“頼る力がある人間”を目指そう
実はこの所長、会社内では「サボり魔」とレッテルを貼られている所長だった。確かに傍から見ればサボっているように思われるだろう。しかし、実際は違う。
この所長は、「人を頼る力」が非常に素晴らしかったのだ。
私たち施工管理の業務の天敵は、抱え込むことである。できないと思われたらどうしよう、自分ができなければ現場が止まってしまうと思い、責任の重さを一人で抱え込んでしまう。
確かに、現場管理の基本的な知識はある程度必要だが、自分が全てできなければ現場が進まないということは全くない。施工においては職人さんが形にしてくれるし、自分でできないことは発注者や周りを頼ることで解決できることがほとんどだ。
人を頼れることは武器
さらに、この所長の凄さは「人の使い方」にあった。
例えば、書類業務で手が離せない時、施工管理はまず現場を終わらせてから、残業をして書類作成を行う人が多いだろう。
しかし、この所長の場合は、「○○さん、光波見れるんかいな?見れるんなら今日は悪いんじゃが、測量して現場進めといてくれぇや」と、職人さんに現場を頼んでいた。頼まれた職人さんも、「所長さんが言うならわかりましたよ」と笑顔で答えていた。
この所長は、相手に好かれるまで自分から話しかけ、信頼関係を構築するようにしており、現場でも強い信頼関係が確立されていた。
施工管理が下請けに測量を頼むというのは、一般的に考えれば腹立たしいと思う人もいるだろうが、それを普通にできる能力は、素晴らしいことだと私は思う。
病むくらいなら人を頼るほうが100倍マシ
私は思い切って、その所長に質問を投げかけてみた。
「なんでそんなに、いい意味で適当にできるんですか?周りの目とか気にならないんですか?」
すると、笑顔でこう答えてくれた。
「ワシは、会社で色々言われてるのも全部わかっている。でもそんなんでいちいち病んでたら、この仕事はできない。責任がある仕事だし適当にとは言えないが、頼れるところは頼って助けてもらえばいい。その代わり、自分も助けてもらえるような人間にならないとな。病んでしまって辞めるより100倍マシだと思うがなぁ。」
私はこの言葉にハッとした。
それ以降、所長の言うように、自分が全てを解決するのではなく、人に頼ることにしてみた。すると、そこから徐々に仕事がうまくいくようになり、次第に精神的にも楽になっていくのがわかった。
もし、同じような悩みを抱えている施工管理者がいるとしたら、現場であなたがやるべきことは「人に頼ること」なのかもしれない。
記事の通り病んで辞めたり休むくらいなら頼れるところは頼った方がいいと思いますよ
でも、頼られた方が負担になって過度な苦労させないような配慮も必要だと思います
契約上の問題もあるけど、監督、職長などある特定の人や業者さんに負担がかからないように気をつけるのと、自分自身も知識や判断力、工程管理などの施工能力の向上を意識して、元請も下請も皆がハッピーに竣功できるような気持ちが必要だと思います
九州の炭鉱会社で働いていた「スカブラ」と言われる人の存在だ。彼らは同僚たちと炭鉱に降りても、石炭を掘らずに「エッチな話やおもしろい話をしたり、みんなにお茶を出したりしている」。
会社がスカブラをリストラすると、炭鉱労働者たちの作業能率が下がり、人間関係もギスギスしていったという。