「会社を閉める」 突然の報告
これまで、私も新設での立ち上げや工場の竣工での立会など、始まりは何度か経験していましたし、他社に変更という話でお別れという経験は何度かしてきましたが、会社を閉めるとなると話は別です。まずは、話を聞かないとどのように作戦を立てればいいのかわからないので、もう少し詳しく聞いてみることにしました。
私 「どうして突然閉めるのですか?何かあったのですか??」
社長 「今まで直し直し使っていたメインの機械が、完全に動かなくなっちゃってね・・・」
私 「ああ、あの機械ですか??わかりました。今日は申し訳ないのですが予定が入っているため、翌日であれば時間が作れますので、その際に詳しいお話を聞かせてください」
翌日の朝一、私は社長に会いに行きました。
静まりかえったロビーを片付ける社長
いつもなら何台かの車がとまっているはずの駐車場には、今日は社長の車と私の車しかとまっていません。そして、ロビー前の自動ドアには「都合により〇月〇日に閉店いたしました。長い間、皆様には大変お世話になりました」という張り紙が。自動ドアが開くと、社長が1人でロビーを片付けていました。
社長 「いやーーーまいっちゃったよ!まさか壊れるとは思ってなくてさ!!」
昨日よりは若干元気な声でお話を続けてくれる社長。
社長 「最初は、機械が壊れても続けようかと思って商社に連絡したんだよ!!そうしたら、購入費用が1千万超えるって!!老後の趣味の延長でやっていたから、あと5年くらいは何とかもってくれればと思いながらやっていたんだけどな・・・。サラリーマンやってる息子も継がないって言うから、もう思い切って会社閉めることにしたんだわ」
昨日よりは若干元気になった社長ですが、それがかえって哀愁を感じてしまいました。それから色々なお話をしていただきました。ある日、突然親が亡くなった関係で急遽継ぐことになったお話から、今まで接してきたお客様との思い出話など1時間以上、色々なお話を聞かせていただきました。
社長 「長話してすまなかったね!というわけで、最後の最後まで面倒見てくれや!頼むよ!!」
私が最後までサポートさせていただくことになり、嬉しいやら寂しいやら・・・。