中央工学校の学生に集まるスーパーゼネコンからの期待
中央工学校は、学生が卒業すると測量士や測量士補の資格が付与され、2級土木施工管理技士(学科試験)でも80%と高い合格率を誇っています。来年度から同試験の2回化が決定されたことを受けて100%合格率を目指しています。「どこの現場でも通用する学生を送り出す」ことを使命とする中央工学校には、スーパーゼネコンなどからも厚い期待と視線が注がれています。
今回は中央工学校の教務部測量系の土田俊行学科長に話を聞きました。
2級土木施工管理技士(学科試験)は80%と高い合格率
――日本全体を見回した中で、中央工学校は、建設系の専門学校では優秀な学生が集まり、ゼネコンからの人材採用の人気も高い学校ですが、最近の学生さんの動向について教えてください。
土田 土木系学科は10年ほど前に学生数も底でしたが一時期、停滞気味であった公共事業が再度、伸びて参りました。東日本大震災及び東京オリンピック・パラリンピックも正式に決まり、建設業にも明るさが見えてきましたので、学生数は大幅に伸び、現在は2倍になりました。学生が増えた理由は、公共事業増加を受けて親が建設業を経営していたお子さんが、自分が跡取りになって頑張ろうという気概が高まったことが要因ではないかと考えています。
本校は、卒業しますと、測量士と測量士補の資格が付与され、さらに2級土木施工管理技士(学科試験)の合格率は全国平均では60%ですが、本校の合格率は80%です。来年度から、施工管理技士試験の年2回化が決定しましたので、本校としては、2級土木施工管理技士(学科試験)の合格率100%を目指します。土木系は高校卒業して入学する学生、そして他の2割は、大学卒業後もしくは会社につとめてから入学される学生で占めています。
――学生さんの年齢層は?
土田 高校を卒業して入学される方が大多数を占めています。他には、高校や大学を卒業しても派遣の仕事しかなかったということで、中には今年卒業しますが33歳の方もいます。やはり、建設系の資格に強いと言うことが魅力で新たに正社員を目指したいという意欲を持たれている方です。例外的には、会社員としては卒業し、これからは自己研鑽の道を歩みたいということで、本校の夜間ですが72歳という方もおり、成績も大変優秀です。その方は本校建築系の学科を卒業して、測量科に入学し直した方です。
土木系学科は、土木をまんべんなく学びますが、卒業する際の卒業制作としては、道路が8割を占め、続いて下水道、橋梁を選択します。
――測量科の学生さんはいかがですか?
土田 高校卒業後から入学する方は1/3、大学卒業後は1/3、測量会社に勤務しながらの方は1/3です。中には異業種から就職される方もおり、たとえば資格を取得して測量会社に勤務したいという意向がある方や、測量会社に勤務しながら本校に通う方は、測量士の資格が欲しいと言う方もおります。
スーパーゼネコンや地方自治体からも求人が来る中央工学校
――就職先もスーパーゼネコンや地方自治体からもお声がかかっていますね。
土田 従来は中小のゼネコン、工務店が多かったのですが、最近はやや様変わりしました。本校は企業からの求人票をオープンにし、それを学生に見てもらいますが、本校から斡旋することはありません。あくまで学生及びその保護者の意見を尊重します。
最近はスーパーゼネコンや地方公共団体からも求人が来るようになりました。昔は、スーパーゼネコンですと「うちはこの大学レベルの院卒しか採用しません」という話もありましたが、昨今の人手不足に加えて、本校の学生は非常に評判が良く、現場力も高いことから「是非、うちに来て欲しい」という声も高まりました。本校は地方からも学生が入学しますので、スーパーゼネコンに入社し、1年間ほど研修を受けた後、各支店がありますから、地元の支店や営業所で働いている卒業生もおります。ある市役所からも、求人票が来て「うちの役所の試験も受けて欲しいです」という求人もあります。

中央工学校 教務部測量系 土田俊行学科長
土田 就職の時は、入社したい会社に行くと本校のOBやOGもいますから、ざっくばらんな話をして、そこで仲良くなり、「こういう会社だったらいろいろ親切に教えてもらえるから入社したい」ということでスムーズに入社が決まるケースがあります。
高校から本校に入学を進めるガイダンスを行なっており、本校は入学した暁には、こうしたアフターケアもあり、資格も付与されますと言うことアピールし、就職先もこのような実績がありますと説明もしますが、最終的には保護者の同意がないと難しくなっています。ですから保護者の方がお休みの土日に保護者向けのガイダンスも行なっています。
実は就職も同じでいくら本人が入社に同意しても保護者の方の同意がないと入社しない場合もあります。そこで建設会社はもっとリクルート関係をはじめとする広報・宣伝を強化された方がいいでしょう。
学科だけではなく、現場で通用する実習・実技にも注力
――中央工学校は、単に資格取得する学校ではなく、実習・実技にも力を注いでいることからゼネコンから即戦力が揃っている学生が多いという視線が注がれています。
土田 そうですね。コンクリート・アスファルト実験関係ですと王子校舎で行なっています。また、足場やボーリング調査に関しては、全国仮設安全事業協同組合や一般社団法人全国地質調査業協会連合会の方々のご協力を得て、足場と地質のプロの方を講師として招き、軽井沢研修所で指導をいただいており、建設足場実習も最新の「手すり先行工法による二段手すりと幅木」の組み立て・解体の実演も行なっています。
本校は、文部科学大臣から、「職業実践専門課程」としての認定を受け、企業等と密接に連携して、最新の実務の知識・技術・技能を身につけられる実践的な職業教育に取り組んでいます。現場が欲しがる学生を育成することが本校のつとめであると考えています。学生時代は社会人と比べると短い期間ですが、そこで見たこと感じたことを理解し、建設業界で活かして欲しいと願っています。
最近、建設業は土日を休めないということも「いい意味」で理解してくれます。土木・建築の仕事の達成感、充実感それは他の業者では中々得られないものがあります。建物や土木構造物が完成したときは、非常に楽しいものがあり、その世界に是非とも飛び込んで欲しい、本校はどこの現場でも通用できる学生の育成のため、未来に渡って貢献したいと考えております。
――生徒を送り出している建設業界に願うことを一言お願いします。
土田 やはり先ほども申し上げました通り、建設業界はPRがあまりうまくありません。情報公開を積極的に行ない、若者が希望の持てる未来ある明るい建設産業へと創生するためには、広報・宣伝は欠かせません。これは各企業・各団体が一生懸命になって行なうべきことです。そして建設業は他産業と比較して決して遜色があるとは思っておりません。後はその魅力を発信することです。
そしてもう1つ、今の若い方は”見て覚えろ”という指導の仕方ではついていくことは難しいと考えます。決して能力が劣っているわけではありません。丁寧な指導を行なうことによって、若い方の潜在能力は高いですから伸びていきますし、現場でもその力を発揮します。その意味で、今回、『施工の神様』という施工管理技士にターゲットを絞り、現場の魅力を発信しようという試みには敬意を表します。どうか頑張って、建設現場の魅力を発信して下さい。
――ありがとうございました。
■中央工学校のホームページはこちら → http://www.chuoko.ac.jp/
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