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施工不良?完成後すぐに段差が生じた道路を徹底解剖

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road57
公開日:2021.03.02
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目次
  1. 昨年10月に供用開始したばかりの北側復旧道路で段差発生
  2. 対策をしても、不具合が生じるワケ
  3. 大事なのは安全?スピード?災害復旧時に求められること

昨年10月に供用開始したばかりの北側復旧道路で段差発生

熊本地震からの復興を目的に建設された国道57号北側復旧道路が、昨年10月に供用開始となった。ところが、11月頃から道路に段差ができ始めたのだ。場所は阿蘇市内、阿蘇西I.C-車帰I.Cの約1.3kmの間で、5㎝前後の段差がところどころで発生した。

当初から、10㎝程度の段差が発生する可能性があることを見込んでいた熊本河川国道事務所だったが、問い合わせが相次いだことから、段差が発生した部分に舗装を増し打ちする補修工事を、2月に実施した。

この地区はもともと軟弱地盤地帯であり、盛土工事や構造物工事に先立って、ペーパードレーンなどの対策工事が行われていた。すべて一緒に沈めば段差は発生しないのだが、なんらかの原因で不同沈下が発生したのだろう。

これは地盤動態を予測することの難しさを物語っている。全体にわたって対策を施していたのに、動態が同一になることはなく、一部では大きな段差ができて一部では小さな段差ができる、ということが起こりうる。それが地盤だ。

対策をしても、不具合が生じるワケ

前述したように、この一帯は軟弱地盤地帯である。設計段階から、盛土をすると圧密沈下することは予測されていただろう。だからこそ、盛土工事の前に地盤改良工事を実施していた。とはいえ、ある程度沈下することはやむを得ない。

盛土工事においても、工事中に沈下することを予測して、なんらかの対策を講じながら盛土をしていたと思われる。たとえば、場所によっては盛土を緩速施工して、ある程度沈下させながら仕上げていたところもあったのではないか。しかし、土の動きというのは予測することが難しい。

土質力学に関する数式はたくさんあるが、その多くが経験から導き出された式である。もちろん理論的な導入もあるのだが、土はすべて均一になっているわけではないため、水とかコンクリートのようにすべて理論的に導かれるわけではない。膨大な量の実験結果から、土圧理論や圧密理論が導かれている。あくまでも予測式なのだ。

大事なのは安全?スピード?災害復旧時に求められること

人によっては、「工事を急いでやったからだろ」という見方もあるだろう。それは否定できない。

なぜかというと、北側復旧道路は災害復旧事業の一環で行われたからだ。安全施工が前提のもと、スピード感をかなり意識して工事が進められていた。できるだけ早く、確実に、が災害復旧時では要求される。なので、工事を急いでやったという側面は十分にあり得る話だ。

だからといって、施工不良だったのか、あるいは設計に不備があったのか、というとそうとも言い切れない。もともと10㎝程度の段差が発生することを想定して、北側復旧道路は建設されている。発注者も、エリアが軟弱地盤地帯であることを理解している。

完全に沈下が収束してから工事を進めればいいのではないか、ということもあるが、それでは供用開始が遅れてしまい、地域の復興にも影響が出る。災害復旧事業だから、スピード感が要求されるのは当然でもあるのだ。

地盤の予測は難しい。対策を講じても、その後どんな動きをするのか、正確に予測することは非常に困難である。同じ工法で改良したとしても、今回のように不同沈下を起こすこともある。完成後どのような動きをすることが考えられるか、を頭に置いて事業を進めていくのがいいのかもしれない。

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土木施工管理技術者。最近は、発注者支援として工事監督支援や事業監理支援業務に従事。そろそろ引退を考えている。まだ40代だけど。
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