対価なしで、お客さんの相談に乗る営業スタイル
――橋梁設計室長になったのはいつですか?
後藤さん 10年ほど前です。
――橋梁設計室ではどのような業務を手掛けているのですか?
後藤さん 橋梁メーカーやコンサルから設計業務を受託するというのが、基本的な業務内容になります。ただ、私自身、「頼まれると断れない」ところがありまして(笑)、業務としては受注していないんだけども、お客さんから「こんなときどうしたら良い?」と相談されると、対価なしで相談に乗ったりしています。営業の一環としてやっているんですが、やりすぎてしまうこともあります(笑)
――「便利屋」みたいな?(笑)
後藤さん そうですね、私もそう思います(笑)。ただ、私としては「頼りにしてもらっている」と前向きに考えています。結果的に仕事の受注につながっていると思います。
通常の営業活動では、お客さんに対し、自分たちの「技術力」と「知識」をアピールしなければなりませんが、パンフレットを持って説明しても、あまり説得力が出ません。それよりは、普段から電話で相談を受けたりしながら、それに応えていくといったことを続けるほうがよほどアピールになると考えています。
「過去の実績」には説得力はない
――仕事をするうえで気をつけていることは?
後藤さん お客さんとのコミュニケーションをしっかりとることですね。お客さんとの意思疎通が滞ると、お互いの進みたい方向がズレてしまうので、やっぱり仕事はうまくいきません。コミュニケーションがしっかりとれなかった仕事は、だいたい痛い目をみています(笑)。
――臨機応変な対応力が必要ということでしょうか?
後藤さん そうですね。例えば、よく使う言葉で「過去に実績があるからコレは良い」という言い方がありますが、私は「過去の実績には説得力はない」と考えているんです。実績がある技術だとしても、現在進行系の事象であって、これから明らかになることもあるからです。やはり論理的、数値的に問題がないということを証明することこそが、われわれ技術者がとるべき説得力のある方法だと思っています。
現場を知らないと、「配慮に欠けた設計」になる
――部下への指導、育成で気をつけていることは?
後藤さん 橋梁設計室では最近若い社員が増えていて、20才代が4名います。彼らには、参考図通りにやるのではなく、常に「なぜ?」ということを考えながら、成果物を見なさいと言っています。お客さんに成果物を持っていくと、必ず「これはなぜ?」と聞かれます。そこで即答できるかどうかが、技術力を問われる部分だからです。
あとは、先ほども申し上げたコミュニケーション能力ですね。「雑談でも良いので、周りの社員と話をしなさい」と指導しています。社内でのコミュニケーションは、社外でのコミュニケーションにつながるからです。
――現場を知ることの大切さについてはどうですか?
後藤さん 机上で図面を描いていると、モノの大きさがわからなくなることがあるんです。「現場を知らない」というのは、ウチに限らず、設計技術者の弱みだと思います。とくに補修補強の設計では、補強構造物を箱桁内に入れる場合、マンホールの中を通らないといけないとか、現地で設置するためには、人が持てる重量でなければならないとか、「現場に配慮した設計」にする必要があります。
ただ、そういうことが、現場を知らない若い社員にはなかなかわかりません。「配慮に欠けた設計」をしてしまうということですね。それを防ぐために、若い社員にはなるべく現場に行く機会を増やしてあげたいと考えています。見学レベルではありますが。あとは、インターネット画像などを使った勉強会なども実施しているところです。
コンクリート下部工の設計に挑戦中
――日本エンジの強みはなんだと考えますか?
後藤さん やはり、設計、現場調査、点検などをカバーする守備範囲の広さですね。それと、新しいことに挑戦できる社風だと思っています。新しいことへの挑戦にはリスクを伴います。会社からは、当然一定のリスク管理は問われますが、基本的には「新しいことはドンドンやってみろ」と後押ししてくれます。人の能力を伸ばすうえで、恵まれた環境だと感じています。
――後藤室長自身が今、挑戦していることはありますか?
後藤さん 私は大学を卒業して以来、25年間ずっと「メタル屋」として橋梁設計の仕事をしてきましたが、今、コンクリート下部工の設計に挑戦しようとしています。私は現在47才なので、「残り何年あるんだ」という話もありますが、コンクリート下部工の設計も含めトータルの設計ができてこそ、橋梁技術者として一人前になれるということで、勉強しているところです。
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