

また、雨が降ったら、海の場合作業中止ですが、陸の場合はずっと見回らなければなりません。その辺の感覚が違いましたね。

五洋建設の若手技術者の人員配置と年齢バランス

――若手技術者の育成についてどうお考えですか。

鮎川 各現場には、まず経験を積んだ技術者を配置します。あとは年代別で見て、あまり偏りがないように、ベテラン、中堅、若手のバランスを考えながら、人員を配置するようにしています。

若手技術者の育成は、会社全体として行う研修もありますが、現場でのOJTが基本です。現場では、なるべく年齢の近い先輩をつけるようにしています。ベストは「歳の差2〜3歳」で、「歳の差5歳」が上限です。

あまりに歳の離れた先輩だと、若手がついていけないところが出てくるからです。ベテランが頭ごなしに、「わかって当然」のような感じで教えても、若手には伝わらないわけです。歳が離れると、話題も違ってくるので雑談もできません。

直接コミュニケーションするのは、年の近い先輩でないとダメですね。コミュニケーションをとるには、仕事と全然関係ない話の方がむしろ良いですので。そういったところから、お互い打ち解けていくものなのでね。「若手が話をしやすい環境をつくること」。それが私の仕事だと考えています。

若手にも、「内に秘めるタイプ」とか「オープンにするタイプ」とか、いろいろなタイプがいます。それを見極めて、悩みなどの話を聞いてやることが一番大事だと思っています。タイプの違いを考えないで、一方的、一律的に接すると、失敗します。

――女性技術者はいますか。

鮎川 九州北部の現場で言えば、5名います。女性技術者に対しては、とくに女性を意識して接することはありませんが、自然と言葉が優しくなりますね(笑)。

現場に女性がいると、全体の雰囲気も違ってきます。やはり明るくなりますね(笑)。会社としては、今後も女性技術者を積極的に採用していく考えです。

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若手技術者にわかってほしい「モノづくりの楽しさ」

――土木技術者に必要なスキルは?

鮎川 やはり「経験」でしょうね。知識とはまた別のものがあると思っています。実際に経験してみないとわからない、「職人ワザ」のようなものが。私自身、今でも職人さんにはいっぱい教えてもらっています。

知識は必要ですが、それだけでは見えてこないものがあるんです。経験をするということは、成功もするし、失敗もするこということです。

別の言い方をすれば、「応用力」とも言えると思います。何かあっても、すぐアタマを切り替えられる能力ですね。

――若者に向けて一言。

鮎川 海洋土木に限らず、土木の魅力は、「モノづくりの楽しさ」です。若者にはそれを早く知ってもらいたいという思いがあります。

私自身、ものをつくるのが好きで、土木の世界に入りました。自分は今、現場でなにをつくっているのか、つくった後、そのモノを誰が使うのかということを考えながら、仕事をしてきました。

若者には「モノづくりの楽しさ」をとにかくわかってほしい。それをわかってもらうためにどうするかが、私たちのこれからの仕事だと考えているところです。

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