工事内容が勝手に変更されていた
ある年の年次点検(設備を停電させて行う点検)で、PAS(電柱に取り付けてある電気を遮断する機器)の試験を行ったところ、不具合が見つかったため「不合格」としました。
そこで、PASの更新工事をお勧めし、更新工事の内容もお付けしてお渡ししました。
また、今回不具合が見つかったPASのほかにも、PASからキュービクル(6,600Vで受電した電気を100Vや200Vなど、使いやすい電圧に変圧する機器が入ってる箱)までのケーブルも古くなっていたので、更新しないと次回更新時までに事故に繋がる可能性が高いなと思い、ケーブルの更新工事の内容も合わせてお渡ししました。
しかし、工事を請け負った電気工事店は、PASの更新工事のみという内容に変更し、お客様にも「年次点検の結果を見ると絶縁抵抗値もまだまだ大丈夫ですよ!十分持ちますからPASの更新のみにしましょう」と、勝手に工事内容を変更してしまったのです。
そんな事実を知らされずに、当日工事現場に向かい、朝一の打ち合わせが始まりました。そこで初めて工事内容を知ることになります。
「そんな話は聞いてない!申し訳ないけど、この工事は中止させてくれ!」
そう発言したものの私の抵抗はむなしく、お客様も電力会社も全員揃っている中だったので、結局お客様に説得され、しぶしぶ工事の許可を出してしまいました。
事故はある日突然に
本来は、保安規程(受変電設備を設置して使用する許可を得るためのルールブックのようなもの)にも書かれているのですが、「主任技術者の指示に従わなければならない」というルールがあります。
それを無視したということになるので、”この先事故が起こったとしてもこちらには一切責任はありません”という内容を試験報告書に記載し、お客様からも了承印をもらいました。更新工事は、何事もなく無事に時間通り終了しました。
そんな出来事があってから、わずか8カ月後-。
お客様の設備が停電するという事故が起こりました。その日たまたま近くの現場にいた私が現地に駆け付け、原因を調べてみると、ケーブルの絶縁が失われた結果、起こった事故だと分かりました。
すぐに自社の工事部隊に連絡を取り、事故が起きてから6時間後には復旧工事を終えることができました。
電気ではなく建築設計を主に行っている者です。
お客様との信頼関係を築くのは難しいですよね。
私も多々失敗を重ねてきて今は次のことに気を付けています。
①相手に技術的・専門的なことが伝わるよう「できる限りかみ砕いて伝える」こと。
②こまめに連絡を取り、気になる点や問題点を聞く(御用聞きみたいなな感じ)。
③打ち合わせや話したことを紙に起こして確認してもらい、お互いの認識に齟齬がないか、を記録に残しておく(もちろんお客様にも写しをお渡しする)。
これでもお客様も私も100%ではないのでなにかしら失敗することはありますが日々の小さな積み重ねが信頼関係の獲得につながるのではないかと信じ、業務に取り組んでいます。
保安業務従事者です。
①は、確かにと思いました!つい業界人向けにお話ししてしまう事もあります。私たちの業界である電気工事店の人にもつい専門用語を使って??ってされることもあります。
誰が聞いてもわかるように心がけるようにしなくてはと改めて思いました。
そして③にかんして、恥ずかしながらしておりませんでした。
こちらも参考にさせていただきます。
この度はコメントいただきましてありがとうございました。
ビルメンテナンス(巡回点検)です。スポット工事のみの物件にて
古い所は、築50年物があります。ここ何年かは行っていないのですが
キュービクルも OCB 、のぞき窓のガラスも外れたまま・・・(改善されていました)
何度も、進言したのですが・・・
お客様には「点検、工事の大事さ」よりも「事故の大変さ」の方が伝わる?ようです。
当然ながら、こまめに連絡を取り、気になる点や問題点を聞く(御用聞きみたいなな感じ)。も大切です。
確かにそのとおりですね。
人間、一度痛い目に合わないと身に染みて感じないところは間違いなくありますから。
技術者は失敗を繰り返しているから事故の怖さを理解できますがお客様に理解してもらうためには、しつこいと思われるくらい進言し続けないといけないのかもしれませんね(あきらめない気持ち)。
永遠の課題の一つです。
保安業務従事者です。
築50年ですか・・・物自体が50年も持ってしまうのも問題がある気がします(大きな声では言えませんが)
「点検、工事の大事さ」よりも「事故の大変さ」の方が伝わる?
事故は、私たちのような者が「点検、工事等」をして安全を保っているから「事故がない」という事をもう少し、ほんのもう少しだけでも理解していただければなとは思います。
この度は、コメントいただきましてありがとうございました。
保安業務従事者です。
3番目の方
あきらめない気持ち。本当にその通りだと思います。
ただ、毎回言うと煙たがれる等、心折れそうになる事もあるんですよね
それでも、事故を起こさせないために、心を鬼にして言い続けるしかないかもしれません。
技術はどんどん進み、小型化、軽量化してきておりますが、事故を起こさせないための永遠の課題はお客様との信頼関係かもしれません
引き続き精進していこうと思いました。
この度は、コメントいただきましてありがとうございました。