“施工管理の仕事の面白さ”とは?
施工管理の方々に、「仕事の面白さはどういうところか」と問えば、きっとそれぞれ個性的な答えが返ってくるだろう。
熟練の人には熟練の人なりの奥深い答えだったり、駆け出しの人でもそれなりに情熱に溢れた答えだったり。
今回は、施工管理の先輩3人を例に挙げ、施工管理にも色々なタイプがいるということを紹介したい。施工管理を始めたばかりの方や、施工管理という仕事に少しでも興味を持ってくれている方にとって、この記事が何かしらの参考になれれば嬉しい。
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工程管理大好きベテランJさん
1人目のベテラン施工管理Jさんは、工程を組むことに長けている。「プロジェクト開始と同時に、もうすでに頭の中ではプロジェクトが完了している」とカッコよすぎる名言まで持っている(笑)。
Jさんのスゴさは、プロジェクト受注の段階で、竣工から時間を遡り、一気に暫定の工程を組み上げることができるところだ。長い工期だと当然、天候に恵まれなかったり、業者の諸事情により工程がずれたりと様々な障害がある。だが、Jさんは季節感までも頭に入れていて、1業種のかかる時間を把握しているので、時間軸のブレがほとんどない。
最後バタバタやれば誰でも工期は間に合ってしまうものだが、バタバタする時期をも予測し、1ヶ月前くらいからPDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルをうまく回し、最後はプロジェクト開始時に決めた工期に自然と帳尻を合わせてしまう。職人を待たせたり急かしたり、工程を他業種とラップさせたりすることもなく、予定した竣工に誤差なく合わせてくる。まさにプロだ。
なぜそれができるかというと答えは簡単。名言の通り、プロジェクト開始と同時に工程が終わりまで見えているからだ。Jさんは、業者手配をする時期までカッチリ決め、遅くとも2ヶ月前くらいには業者に発注する。そのため、依頼日まで余裕があり、ほぼ確実に業者を確保できる。あとは、そこに合わせてPDCAを回していけば、ズレがなくなるという仕組みだ。
「自分で決めた工程が最後まで正しい」と責任感をもって、確実に業務に取り組んでるJさんは、施工管理がやらなくてはならない工程管理の業務において、突出した才能を自ら見出して、楽しみながら施工管理の仕事と向き合っている。
図面チェックのミスターパーフェクトMさん
2人目は、図面チェックに長けているMさん。「図面の正しさを追求することが施工管理の美学」と考えるMさんは、基礎図チェック、躯体図チェック、意匠平面図等の整合性チェックは設計よりも細かく、検査員よりも確実な目を持つミスターパーフェクト。
図面チェックは、基礎、構造、平面、配置など、いくつかの別々のレイヤーを重ね合わせて、それらがちゃんと辻褄が合うかどうかの整合性をチェックする作業だが、Mさんのチェックは怖いくらいに厳正だ。
設計から上がってきた図面でも、初めから疑ってかかる。時間をかけて細かく、くまなくチェックするのだが、その姿勢は「間違いを見逃してたまるか!」と、ある意味、設計に対しての闘争心すら感じる(笑)。
そして、無事にチェックの済んだ図面には、図面上ではわかりづらい納まりや、うっかり見逃してしまいそうな職人さんが欲しそうな情報を、丁寧にわかりやすくコメントを追記して、最終的にそれが製本され、職人の手に渡っていく。
チェックに抜かりなく丁寧な図面は、職人からの評価も高い。「Mさんからいただいた図面はいつも安心感がある」と、厳正なチェックが信頼につながっている。
「図面は命」とよく言われるが、職人さんは図面を疑うことなく信用して施工しているので、図面チェックで手を抜いて、あとで”違っていた”と気づいた時にはもう手遅れだ。職人さんや社内での信頼を失うと共に、実行予算割れなどの損失リスクも避けられない。
ミスターパーフェクトMさんのように、損失リスクを考え、しっかりとリスクヘッジすることで、施工管理としての力を最大限に発揮できるタイプもいる。