1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 コンクリート「養生・ひび割れ・鉄筋組立」
1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第8回目は、コンクリート「養生・ひび割れ・鉄筋組立」についての勉強ポイントをまとめます!
コンクリートの養生の出題傾向
コンクリート(養生・ひび割れ対策・鉄筋組立)の出題では、コンクリートの種類による養生期間の長短、養生温度、特殊なコンクリートの養生等の問題が出題されます。
下記の表は、コンクリートの湿潤養生が必要な期間で基準となる数値です。
日平均気温 | 混合セメントB種 | 普通ポルトラドセメント | 早強ポルトランドセメント |
15℃以上 | 7日 | 5日 | 3日 |
10℃以上 | 9日 | 7日 | 4日 |
5℃以上 | 12日 | 9日 | 5日 |
■「寒中コンクリートの養生」の勉強ポイント
日平均気温が4℃以下の寒中コンクリートにおいては、養生期間はおのずと長くなってくる。
特に水で飽和(水に浸かるような箇所)されているような、気象的条件の厳しい箇所はより、養生期間を長くとる必要がある。
■「暑中コンクリートの養生」の勉強ポイント
日平均気温が25℃以上の暑中コンクリートの場合は、直射日光や水の急激な蒸発を防ぐため、覆いなどを設ける。
コンクリート硬化後は散水やマットなどを用いて通常よりも湿潤養生に注意を払う必要がある。
膜養生などを行う場合もある。膜養生は、コンクリート表面の水光が消えた直後に行うとよい。※膜養生の塗膜材の散布のタイミングが数回出題されている!
試験問題としては、「コンクリート温度を下げるため、コンクリート表面に送風を行う」などの記載があると×である。養生とはコンクリートを保護することで、風雨・直射日光から保護するのも重要である。
■「マスコンクリートの養生」の勉強ポイント
マスコンクリートとは部材厚が大きいコンクリートで、発熱量も大きくコンクリートの内部温度の上昇と表面付近の温度差によってひび割れを生じる恐れが大きい。材料として発熱を抑えるようセメント量を減らす配合などを行うが、養生も非常に重要で、パイプクーリングなどを行いコンクリート内部の温度を下げる。
このとき、極端に低い温度で冷やすとその温度差でひび割れを助長することがあるため注意が必要である。また、型枠を外した時も、熱がこもった状態から外気温との温度差でひび割れが発生することがある。急に外気温によって冷やされないよう、断熱材で覆うなどの養生を行う。
コンクリートの品質(ひび割れ対策)・耐久性の出題傾向
ここではコンクリートの耐久性を下げる原因(劣化機構・ひび割れ)について出題されます。
劣化機構の中でもよく出題されるのが、中性化・塩害・凍害・アルカリ骨材反応(アルカリシリカ反応)になります。学科試験・実地試験共によく出題されます。今あげた現象の発生原因、対策(材料・混和剤・施工・養生など)がキーワードになります。
なかでも一番出題されるのが「コンクリートの中性化」!
コンクリートの中性化とは…
空気中の二酸化炭素がコンクリート内に侵入し、化学反応を起こし、徐々にコンクリートのアルカリ性が、低下する現象である。これはコンクリートの表面から徐々に発生し、鋼材の位置まで達すると鋼材腐食が生じやすくなる。
→つまり、無筋コンクリートでは構造物の性能は損なわれない!
中性化の進行は湿潤状態の方が遅く、屋内と屋外を比べると一般的に乾燥状態である屋内の方が中性化の進行は早くなる(屋外は雨水で湿潤状態になることもある)。
混合セメントと普通ポルトランドセメントを比べると、混合セメントは混和材を使用することでセメント量を抑制し長期強度を増すが、セメント=アルカリ性と考えると、セメント量の少ない混合セメントの方が中性化の進行は早くなる。
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
単位セメント量が同一のコンクリートでは、単位水量の多いコンクリートのほうが中性化速度は大きくなる。 |
→解答は〇。湿潤状態の方が中性化速度は大きくなるので、水が多い方が・・・と、考えてしまいがちですが、単位水量の多いコンクリートと単位水量の少ないコンクリートのどちらが密実(よくつまっている)と考えると、もちろん単位水量のすくない方ですよね。コンクリートの硬化に伴い水分は蒸発します。水が多ければ多いほど、乾燥収縮ひび割れが大きくなり、密度の詰まっていないコンクリートとなります。そこから二酸化炭素が入り、中性化速度を進めます!中性化を防ぐためには、まず密実なコンクリートを打設するということが基本になります。
■コンクリートの中性化の進行の判定
コンクリートの中性化は、フェノールフタレイン溶液(無色透明)を噴霧して判定します。
- 赤色発色 → アルカリ性
- 発色なし → 中性化
※その他、劣化機構はまた、実地対策で確認しましょう!
学科試験では配合のところでも出題された水セメント比・単位水量・単位セメント量などが理解できていると解答できる問題が多いです。
鉄筋の加工・組立て、継手の出題傾向
鉄筋の問題は「加工・組立て」と「継手」に関する問題のどちらかが出題されることが多い。
- ・鉄筋の加工は常温が原則。熱間圧延加工を行う場合は急冷を行ってはいけない。
- ・鉄筋の組立てには直径0.8mmの焼きなまし鉄線を使用し固定する。
- ・原則、溶接による固定は行わない。やむ終えず溶接する場合で、鉄筋を曲げ加工する場合は、溶接個所より鉄筋径の10倍以上離れた場所とする。
↓2017年度 1級土木施工管理技士試験の【合格講座】 総目次はこちら↓