建設業の株価は全産業平均より46%も価値が低い
2月8日から鹿島建設、大成建設など大手ゼネコンの4~12月期の決算発表が始まった。大成建設の9ヶ月間の経常利益は、過去最高益だった前年度12ヶ月分を上回っている。鹿島建設も対前年の増益率は61%と業績はすこぶる好調だ。
建設業界は恐らく、今期の通期業績の上方修正期待が最も大きい産業の一つであろう。しかしながら、建設株は伝統的に株価評価は恒常的に低い。たとえば、建設株の1月末のPER(株価収益率)平均は、33業種の中で金融を除いて最下位である(金融はPERでは評価しないので、全産業中で最も株価評価が低いのが建設業なのである)。
金融を除く全産業平均がPER20.8倍であるところ、下表のとおり、建設業は11.3倍、つまり日本の全産業平均より46%も価値が低いと評価されているのだ。
◎業種別PER平均のワースト順位(金融を除く)
建設業のPER平均が低いということは裏を返せば、建設業が全産業平均並みに評価されたら、株価は46%上昇することを意味する。そんなことが本当に起きたら、協力会社持ち株会に参加している下請け企業の方々もウハウハだろう。
というか、協力会社持ち株会があること自体、私からは奇妙にみえる。大成建設は、従業員持ち株会保有株数よりも、協力会社持ち株会保有数の方が多いのである。
大幅増益でもゼネコンの株価が下がる理由
鹿島建設の場合は、4~12月決算の進捗率(4~3月の通期経常利益予想に対する4~12月期実績の割合)は87%に達している。第4四半期の利益が一番大きくなる傾向が強いので、業績上方修正の可能性はきわめて高いのである。にもかかわらず、鹿島建設は通期予想を据え置いた。第3四半期では予想を修正しない傾向はあるのだが、証券取引所は上場企業に対して、状況の変化が判明次第、上方修正すべきと指導しているはずである。
ではなぜ、このタイミングで上方修正しないのだろうか?
おそらく儲けすぎという国民からのバッシングや、週刊文春など週刊誌から注目されるのを避けているからであろう、との見方が投資家の考えだ。企業としての気持ちはよくわかる。しかし投資家から見たらどうだろう?株価が上がるようなアクションを一切取らずにいることに不満が出るのは仕方がない。
それゆえ、2月8日の正午の決算発表後から株が売られ、9日もさらに株価が売られて下落した。株主としては、業績上方修正や増配を期待するものだ。「もっとサービスせんかい!」という市場の声に、どれだけ応えられるかがゼネコンの株価を左右するだろう。
◎鹿島建設の株価の推移(2017年2月)
・・・以上は投資家としての目線ですが、これから建設業がますます外部に開かれた存在となっていくため、施工管理技士の皆さんにも一つの外部からの視点としてご参考いただければ幸いです。
株主がいて会社が成りたっていることを会社は忘れている。今株主が犠牲になつていることを重く受けて止めて欲しい。せめて東証と足並みを揃える位会社自身も対策を取って欲しい。建設株の株主は、今地獄の中にいるおもいだ。