杭の打設管理を合理化できるシステムを開発
東洋建設は、杭打設の施工管理を合理化できるシステム「打設杭トータル施工管理システム Pile T」を開発し、現場に導入した。
同社のNETIS(新技術情報提供システム)登録技術である3D鋼管杭打設管理システムを発展させたもので、3台の自動追尾式トータルステーションによる計測情報をもとに、杭の打設状況を3Dモデルでモニター上のVR(仮想現実)空間に表示する。
これにより、オペレータは打設中の杭の位置や傾斜、高さを360度方向から俯瞰的に確認し、所定位置に杭を打設することが可能となる。
さらに、支持層での打止め確認時には、カメラ1台で微小変位を多点同時に高速測定可能なサンプリングモアレカメラを使用。杭の1打撃ごとの貫入量やリバウンド量をリアルタイムで計測し、現場で採用された支持力算定式に基づき推定支持力も自動算定する。
経験や技量に左右されず、効率的で高精度な杭打設が可能
これまで、計測員が貫入量やリバウンド量を杭頭に貼付けた用紙へと直接記録していたが、同システムではモニター上に貫入量・リバウンド量、および推定支持力をリアルタイムで表示し、その場で杭貫入量測定記録として帳票出力ができる。
また、VR空間上では、打設中の杭だけでなく周辺の構造物や地層分布の3Dモデルも表示するため、現況をリアルに見える化でき、オペレーターの経験や技量に左右されず、高い精度での効率的な杭打設が可能となる。
従来の方法では、杭の誘導に測量員3名、打止め確認に計測員1名の計4名の技術者が必要だったのに対し、同システムを使用すれば、管理者1名で杭の打設管理を行うことができる。
今後は、同システムのデジタル化された計測データをBIM/CIMと連携させるなど、建設DXを推進し、高品質な杭工事の実現と生産性の向上を目指す。