リクルーティングは楽しい
小林さん その後は、中部地方整備局木曽川下流河川事務所の調査課長として、また出ました。この事務所では、木曽川、長良川、揖斐川という河川を担当しているのですが、長良川河口の浚渫工事に携わりました。あとは、堤防の地震対策に関する調査検討のほか、破堤に伴う長期浸水からの復旧や広域避難に関する検討などもやりました。非常に充実した時間を過ごせました。ここも2年です。
中部地方整備局の本局に移って、企画課の課長補佐を1年、課長を1年やりました。局全体に関わるいろいろな仕事をしていました。リクルートの仕事もやりましたが、これが一番楽しかったですね(笑)。
――リクルーティングは順調だったですか?
小林さん 当時から若者の地元志向という傾向はありましたが、今ほどは強くはありませんでしたので、大学や高専などを回ったり、アピールした結果、まずまずの採用活動ができました。たとえば、もともとは市役所や県庁に行こうと思っていた何人かの学生が、中部地方整備局に入ってくれました。その辺が楽しかったですね。
国交省職員の定員を増やしたのは、画期的
小林さん その次は、また出向しまして、内閣府の地方創生推進室で、特区制度を担当する部署にいきました。自治体や民間から提案や要望を受けて、それらに基づき各省庁と協議するといったことをやっていました。つまりは、規制改革がメインの仕事でした。
私が出向中に、特区法という法律を2年連続で改正したのですが、国会対応が大変でした。とくに2年目は、いわゆる加計学園の件でエラいことになったので、かなり大変な思いをしました。毎日朝まで国会答弁を書いていたので、なかなか家に帰れませんでした(笑)。
その後は、国土交通省に戻って、大臣官房の技術調査課で、課長補佐として、組織とか定員とか、各局横断的な事柄のとりまとめ、総括といった仕事をやりました。
とくに印象深いのは、国土交通省の地方整備局職員の定員を増やす仕事に携わったことです。国土交通省発足以来の定員増でした。初年度は100名ほど増やすことができました。当時整備局の定員は毎年減り続けていて、「限界を超えた」というところまで来ていたので、これはかなり画期的なことでした。
あとは災害対応として、高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所とか、いくつかの新しい事務所の立ち上げにも関わりました。
その次は、前職になりますが、同じく本省の水管理・国土保全局の治水課で、新規ダムの建設などを担当しました。全国のいろいろなダムを担当しましたが、一番印象に残っているのは、球磨川水系の川辺川ダムを担当したことです。
令和2年の球磨川豪雨を受け、計画が中止されていた川辺川ダムを環境にも配慮した新たな流水型のダムとして建設して欲しいとの地元の要望を受け、毎週のように九州地方整備局と打ち合わせしながら検討を進めていました。河川整備基本方針の見直しや整備計画の策定にも携わりました。大きな仕事に関われて、良い経験をさせてもらったなと思っています。
「安全安心で、豊かな地域をつくれるか」という視点
――今のお仕事はどんな感じですか?
小林さん 高知河川国道事務所は、大きく言うと、物部川、高知海岸、仁淀川を所管しています。これらのインフラは、物理的にもつながっており、一体のものだと捉えて事業を考えることが重要だと思っています。これらのインフラを使って、いかに安心安全な地域にするか、いかに豊かな地域にするかが、われわれの仕事だと認識しています。
個別の事業はいろいろありますが、私が意識しているのは、ソフト対策やまちづくりと合わせて、地域全体をより良くしていくという視点です。そのためになにをすれば良いのかという姿勢を持って、仕事をしていきたいと思っているところです。
将来のことは「なんとかなる」精神
――国土交通省の働きやすさについて、どうお考えですか?
小林さん 国土交通省の仕事は、以前に比べれば、だいぶ働きやすくなっています。最近は、本省勤務でも早めに帰る人が増えています。数年前に比べて、残業時間は劇的に減っていると思っています。今でも忙しい時は忙しいですが、「毎日真夜中まで働くのが当たり前」ということはありません。やりがいのある仕事ですし、仕事にメリハリがつけられるので、それほど苦にはならないと思っています。
――転勤はどうですか?
小林さん いろいろな地域に行って、見たことをないものを見たり、おいしいものを食べたりできるので、私はまったく気にならないと言うか、むしろ楽しみです。ずっと同じところにいるよりは、いろいろな場所に行って、いろいろな経験ができるからです。ただ、子どもがいて「単身赴任が」、あるいは「親の介護が」となると、話は違ってくるかもしれませんが、将来のことについては、「なんとかなるだろう」と楽観的に考えています(笑)。
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