犯人はまさかの…
不法侵入していた男は、毎日交通誘導員を頼んでいたガードマンだったのだ。
ガードマンはいつも17:15には伝票を書いてあがらせていた。帰宅して、わざわざ事務所に戻ってくる意味が全く理解できなかった。
後日、事務所に後輩がいないタイミングを見計らい、そのガードマンを呼び出した。男はすぐに自白した。
「事務所の鍵をどうやって入手したのか」と聞くと、「現場が半日で終わった日に、現場事務所に鍵が置いてあるのを見つけて、近くの合鍵屋で鍵を作った」という。
「なぜ現場事務所の鍵が必要だったのか」と聞くと、「ガードマンの仕事を始めてまだ1ヶ月目で、以前作った借金が原因で現在家がないから」と涙目で話す男。
毎日ネカフェ等を転々として、お金が底をつきそうになった時に、たまたま現場事務所に置いてある鍵を見つけて、残りのお金を使って合鍵を作ろうと考えたそうだ。
退勤した17:15から侵入する22時までの時間をどう過ごしていたかと聞くと、男はなんと、その時間になるまで橋の下で待機して、私が帰ったことを確認して侵入していたらしい。
最初は腹が立ったが、話を聞くとあまりにも不憫に思えたので、給料が入るまでは事務所で寝泊まりすることを許可した。最終的には男もうまく元の生活に戻れたようだ。
とまあ少し変わった、面白いような怖いような珍事件であった。現場では予期せぬことが多々起きる。私が経験した珍事件は他にもまだまだあるので、また別の記事でも紹介したいと思う。