そんな手もあったか!と思わせてくれる法面サイト
以前、建設コンサルタント会社に勤務していた時のこと。道路設計に付随して法面工の設計が含まれていたことがあった。当時私は法面工の設計と施工計画を担当し、道路土工等の基準を参考に設計を進めていたのだが、施工計画検討で煮詰まってしまった。
インターネットで参考となる情報を探していた時に出会ったのが、施工の神様でも記事が掲載されている「新エンタの法面管理塾」というサイトだ。
法面工(グラウンドアンカーや鉄筋挿入工等)の施工の留意点はもちろん、設計時にやっておくとよい検討項目や要注意点についても紹介されている。実際に現場で起きた事例も豊富に掲載されていて勉強になった。
設計時にそこまで考えておく必要はないかも…と思える内容もたくさんあるのだが、実はとても重要な内容が書かれていたりする。たとえば、パッカー加圧についての記事がその一例ではないだろうか。
私自身、設計時には考えていなかったことだった。もし現場で、充填剤が孔口からあふれ出てこなかった事態になったとしても、「それは現場で対処してよ」くらいにしか思わなかっただろう。
しかし、対処法を知っていれば、報告書の申し送り事項に記載しておくことができたはずだ。それによって、施工者に対策を促すことができたかもしれない。
設計時に考えておいたほうがよいことも紹介されている
「新エンタの法面管理塾」は、設計時に考えておいたほうがよいことも多数記載されている。たとえば、法面の安定計算時には各段の安全率を示しておいたほうがいいといった内容だ。
勉強不足の私は、段ごとに安全率を検討していなかった。すべての段を含めて最小安全率が1.2を超えるように設計していた。
しかし、段ごとに安全率を検討して報告書に記載していれば、施工計画の検討にも活かせていたかもしれないし、より合理的な施工手順を検討できていたかもしれない。もったいないことをした。
さらに、こんな面白い記事もあった。経験的手法ができた背景についてである。経験的手法では、削孔径や補強材長さ等の諸元が決まっており、それを基に設計していくものだ。その経験的手法のルーツが紹介されている。
たかがインターネット、されどインターネット
昔は知りたい情報は本などから得ていたが、最近では、インターネットで欲しい情報がピンポイントで手に入れられる。私も知りたい情報がある時は、まずはインターネットで検索するようにしているが、中には、ニセモノの情報もあるので要注意だ。
インターネット上の情報はネガティブな印象を持つ人も多いだろうが、きちんとした情報もたくさんある。ここで紹介したような、施工や設計に有益な情報を紹介しているサイトやブログも多数存在している。
設計や計画を行う上では、基準や指針に準拠して仕事を行うことが必須となる。一方で、基準や指針類をどう現場状況に合わせて適用するかが問われる。自然相手の仕事だからだ。だからこそ、施工者目線での検討が求められるのだ。
机上の空論になっては意味がない。設計を行う上では、施工が可能な計画を行うことが不可欠だ。今は参考にできるものがたくさん転がっているので、それらを有効活用して、日々の業務を遂行していきたいものである。