千住関屋町再構築工事の現場代理人にインタビュー
箱物行政も今は昔。
「公共工事もメンテナンスの時代」と世論を喚起されてますが、社会資本整備の計画は昨今の不景気でも乗数効果を期待されての証左。東京都なら発注の減少はないだろうと風説も伝わってきます。
そんな公共土木が活況の中、東京都の下水道局で計画された「千住関屋町再構築工事」の現場へ訪問。現場代理人をされている徳倉建設株式会社の林亨さんに、逸話や施工方法、現場での苦労などをお伺いしました。
入社4年目で南米ペルーの現場に赴任
――林さんのキャリアをお聞かせください
林さん 私が徳倉建設に入社したのは1995年の4月です。なので、今年の4月で26年目になります。今までに携わった主な現場は、国内の工事では、国交省の河川工事、砂防工事、港湾工事などです。あと、北陸新幹線、県道、それから、今現在従事していますけど、東京都の下水道工事、それと、農水省の圃場整備の工事などですね。
私は、ネクスコの工事は一度も無いんですよ。土木の技術者がよくやる工事だと思うんですけど。それと山岳部のトンネルの工事は無いですね。ただ、今回やる推進の工事もまあ、隧道工事の一種なんで、土の中に穴を掘ってですね、何かを通すっていうのは全くゼロではないんですけど、山岳トンネルの経験は無いですね。
――御社は建築もおやりになっていますが、林さんは土木のみの従事なんでしょうか?
林さん 私は学校も土木工学科卒業ですので、土木だけです。ただ、海外工事で建築の現場も手伝ったことはあります。
――海外での施工経験もおありとのことですが、入社してから何年目で赴任されたのでしょうか?
林さん 4年目の1999年ですね。弊社の中で、海外の工事で人が足りなくてなったので、ある程度経験がある技術者を探してたんですけど、やっぱり入社10年前後っていうと家庭の関係で、なかなか行くっていう人がいなかったんです。
それで、私は当時4年目の27歳で独身でしたから、4年目でちょっと経験不足だったのですが、まあ他に人が居らず仕方ない、ということで行くことになりました。それが、南米のペルー共和国の石炭火力発電所の工事です。
――ペルーは英語圏ではないですよね?
林さん スペイン語ですね。
――学生時代はスペイン語を専攻されてたのでしょうか?
林さん いや、まったく無いです。
――じゃあ、現場で憶えていって…。
林さん そうです。半月くらい前に語学研修みたいのはやりまして。2週間程度。で、数字とそれから基本的な挨拶ぐらいは憶えました。まあ、私もその当時は若かったもので、わりと、ささっと覚えました。
ですけども、やっぱり言葉自体は現地に行ってから現地人と話しながらですね。
――ボディーランゲージも交えて?
林さん ええ。身体で覚えましたね。で、もう、必ず小さなポケットサイズの辞書と、それから、野帳。覚えた言葉と照らし合わせてですね、それで憶えていきました。個人の辞書みたいのを作る感じです。
やっぱり、建設業は日本語でも専門的な言葉が多い訳じゃないですか。それが、スペイン語になりますからね。普通の市販されている一般的な辞書に載ってない言葉も出てくる訳ですよ。
――同時通訳する『POCKETALK』のようなデバイスも無い時代ですもんね。
林さん 無いです無いです(笑)。