物件を探していると、よく目にするSRC造やRC造。物件情報には、建物の工法や構造は記載してありますが、いまいち違いがわからない方もいるでしょう。
SRC造やRC造の物件は、鉄骨や鉄筋コンクリートを使用するため、非常に頑丈です。この記事では、SRC造やその他構造の特徴や、メリット・デメリットを解説します。物件選びでお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
SRC造・RC造・S造・木造それぞれの特徴
SRC造・RC造・S造・木造とは、建築物の素材をもとに構造を表した用語です。
- SRC造(Steel Reinforced Concrete):鉄骨鉄筋コンクリート造
- RC造(Reinforced Concrete):鉄筋コンクリート造
- S造(Steel):鉄骨造
- W造(Wood):木造
つまり、アルファベットは建物を構造する材質や材料を表しており、それぞれにあった建築物は異なります。では、各構造の特徴を見てみましょう。
SRC造は鉄骨鉄筋コンクリート造
SRC造は鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせたもので、H形鋼など強度の高い鉄骨の周りに、鉄筋を組んでコンクリートを施工します。SRC造とRC造は似ている構造ですが、鉄骨を支柱としている部分が異なる点です。
RC造より細い柱や梁(はり)で頑丈な建物を作れるSRC造は、高層ビルやタワーマンションなど高層の建築物に最適な構造といえるでしょう。しかし、すべての階層にコンクリートを流し込むと建物全体が重くなるため、5階以上ではコンクリートを流し込まない場合があります。
RC造は鉄筋コンクリート造
RC造は、柱や梁など強度を必要とする部分に、鉄筋でできた枠型にコンクリートを流し込んだ素材を使用したものを指します。引っ張る力に強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートを使用しているため、強度の高い構造です。
異なる特性を持つ素材を組み合わせることで、強度の高さを実現していますが、素材が重いため高い建築物には適しません。
RC造は、中低層の建築物で使用する場合が多く、S造や木造と比べてコンクリートを流す工程がある分コストが高くなります。
S造は鉄骨造
S造とは、柱や梁など、建物の構造部分に鉄骨を使用する構造です。SRC造やRC造のようにコンクリートを使用しないため、建物全体を軽量化できます。
S造は、超高層ビルや体育館など広大な建築物に適した構造です。6mm以上の厚みがある鋼材を使用している場合は重量鉄骨造、6mm未満の場合は軽量鉄骨造に分類します。
重量鉄骨は設計の自由度が高く、窓など開口部が幅広く取れ、軽量鉄骨は3階までの建物に採用することが多く、ハウスメーカーやプレハブ住宅に使用します。SRC造やRC造に比べて工期が短く、大きな空間を作れる反面、コンクリートを使用しないため耐火性は劣ります。
木造
木造は、建築物の柱や梁に木材を使用した構造で、多くの一般住宅や低層アパートで採用されています。木造にはさまざまな工法が存在しますが、代表的なものは木造軸組工法(在来工法)や2×4(ツーバイフォー)、2×6(ツーバイシックス)工法です。
木造軸組工法は、住宅だけでなく神社など歴史的な建築物にも使用されており、木造が日本におけるスタンダードな建物構造といえます。木造は工務店など多くの事業者が採用しており、SRC造やRC造、S造に比べて建築コストが比較的低いことが特徴です。
SRC造とその他構造のメリット・デメリット
SRC造を含む4つの構造には、それぞれメリット・デメリットが存在します。
- SRC造のメリット:耐震性や耐火性が高い、デメリット:家賃が高い
- RC造のメリット:耐火性や耐久性が高い、デメリット:家賃が高い
- S造のメリット:建築コストが安い、デメリット:遮音性が低い
- 木造のメリット:家賃が安い、デメリット:耐火性が低い
では、各メリット・デメリットを詳しく紹介します。
SRC造のメリット・デメリット
SRC造は、あらゆる構造の中で最も耐震性と耐火性に優れています。鉄骨・鉄筋により揺れに対して強く、コンクリートで包むことで熱の弱さや錆びやすさをカバー。耐震性が高いため、超高層ビルなどで採用されています。
地震や火事に強く、住むうえで安心感があるSRC造ですが、物件構造の中で最も家賃が高いことがデメリットです。
RC造のメリット・デメリット
RC造は、SRC造と同じくコンクリートを使用しているため、非常に高い耐火性を備えています。さらに、引張と圧縮に強いため地震にも耐えれる構造です。
重い材料を使用するほど遮音性が高く、コンクリートを使用しているRC造は防音面でも優秀です。一方、家賃が高く、SRC造に比べて鉄骨が入っていない分、揺れへの耐久性が劣ります。
S造のメリット・デメリット
S造は、SRC造やRC造に比べて工期が短く、坪単価当たりの建築費を抑えることが可能です。そのため、SRC造やRC造の物件と比較し、広さや築年数が同じでもS造の方が家賃は安く済みます。
一方、コンクリートを使用していないため、SRC造やRC造に比べ遮音性が低く、隣部屋の物音が聞こえやすい点がデメリットです。
木造のメリット・デメリット
木造物件は、他の物件構造と比べて短工期で建てられるため、建築コストも抑えることが可能です。木には、湿度が高くなる梅雨時期には空気中の水分を吸収し、室内が乾燥しがちな冬には蓄えた水分を空気中に放出し湿度を保つ効果があります。
湿度が高い日本において、木造は非常に適した物件構造です。一方で、耐火性や遮音性が全構造の中で最も低い点がデメリットといえます。
SRC造を採用したマンションの耐用年数は47年
耐用年数とは、法律で定められた使用可能な年数を指し、SRC造は47年です。
一般的な木造物件の耐用年数は22年のため、SRC造の耐久性は優れています。安全に長い間、住み続けたい方にはSRC造がおすすめです。
SRC造・RC造は耐火・耐震に優れている
SRC造・RC造は、鉄筋コンクリートを使用しているため地震や火災などの災害に強い物件構造です。日本は地震が多いため、揺れに強い建物をお探しの方もいるでしょう。
災害に強い物件に住みたい方は、SRC造・RC造が最適です。ただし、家賃が高くなってしまうため、生活コストを上げてしまいます。住宅を選ぶ際は、自身の環境と必要な条件を照らし合わせて判断しましょう。
UR賃貸住宅の建物の多くがSRC造・RC造を採用
UR賃貸住宅とは、都市再生機構(UR都市機構)と呼ばれる独立行政法人が管理している公的な賃貸住宅です。全国に約74万戸あり、最新設備を備えた高性能な住宅も含まれています。
UR賃貸住宅の建物の多くがSRC造・RC造を採用。豊富な物件から最適なものを見つけられます。建物の耐震性や耐久性は、基本設計やコンクリートの品質、メンテナンスによって異なるため、物件選びは自身の理想とする暮らしと照らし合わせて検討することが大切です。
SRC造で火災や地震に強い建物を作れる
この記事では、SRC造やその他構造の特徴や、メリット・デメリットを解説しました。SRC造やRC造は、鉄骨や鉄筋コンクリートを使用しているため耐震性や耐火性に優れています。一方、木造物件は通気性が良く湿度を一定に保つことが可能です。
耐用年数が長いSRC造は、非常に耐久性が高いですが、家賃が高くなります。物件選びでは、構造の特徴を理解したうえで、自身の理想とする暮らしに適した選択が重要です。