ピカチュウマンションを設計してみた
さて、実際に設計し、過程を実況解説した動画の場面をもとに、「ピカチュウマンション」の設計方法をご紹介しましょう。
さて、このポケットモンスターのピカチュウ、どんな姿なのか?知らない人はほとんどいないとおもいますが、ネズミをモチーフとしたかわいらしいキャラクターです。この外見、フォルムをなるべく崩さないように、平面を計画していきます。
まずは、8m前後のスパンを目安に柱を配置していきます。短すぎても長すぎても、柱や梁が大きくなって経済設計ではなくなりますし、バランスが悪くなるので注意が必要です。また、柱が部屋の居住性を阻害するものになってはいけません。その点を意識して配置を計画していきました。
その中でトレードマークでもある、ピカチュウのギザギザのしっぽの部分、これはちょっとしたテクニックを使いました(後ほど説明します)。
今回は実際に暮らすアパートを想定して設計をしていますが、設計するうえで大切なのは不便にならないことです。不便というのは部屋のカタチが複雑で、家具がおけない、生活ができないような部屋になってしまうことです。
例えば、目とほっぺの部分は全体の中心(コア)にあたるので、エレベーター、階段を設けました。これはエレベータを使って各部屋への移動をしやすくするのもそうですが、同時に建築の法律で規制される避難規定、つまり火災が起きた時にいかに安全に、効率よく避難できる計画にするか、という点で非常に理にかなっています。
そして、なるべくきれいな平面を確保できるところで部屋、もしくは共用部分を設計し、残りは出窓やバルコニーにするように工夫しました。特にチャームポイントの長い耳、この部分は細い、不整形な形状であるため、実際に平面計画に落とし込むのが大変です。
こちらは出窓、もしくは細長く突き出たバルコニーにすることで、部屋としての利便性を意識して計画しました。このようになるべく使いやすい部屋に設計する、奇抜な箇所を極力抑える設計にしました。だって、元の形が奇抜というか独特ですから。
もう1つ計画で気を使ったのが、これまたピカチュウのチャームポイントでもあるギザギザのしっぽです。こちらは細長く、クランクしているので、部屋の計画がとてもしづらいです。
かなり苦しいですが、しっぽ自体は奥にいけば行くほど幅が広くなるので、奥の部分にリビングなどの主室を設けました。そして主室に至るまでに長い廊下を設け、廊下に接してトイレや新しい生活様式に即した「テレワークスペース」を計画しました。
正直なところ、使いやすい部屋とは言い難いです。ですが、可能な限り計画をしました。
もう1つ、おそらく多くの方が気になると思うのですが、このギザギザのしっぽ、どう考えても建物のように立体にするとバランスが悪いです。実際、今回はコンクリート造で柱と梁によって躯体を形成する「ラーメン構造」を採用していますが、しっぽの部分はどうしてもバランスが悪くなり、しっぽの付け根との接合箇所が非常に難しいものとなりました。
そこで、構造的に切り離す「エキスパンションジョイント」をしっぽと胴体の部分に設け、構造的に分離し、バランスの悪さを回避しました。私は構造計算や設計にはそこまで詳しくないので、この方法しか思いつきませんでした。どなたかよい方法を知っている人がいたら教えてください。
もちろん最後に、法令に問題がないかもチェックしてます。
このような過程で設計したのが、この「ピカチュウマンション」ですが、当然実現するには壁がたくさんあります。お金の問題、土地の問題もそうですが、なんせおおもとの任天堂(株式会社ポケモン)と権利を調整しないといけません。
しかし、「設計をやっているとこういうこともできるんだ」「建築士ってなんかわかんないけどスゲー」という感覚が伝わり、それがきっかけとなって、多くの人が建築に関心、興味を持ってもらえたら、私としても本懐です。
最後に、この建物を実際に建ててみたい土地と予算をお持ちの方!いつでもご連絡をお待ちしております!!
【ポケットモンスター】ピカチュウでマンションを設計してみた!!【建築設計RTA】【ゆっくり解説】 / YouTube(おっちー一級建築士事務所)
じゃあ、自身で設計するしかないやん?
この形で柱状に建ててもピカチュウには見えないと思うのですが、、、
楽しく読ませていただきました。ありがとうございます。