東日本大震災から6年が経過しようとしていますが、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染作業はまだ続いています。今も多くの施工管理技士が単身赴任で、福島県にやってきています。
特殊勤務手当が付くので稼げる、という側面もありますが、純粋に被災地復興に貢献したいという人も多いです。
一応、私もそうした技術者の一人ですが、単身赴任をするに当たり、最も重要な要素の1つとして挙げられるのが住環境ではないでしょうか。
一言で「宿舎」といっても、様々なタイプがあるので、いくつか除染現場の宿舎をご紹介します。
除染現場の宿舎その1 プレハブ集合宿舎
まずは最もポピュラーなプレハブの集合宿舎です。
広さは概ね四畳半程度がスタンダードです。TV・冷蔵庫・エアコン・ベッド(布団)が備え付けられ、洗面所・トイレ・お風呂、そして洗濯機は室外にて、共同利用という作りが多いです。
似た様なスペースでも、洋室・和室によって、だいぶ雰囲気が違ってきます。
お風呂や洗面所、洗濯室は大体同じような作りになっています。
集合宿舎ならではの施設かもしれませんが、麻雀ができる娯楽室もあります。除染現場で働く施工管理技士の皆さんが交流を深める場としても有効に利活用されています。
除染現場の宿舎その2 ビジネスホテルタイプの宿舎
続いてはビジネスホテルタイプの宿舎です。
外観は2階建てのハイツっぽい作りですが、フロントもあり、従業員の方々もスーツを着ています。本当のホテルっぽい対応をしてくださいます。休暇で帰省する際には、フロントにお願いすれば、タクシーの手配までしてもらえます。
部屋は本当にきれいです。
しかも週に1度、清掃が入り、シーツまで代えてもらえます。なので男の一人住まいでも、散らかる心配がありません。
バス、トイレは狭いですが、自室内にあるので共用風呂より人気があるようです。
食堂どころか、レストラン併設なんていう施設もあるので、そんな宿舎に入れた方は本当にラッキーですね。朝食は無料という所がほとんどです。
除染現場の宿舎その3 旅館・民宿タイプの宿舎
ホテルだと部屋数に限界があるので、最近は旅館・民宿タイプの部屋も増えています。
プレハブ集合宿舎との違いは、音漏れはともかく、断熱性能が大きく上回っている点です。福島県はけっこう寒いですから、木造とはいえ、プレハブ集合宿舎に比べると、かなり高待遇と言えるのではないでしょうか。
除染現場の宿舎その4 超絶待遇の宿舎
今や幻とも言われておりますが、なんとアルコール飲み放題なんていう超絶待遇の宿舎も存在します。
写真の奥には憧れの生ビールサーバーが置かれていますし、贈答品としていただいた数々のお酒が並んでいます。本当に色々な種類が置いてあります。
しかも、WOWOWも観ることができます。夕食時に皆さんでワイワイやれるので、一人で部屋にいるより良いかもしれませんね。
人によってはビジネスホテルタイプのほうが、一人の時間を確保できて良いかもしれませんが、入居後のサービスや、周りの方々との距離感の近さなど、旅館・民宿タイプの宿舎もかなり魅力的です。
除染現場の宿舎その5 シェアハウスの宿舎
シェアハウス宿舎は、個人的には可能なら回避したいと思ってしまう宿舎です。
オーソドックスなシェアハウス宿舎は、4LDKの一軒家に、4名が入居するという形式です。
一人ずつに個室が割り当てられますが、隣室に他人がいると思うと、私はちょっと敬遠してしまいます。
宿舎なんてどうせ寝るだけだしと割り切れる人であれば良いのでしょうが、私の場合ろくに寝られず、仕事にも影響が出てしまいそうです。
除染現場の宿舎その6 コンテナタイプの宿舎
最後は、私が一番嫌いなコンテナタイプの宿舎です。
ここにいると狭く、寒く、切なくなってきます。復興のためという強い意志にも、ヒビが入りそうになります。
コンテナタイプの宿舎に住んで、「さぁ、頑張ろう!」と思える人がいたら、素晴らしいと思います。
以上、私の知る限りでの宿舎の種類をご紹介しました。
数日の滞在ならまだしも、私たちのような単身赴任の長期滞在者にとって、住環境は非常に重要だと感じます。しかも多くの場合、自ら選ぶことができないので、運に左右されます。良い環境で高いモチベーションをもって復興支援に臨める技術者が増えることを期待しております。
震災6年目を迎えるとテレビなどで被災者にスポットが当たる機会も増えると思いますが、単身赴任で地道に復興を前に進めている施工管理技士や建設技術者にも、注目してほしいと思います。除染作業員が事件を起こしたときだけ報道されると、除染に従事しているだけで悪者扱いされるような気もします。