労務安全書類をパソコンで簡単に作成や提出、確認できるサービスが「グリーンサイト」です。作成だけでなく確認や提出もできるので、書類に関わる作業工数を大幅に削減することができます。
この記事では、利用方法や実際に登録することで得られるメリット、デメリットなど、グリーンサイトの概要をわかりやすく解説します。
グリーンサイトとはどんなサービス?
グリーンサイトとは、登録制のグリーンファイル(安全書類)作成サービスで、クラウド上で労務安全書類を簡単に作成・提出・確認を行うことができるサービスです。
パソコンとネット接続環境、ログイン情報さえあればどこでも利用できるので、異なる現場でもスムーズに書類作成ができます。使い方はとてもシンプルで、基本情報を入力し、資格などは候補から選択するだけで情報は自動反映されます。
また、作成後にそのまま元請会社にオンラインで提出できるため、書類を印刷する手間や送付する作業も要りません。
登録制のグリーンファイル(安全書類)作成サービス
グリーンサイトは、登録制のグリーンファイル作成サービスです。登録はオンラインで行い、手続きが完了するとIDとパスワードが発行されます。
なお、グリーンサイトを使って書類を作成する場合、提出先の会社がグリーンサイトに加入していないときはオンラインでの提出ができません。自社だけでなく協力会社も加入することで、グリーンサイトの利便性をより一層活用できる状態にしておきましょう。
元請業者と協力業者で料金体系が異なる
元請業者として加入する場合と協力業者として加入する場合では、グリーンサイトの利用料金の体系が異なります。
元請業者は「ID利用料」と「プロジェクト利用料」の2つの料金が必要となりますが、協力業者は「ID利用料」だけでグリーンサイトの利用が可能です。
ID利用料(元請業者、協力業者) | プロジェクト利用料(元請業者) |
・初期設定費用 11,000円
・ID利用料(1名) 年5,280円 ・ID利用料(10名) 年13,200円 |
・初期設定費用 330,000円
・プロジェクト数により、1プロジェクトあたりの月額料金がかかる |
※いずれも税込表記です。
グリーンファイルってどんな書類?
「グリーンファイル」とは安全書類のことで、現場の安全管理において必要な書類です。グリーン色のファイルに綴じられていることが多いため、グリーンファイルという呼び名がつきました。
グリーンファイルは現場の安全に関する書類すべてを指しますが、大きく「労務安全書類」と「施工体制台帳関係書類」の2つに分けることができます。それぞれについて見ていきましょう。
労務安全書類
労務安全書類とは、現場の安全を確認するうえで必要な書類を指します。フォームや分類などは事業所によって異なることがありますが、おおよそ以下の書類が一般的です。
- 現場作業員名簿(協力業者ごとの作業員名簿)
- 工事安全衛生計画書(工事を進めていくにあたっての心がけをまとめたもの)
- 新規入場時安全衛生教育実施報告書(現場入場前に安全衛生教育を受けていることを報告する書類)
- 安全ミーティング報告書(安全ミーティングの実施内容を報告する書類)
- 重機等の使用届(移動式のクレーンなどを持ち込む際に提出する書類)
- 現場入場車両使用届(作業に使用する車両を持ち込む際に提出する書類)
- 通勤用車両使用届(通勤に用いる車両を報告する書類)
- 有機溶剤、特定化学物質等持込使用届(塗料など有機溶剤を持ち込む際に提出する書類)
- 火気使用届(現場で溶接作業があるときなどに提出する書類)
施工体制台帳関係書類
施工体制台帳関係書類とは、工事を担当する会社の体制について明らかにする書類のことです。こちらも労務安全書類と同様、事業所によってフォームや分類が異なりますが、おおよそ以下の書類を指しています。
- 施工体制台帳作成通知書(元請業者が作成して協力業者に提出)
- 施工体制台帳(関連するすべての事業者の情報をまとめた書類)
- 施工体系図(協力業者の作業分担についての書類)
- 再下請負通知書(協力業者が下請け業者を利用する際に提出する書類)
- 外国人建設就労者等現場入場届(外国人労働者を雇用する際に提出する書類)
グリーンサイトを使う4つのメリット
工事を安全に進めていくために提出が義務付けられている書類は多く、書類作成や提出作業は施工管理者や事務を担当する社員にとって大きな負担になっています。
しかし、グリーンサイトを利用することで、安全書類作成の負担を大幅に軽減することが可能です。実際にグリーンサイトを利用することで得られるメリットを4つご紹介します。
1.帳票漏れ・記入漏れを回避できる
提出する書類が多いと、どうしても帳票漏れや記入漏れが生じやすくなります。しかし、グリーンサイトは記入されていない書類や項目があると提出できないシステムになっているため、帳票漏れ・記入漏れを防ぐことが可能です。
また、労務安全書類や施工体制台帳関係書類には、同一の内容を記入する項目も少なくありません。繰り返しが多いとつい面倒になりますが、グリーンサイトでは自動的に記入した内容を他の帳票にも反映できるため、最低限の手間で書類が完成します。
2.資格有効期限などをリマインド
現場作業員の健康診断や工事関連の免許、また、建設業許可などについて、すべての有効期限をグリーンサイトで一元管理が可能です。期限切れにならないように事前にリマインドする機能もあるため、常に有効期限内の免許・許可の下で作業を行うことができます。
また、作業員の資格や社会保険加入の状況を調べる機能もあり、作業内容に合わせて適正なスタッフ配置が行えるようになるでしょう。
3.作業員の入退場管理ができる
グリーンサイトで出力できるQRコードを用いて、作業員の入退場管理も行うことが可能です。入退場の履歴を生体認証などのデバイスを用いて登録することもできます。
作業員が多いときは、入退場の度に名簿と照らし合わせる作業だけでも手間がかかりますが、グリーンサイトのQRコードならば瞬時に照合できるので手間がかかりません。
4.記入から提出までがワンストップ
グリーンサイトでは、記入した書類を元請業者に即時送信できます。記入から提出までがワンストップなので、紙媒体で原本を郵送などの手間が不要です。
また、元請業者は協力業者が提出した書類を即時確認することができます。気になる点はその場で確認できるので、後になってから「安全管理が十分ではなかった」「作業員の配置に問題があった」といったトラブルを回避できるでしょう。
グリーンサイトを使う2つのデメリット
安全書類作成の負担を大幅に軽減できるグリーンサイトですが、デメリットがないわけではありません。気になる2つのポイントについて見ていきましょう。
1.有料サービスである
グリーンサイトは有料サービスです。元請業者だけでなく協力業者も利用料がかかるため、場合によっては登録がスムーズに進まないかもしれません。協力業者の同意を得られないときは、元請業者が利用料を負担することもあります。
2.パソコンが使えない環境下では利用不可
グリーンサイトはパソコンで利用します。そのため、現場にパソコンやネット環境がないときは、会社で書類を作成する必要がありグリーンサイトのメリットを活かせません。書類業務をどこでも行えるようにするためにも、現場用のノートパソコンなどを何台か用意したり、ネット環境を整えておく必要があります。
グリーンサイトを使うことで書類作成負担を軽減できる
この記事では、グリーンサイトの概要について解説しました。グリーンサイトを利用することで、煩雑な安全書類作成の負担を大きく軽減することが可能です。
「クラウド上のサービスってなんか難しそう」「使いこなせるか不安」という方も多いかもしれませんが、使い方はとてもシンプルです。基本情報を入力し、資格などは候補から選択するだけで情報は自動反映されるため、いちいち入力する手間も省けます。
また、各種免許や建設業許可の有効期限もチェックできるので、現場の安全管理の向上にも役立ちます。正確な労務安全書類と適切な安全管理のためにも、グリーンサイトの利用を検討してみてはいかがでしょうか。