実際にあった不正工事
過去にイッパイ不正工事はありました。その結果、施工管理が厳しくなる一方です。無くしていきたいところですね。法面工での施工不良・不正施工を例に見ていきましょう。
法面工での施工不良・不正施工
- アンカー工のPC鋼線、PC綱棒の切断
- アンカー工のグラウトの注入不足
- 鉄筋挿入工の鉄筋切断
- 鉄筋挿入工、自穿孔削孔の挿入不足
- 鉄筋挿入工、自穿孔の注入不足
- コンクリート、モルタルの配合ミス
- 植生工の配合ミス、種子混入せず(最近では種子を入れない場合も)
- ロープネット工の土砂部にセメントアンカー打設
- 法枠工の鉄筋配置ミス、鉄筋サイズ違い
- アンカー角度の間違い
- ざぶとん枠の作成ミス(外周が盛り上がってる)
- モルタルの厚さが足らない
施工不良・不正施工の原因と対策
原因と、それに対する対策を考えてみました。
原因
- 工期がない(ほとんどの理由がコレでしょう)
- 請負金額がキツイ(下請け側にはコレが多い)
- 技術不足(施工管理側の知識・経験不足)
- 職人の言いなり(施工管理者の技術不足)
- 施工性のみの選択
- 職人の技術不足
対策
1.工期がない
工期については、細かい打合せをするしかありません。しっかりと詰めて詰めて工程管理を行うことと、他社が絡む場合は、他社との仲を取りながらやるしかありません。
また、工期がそのように(手遅れに)なる前に、監督が毎日1時間程度の残業などを指示するべきでしょう。
2.請負金額がキツイ
請負金額は確実に上げていきましょう。早くて下手な施工をするなら、遅くても良い施工をしたほうが後々良いです。「あそこの業者は高いけど、良い仕事するからな」って言われます。
ちなみに、良い仕事する業者さんは必ずと言っていいほど 仕事も早いです。その代わり高いです!それが当たり前です。見積は高く高く行きましょう!!
3.技術不足(施工管理側の知識・経験不足)
管理者の技術不足は勉強、経験していただくしかありませんが、 一緒に施工する職人のレベルが高ければ問題なく施工できます。そんな職人と一緒に仕事をすれば、管理も施工もアゲアゲです。
施工管理は、最低限を行えば検査に通ります。ただ、最低限だけを行う施工管理だと点数が取れません。点数の取れる監督は非常に重宝されます。給料もアゲアゲですよ?(知らんけど。笑)
やはり、施工管理者の仕事は非常に重要です。不正、不良が出ないように管理することが一番大切です。
4.職人の言いなり(施工管理者の技術不足)
これが一番危険なのですが、仕事レベルの低い職人が一番うるさいことを言ってきます。「あれはできない」「コレは無理」とのたまうのです。
一方、できる職人はできないと言わず、できる方法を一緒に考えてくれますし、しっかりとした仕事を新人監督に教えてくれます。ただし、それに甘えず、打合せと図面確認はしっかりと行いましょう。
5.施工性のみの選択
機械等を使って楽にできる施工はそれはそれで良いのですが、楽がしたいがために手抜きする施工はアウトです。上記の3や4に通ずるところがありますが、職人・管理者のレベルに依存します。
6.職人の技術不足
職人の技術不足は、優秀な監督であれば補えます。やはり職人も得意不得意があって当然です。その部分を補えるのが優秀な監督ですね。優秀な監督と優秀な職人だと現場がとてつもなくスムーズに流れます。
迷ったら「王道」を選べ
私の場合、現場で迷ったり、困ったことが起きた場合、必ず面倒なほうを選ぶようにしています。もちろん、社員にもそう指示します。
より正確でより正解に近いほう、手順書通り、説明書通りのやり方です。そのほうが結局、何もなくすんなり終われます。
逃げて、追われるくらいなら、最初から王道で行けば追われることもありませんし、ビクビクすることもありません。
大変なことのほうが多いのですけど、この“痩せ我慢”というのも好きです(笑)。会社的には厳しくて、予算がなくて、こんなのやってられない!ってことでも、平気な顔してやりますよ!(泣きながら笑顔)
※この記事は、『新エンタの法面管理塾』の記事を再編集したものです。